肉筆浮世絵名品展
開館40周年記念 太田記念美術館所蔵 肉筆浮世絵名品展 ―歌麿・北斎・応為
太田記念美術館
念願の葛飾応為「吉原格子先之図」を見てきました。
もう!わたし!応為がだぁああぁああぁい好き!なので、この日を今か今かと待ちわびて来ましたがついに初お目見え!!!!!!泣ける!!!!
応為はそう、葛飾北斎の娘です。きっぷのいい江戸っ子らしい気質の彼女も浮世絵師で、女北斎と言われています。ただ、応為としての作品は10点ほどしか残っていません。どれも誰にも真似できない珠玉の天才的作品ばかりです。北斎は生きてる間に3万点を越える作品を制作したと言われていますが、応為が仕上げたり応為が一部を描いた作品がたくさんあるのではないかと言われています。
めったに弟子を誉めない北斎も、応為の実力を誉めてたりして、絶大な信頼関係にあったんだろうなと。
北斎が死ぬまで絵師として工房を支え、北斎の死後はふらっと行方不明になり、どうなったか今でもわかっていません。
朝井まかてさんが書かれた応為のことについて書かれた小説「眩(くらら)」を昨年森アーツセンターで開催された「新・北斎展」に行く前に読んだのですが、もうこの小説がめっっちゃくちゃおもしろくて…!
もともと「百日紅」という応為のアニメを見ていたので存在が気にはなっていたのですが、この小説を読んでさらに応為のことが愛しくてたまらなくなりました。絵に対する姿勢と性格が好きだったのですが、今回初めて応為の肉筆画を目の前にして、夜の遊郭という日常の景色に潜む明暗の美しさを捉える圧倒的な感性の豊かさに脱帽してしまいました。
太田記念美術館では畳にあがって見るエリアがあって、そこに展示されていたのでゆっくり正座しながら見ていたのですが、すっかり魅了されてしまいずっと見ていたい気持ちにさせられました。
遊女たちがずらりと並んでたくさんのお客さんに見られてざわざわしているはずなのに、静寂が溢れているように感じました。大行灯に照らし出されてほとんど顔は見えませんがそこに際立つ遊女の美しさにうっとりするのと、闇に浮かび上がる提灯のほんのりとした明るさを美しいと感じた応為のロマンチックな感性、手前の遊女だけシルエットにしてぐっと緩急をつけた腕前、提灯にひっそりと自分のサインをいれた遊び心などもうどこをとっても魅力に溢れててドラマチックで、さらにさらに応為のことが大好きになりました。
この企画展ではこの応為の作品のほかにも「肉筆画」がたくさん展示されています。浮世絵は絵師が描いた下絵をもとに彫師が板を彫り、摺師が紙に摺るという共同作業によって生まれるので、絵師たちの肉筆画はとても貴重なのと、それぞれの技量がよくわかるものでもあります。北斎、歌麿、菱川師宣、勝川春章、わたしの大好きな溪斎英泉などいろんな人の肉筆画が展示されててめちゃくちゃおもしろかったです。
ボストン美術館にある応為の作品「三曲合奏図」、いつか見に行きたいなぁ。