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冬との我慢くらべ

昨日からまた一段と寒くなった。特に朝。天気予報で見ると5度とある。よく晴れているのに寒い。これまでは日が出ていれば暖かかったのに。口元でも寒さを感じる。はぁーっと息を吐いてみる。白い。いよいよ冬の到来だと思う。指や鼻が冷たくて感覚が鈍くなっている。気づいたら肩をすくめて歩いていた。どうりで肩が凝るはずだ。昨日の帰り道はタイツを履いても脚や肩のあたりが寒くて、たまらず途中でバスに乗った。このままだと散歩もできない。

これまでは長袖シャツ一枚とコートで問題なかったが、いよいよカーディガンやマフラーを買った方がいいかもしれない。
ボルドーにも古着屋は何軒もあって、探すでもなく、歩いているとふと見つかる。あら、こんなところにあったの、と入ってみる。雰囲気はあまり日本のそれとあまり変わらない。価格はシャツ1枚が15€前後のところと、40€以上するところに大きく二分されている。9月に半袖で紫色の素敵なブラウスに一目惚れして買ってからは、衣類は何も買っていない。

紫色の光沢感のある半袖フリルブラウス(12€)
値札は食品のパッケージの裏側にお店のスタンプと手書きで12€と書いてあるだけ。面白い。

カーディガンとセーターを探してもう10軒以上は見て回ったが、ピンとくるものがない。必要を感じてはいても、ピンとこないなら買いたくない。逆に、紫色のブラウスのように、特別必要がなくても一目惚れしたら買ってしまうこともしばしばだが。

服に関しては、あるものの中からマシなものを選ぶ、という買い方はしたくない。それは私のこだわりだ。すぐに捨てても良いと思うような服は買わない。大げさに言うと、一生使うつもりで買う。だから、ピンとくるものに出会えるまで探すし、無かったら無かったで我慢する。

カーディガンやセーターは今のところヒットするものがないが、以前見かけたマフラーとストールが気になっている。

マフラーの方が色は好きだが、肌触りはカシミヤが含まれているストールの方がいい。ストールは膝掛けとしても使えるし用途が広いが、薄いので寒いかもしれない、と悩む。それに、必要ではないがヴィンテージベルトが3つで10€とあり、あまり見ない色と形で素敵なのが3つ以上あった。欲しい。でも、すぐには買わない。また次にお店を訪れたときに買おう、その時にマフラーかストールどちらにするか決めようと判断を先送りにする。欲望を宙吊りのままにしておく。それは一度欲望から距離を置いて眺めるためだ。本当に欲しかったらまた脚がここに私を向かわせるだろう。

それに、気に入るセーターやカーディガンに会えていないのは、まだお店の側も冬物を出していないからなのかもしれない。ボルドーの冬はいつ頃にどれくらい寒くなるかわからない。防寒具を買うのをもう少し待ってみるか。冬との我慢くらべだ。

でもそれは負けたら暖かい衣類が手に入るのであって、苦しい我慢くらべではない。にらめっこで笑いを堪えるような我慢くらべで、それによってむしろその欲望をより味わえるのだ、とも言ってみる。我慢くらべに勝ったら、つまり冬が終わってしまったらマフラーやカーディガンを買うこともなくなる。それは少しの節約にはなるが、別の意味で寒々しい。むしろ、早く負けてしまった方がいいかもしれない。

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