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「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」

「STARS展:現代美術のスターたち―日本から世界へ」
森美術館


まさにスターズ。草間彌生、李禹煥(リ・ウファン)、宮島達男、村上 隆、奈良美智、杉本博司の6人展という凄まじいメンバーの展示です。祭。オリンピックだったからこれだけのメンバーが集まった?森美術館が本気出した?んだろうなぁというのがひしひしと伝わってくるほどすごく力の入った展示でした。


写真も撮り放題で(こういうところさすが森美術館)、本当なら森美の歴代動員数2位を記録した塩田千春展なみに盛り上がってもおかしくない内容ですが、海外からのお客さんが全くいないからか全然お客さんがいなくてびっくりしました。



きっと森美も今回のターゲットは海外からのお客様だったと思います。塩田千春のことを知らない自称インスタグラマーたちがこぞって映えのために訪れた展示みたいに、今回は写真は撮れるけど映えレベルは高くないので、「映えないならわざわざ行かない」という感じで、これだけの錚々たるメンバーの展示なのに、もう一生こんな6人が集まる展示なんて見れないぐらいすごいのに、現代アートって難しいと思ってしまってて興味や関心がなさすぎる日本人の傾向が露呈してしまったなと思いました。


そんなこんなで、わたしはまったく予備知識無く行きましたが、6人の王!道!作!品!+近年の作品or新作という理解が深まる素敵な構成で、改めてみなさまがアートという世界線でなにをどう表現したいかがわかる展示になってたので、「現代アートってどこから入ったらいいかわからない。」「6名のこと実はあんまり知らない」っていう方はこの企画展に行かれることを強くお勧めしたいです。ほんとに日本の現代アート基礎入門編!みたいな感じ。(でもこんなすごいのが一気に見れるなんて何度も言うけどほんとに特別なこと…!)

「そういえば村上隆さんって何が言いたいくてこんな作品作ってるんだっけ」みたいなことがその場でわかるようになってます。


最初村上隆さんから始まりますが、アートをビジネスとして成功された唯一の方だと思うので凄いなぁと思う反面、売れるために魂を売った感が垣間見えて、遠藤的に心がギュッとなってしまう。。
ヲタク文化と奇想メンバー(若冲や蕭白や国芳)をミックスさせるなんて絶対海外受け間違いない。死んだあと何十年、何百年後の人が見ても自分の作品だと一発でわかってもらうために今の創作活動をしているというインタビューを聞いて、何かメッセージを永続的に残したいというわけではなく「村上隆という人間」を忘れられずにいたいという意味に取れてしまい、アートの力ってなんなんやろ?って思ってしまいました。わたしが勘違いしてるだけかもしれへんけど。

ちなみに男性の方って「死ぬ時に偉業を成し遂げたかどうか考えると思う。後悔しないようにしたい」みたいなところ着地点にしてる方が多い印象ですがなんでなん?「何者かになりたい」みたいなんが強いんかな?でも女帝百合子もそうやんな。人によるか。教えてだれか。



李禹煥さんの作品は初めて生で見たのですが、多分めちゃくちゃ熱い人で、でも自分の中で燃えたぎる炎をいかに抑えるかみたいな感じでおもしろかったです。「作らない」「描かない」みたいなことを実践してる方で、抗ってる〜!!って感じ。床がぜんぶ石で覆われてて、そこをじゃりじゃり歩きながら見るのですが、作品と繋がれてる気がして、これが関係性か〜!と思えました。

盛り師のわたしがいかにミニマルに世界観をつくるかみたいな「盛りの美しさ」と「余白の美しさ」との攻めぎあいで生まれる新たな美みたいな感じで、ちょっとだけ李さんのことわかった気がしました。(おこがましい)

ちなみに隣にいた人が銀の棒のことをぼそっと「韓国のお箸…」って言ってて、それを聞いた瞬間、石が箸置き、床の砂が白飯にしか見えなくなってしまい心の中で「これごはんやったんか〜〜!!!」ってなってしまいました。やっぱり他人の解釈はおもしろいですね。(盗み聞きしてごめん)



