徳之島のじゃがいも
鹿児島県奄美群島のひとつである徳之島では、ジャガイモの栽培が盛んです。
ミネラルをたっぷり含んだ赤土の中で育つじゃがいもは、デンプンが多くほくほくとした食感が特徴で、日本で一番早く収穫される新じゃがいも。
徳之島在住の大保夫妻に紹介していただき、はじめて食べたのが2021年の春。
じゃがいもは北海道のイメージが強くあったので、日本の正反対に位置する場所で、こんなに素晴らしいものが採れるんだと感動しました。
じゃがいもの香りもしっかりと感じ、皮ごと食べても土臭さがなく、煮物にしても型崩れしにくいのが特徴。
このじゃがいもを紹介していただいた際に、同時に廃棄の問題についても知ることに。
サイズの大小や、そうか病(表面に丸いかさぶた状のものが出来る)等で、問題なく食べることが出来るけれど、正規品としては出荷できず、自家消費や島内消費では追い付かないために廃棄されるものが、
JAのみでの数日で40トン、その廃棄料にかかる金額は、400万円にもなるそう。
その他にも、個人農家の方の廃棄や畑に残ったままのもの等を含めると100トンを超えるのでは…とのこと。
これは、徳之島やじゃがいもに限らずのことではありますが、
こうして実際の数字を教えてもらったことで、市場に出る以前の食糧廃棄を考えるきっかけとなりました。
この規格外品を、なにか使えないかと思い購入の相談をしてみたところ「え?買ってもらえるんですか!?」という反応が。
市場に出せない規格外品=値がつかないが当たり前になっている状況に、悪いとか良いとかではなく何かモヤモヤしつつ、それでも正規品とのバランスとかそういうものもあるのだろうから仕方ないのか……と、規格外品としての扱いの難しさも感じ、これは丁寧に伝えていくことが大切だと思いました。
ただ安く売っておしまい!にしてしまっては、正規品の立場は?となるし、それ以上がない。
なるべく良いものをと頑張った結果、激しい気候変動などによりどうしても出てしまうものがある。
それを、‟規格外”で終わらせないためには、まず知ってもらう事が重要。
大保夫妻に、島内の状況やらじゃがいもの事など、細かく教えていただき、お二人が動いてくださったおかげで、地元のJAの方にもお話を聞くことが出来、より深く知る事ができました。
少しずつでもこのことを知ってもらい、「もったいない」だけではなく、もっと先々まで前向きに考えられる方法はないものかと。
大企業でも有名ブランドでもない(そのころは、今よりもっともっと模索中の時期で何をしている人かわからないくらい。何をしているか謎なのは、今の方が強くなったかもしれないけど…)。
そんな自分に出来る事なんてあるのかと思ったりもしましたが、とりあえず何かやらない事には1㎜も進まないので、じゃがいも商品の開発をスタート。
作って販売して終わりではなく、じゃがいも農家の方や島の方々にも自宅で手軽に作ってもらいたい。
そして島内での廃棄自体が少しでも減り、小さなことだとしても、この問題を知り解決するきっかけにしたいという思いからレシピも配りたかったため、なるべく簡単につくれるレシピで考えていくことにしました。
ヒントになったのは、島内に置かれているというレシピ。
使用するじゃがいもの量を増やし、皮まで使い、食事としてもおやつとしても満足できるレシピとして新たに制作させていただきました。
そして、出来上がったじゃがいもスコーン。
レシピと共に、じゃがいも農家や島の方々へ送り、嬉しい感想も聞く事が出来て、ちょっとした達成感と共に、これで終わりにしてしまいたくないという気持ちから「じゃがいも祭」なるものを企画してみたり...。
(それは、また別の投稿で。)
今では、「そろそろ徳之島のじゃがいもの時期だね」と聞かれることも多くなり、少しずつでも続けていくとちょっと何かが変わる…そんなことを嬉しく思っています。
※農家ではないため、現実はもっと複雑な色々があることと思います。
そんななかで、私達でも美味しく楽しくできる小さな一歩を…。
ご協力いただいているじゃがいも農家さんは、こちら↓
幸山ファーム
https://www.instagram.com/kouyamafarm/