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カヌレづくり
カヌレがボルドーのスペシアリテだと知ったのは、こちらに来て、学校に通い始めて三日目くらいのことだった。
学校から家までの道のりを歩いているときに、やけにカヌレのお店が多いなぁとは思っていたが、そう思うだけでそれが名物だとは気づいていなかった。
エマニュエルがよかったらカヌレを一緒に作らない?と提案してくれたのは先週のこと。フランソワとエマニュエルが来た初日にはじめましての挨拶をした後、彼女はしばらく彼女の故郷であるトゥルーズに帰っていて会えなかった。久しぶりに二度目に顔を合わせたとき、あまり話をしたこともなかったので私は少しドキマギしていたのだが、彼女はよそよそしい様子もなく、ごく自然に話しかけてくれて、カヌレをつくるよう誘ってくれた。
彼女がレシピを持っていたので、材料は何で、どれくらい使うのかはわからなかったが、焼き菓子といったら大抵使うものといえば卵、バター、小麦粉、砂糖、牛乳が基本だ。バター、小麦粉、砂糖はすでに持っていたので、ピクニックに持って行くたまごサンドをつくるためにも、卵を買っておくことにした。
卵は6個、12個、30個と分けられていて、また、さらに「屋外plein air」、「屋内au sol」など、飼育された環境によっても値段が変わる。卵一つ一つにもどのように飼育されたかがわかるように数字が殻に刻印されていて、「3」はケージの中、「2」は屋内、「1」は屋外、「0」はBio製品という分け方がされている。イザベルはもちろん、エマニュエルもbio製品を買っていたが、価格重視の私は「2」の12個入りの卵を買う。
学校からの帰宅後、さっそくエマニュエルとカヌレをつくりはじめる。
カヌレ
・材料
牛乳 500ml
バター 50g
砂糖 250g
小麦粉 100g
卵 2個
卵黄 2個
ラム酒 適量
バニラエッセンス 適量
1. 牛乳とバターを鍋で温める。
2. 残りの材料をすべてボウルに入れて混ぜる。
3. 牛乳とバターをボウルに加えて混ぜる。
4. 冷蔵庫で1時間冷やす。
5. カヌレ型に入れる。
6. 220℃で12分、180℃でさらに1時間焼く。
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つくってみたら、ほぼ混ぜて焼くだけで、とても簡単だった。
街で売っているカヌレはケイトとイザベルにもらって食べたけれど、ラム酒の匂いが強すぎて私はあまり好きではなかったし、高い。ショーウィンドウでこれみよがしに売られているカヌレも良いけれど、家で作った方がずっと安いし、美味しい。
焼きたてのカヌレ、焼いてから少し経った後のカヌレ、一日経ったカヌレ。食感が変化していくのが面白くて、ついついつまんでしまう。
「夜に食べると太っちゃうから2個までにしておく」と言ったのに、焼きたてのを食べたくなって3個目を口にしたときには、イザベルとエマニュエルに「あ、Megumi〜!さっきはもう食べないって言ってたのに〜」と膨れたお腹をさんざんからかわれた。