草間彌生さんの作品はもう何回も見てる突起だらけの舟のやつもあるし、長野の松本市美術館にある綺麗な電気ピカピカのやつも来てる。最高。草間さんって今91歳やけど、バリバリ現役で製作されてて、2019年に描かれた新作があったのですが、絵の前で思わず立ち止まって見入ってしまいました。タイトルは「たくさんの愛のすばらしさ」。たくさんの!!!愛の!!!すばらしさ!!!って!!!何が描いてあんのかはまっっったくわからへんけど(失礼)、草間さんがそういう意味を込めて絵を描いておられること自体が尊くて、とりあえず拝んでおきました。死ぬまで作品を作りたいとおっしゃってるので、草間さんのご健康とご多幸を超お祈り申し上げます(ファンより)。草間さんにはすくすくと作品を産み出してほしい。。



宮島達男さんの1〜9+暗闇が点滅するカウンター作品はこの前現美で見たところですが、今回のは東日本大震災の犠牲者への鎮魂とこの震災を忘れないようにするために作られた作品で、海を模した空間に青と緑のカウンターが点滅していました。だれかわからないひとではなく、身近に起こった出来事で命について深く考えるようになったひとたちのカウンターの速度は重々しく、でもやっぱり眩く輝く光は夜光虫が海で光っているように美しくてグッと来ました。

なんか数少ないな?と思ってたら、なんとこれ、1つのカウンターにつき1人の方が点滅のスピードを設定しててだれがどのカウンターを設定したかの表もありました。被災者の方を中心に今719人の方が参加されてて今後3000人を目指し、その後東北の海の見える場所に設置する予定だそうです。わたしたちも応募や支援ができるみたいなので、あとでやってみようと思います。



奈良美智さんは、めっちゃ見たかった新作「Miss moonlight」があって、ぎゃぁあああああ♡ってなりました。コロコロぬくぬくしたやさしい色で描かれてて、心がぽわぁってあったかくなったし、中世の時代に聖母子を描いた宗教画が人々の心を和ませ信仰心を高めたように、コロナで心がトゲトゲしたり苦しんだり悲しんだりしている世界中のひとたちの心がほっと安心できるような絵で、奈良さんの絵や作品は信仰の対象のような崇高さや救いがあるなと改めて思いました。月の作品が多くて、夜を表しているのか紺色の壁に月の光が眩しく輝いてるようで、奈良さんの展示室は心地よかったです。



最後杉本博司さんの常軌を逸した(笑)古美術や伝統芸能や四季がある日本の自然美への深すぎる愛と敬意で終わるのですが、あぁ杉本さんまじで狂ってんなぁと思うほど日本の美が大好きで、完全に沼落ちしてるのが伝わってくるので、こういう方が生み出すもので展示が締めくくられることで日本の現代アートの印象が世界の人に伝わるのがとっても嬉しいなぁと思いました。

杉本さん渾身のお庭「江之浦測候所」の様子を鈴木心さんが撮影された30分にわたる映像作品が見れるのですが、ヒーリング効果ありすぎる映像でめっちゃ心潤ったし美しかったし、杉本さんの本物へのこだわりが狂いすぎててしっかり30分見てしまいました(笑)わたしももっともっと勉強したい…!と思いました。

今京都の新しく改装された京セラ美術館でやってる杉本さんの個展「瑠璃の浄土」がめちゃくちゃ見たいのですが、いつ行けるやら。行けたらいいな。


というわけで、6名がアートを通して「世界」をどう見ているかが十二分にわかる企画展で、作品数はそんなに多くないのですが資料展示もたくさんあり、じっくり3時間半も楽しめました。

現代アート入門にして最高の教材だと思うので、ぜひ一度この機会に行かれてみてください♡

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