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Journées patrimoines

今週末は「journées patrimoines」という、ヨーロッパ全土で美術館や劇場、市役所などの普段は非公開の施設にも、無料で入ることができる日だった。

土曜日はクラスメイトのクローディアとクローディアの友達、スザンナ、メリーナとその彼氏と大劇場Grand Théâtreに行くことに。
土曜日は一週間の中で最も賑やかで、歩いている途中にいくつかの場所でマルシェをやっていた。

Marche des Capucin
Basilique Saint Michelle前のPlace Canteloup

美味しそうな野菜が並び、チキンの良い匂いが足を止めるように誘うなかを、振り切るようにして歩き続ける。あまり現金を持ってきておらず、JCBから引き出せるATMを見つけることもできていないので、現金を使うのは特に慎重にならなければならない。

と思っていたら、マルシェを通り抜けた先でJCBカードでキャッシングができるATMを見つけてしまった。危なかった。それを先に見つけていたら、これから出かけると言うのに食べ物で両手がいっぱいになっていただろう。

チケットを予約してくれたクローディアに、12:45に劇場前、と言われたので、40分に着いて待っていたが、時間になっても誰も来ない。
私はまだSIMカードを入手しておらず、Wifiがないと連絡することが出来ない。少し心細くなってきたところに、メリーナが彼氏を連れて現れた。よかった。間違えてなかった。
それからさらに10分遅れてクローディアとその友達が到着。スザンナを待っていたが、予約した13時になってもまだ来ないので先に入っていることに。彼女が来たのは、13:10頃だった。

オペラ座の階段はこれをモデルにつくられたとされる
ロビーの天井画


この劇場はパリのオペラ座をつくった建築家シャルル・ガルニエに影響を与えたらしい。昨年の旅行でオペラ座を訪れたのを思い出し、あぁ、確かに似ているなと思った。似ているな、と思っただけでオペラ座のときほど感動したわけではなかった。オペラ座の階段は劇場という非日常への入り口としてふさわしい空間になっていたのに対し、今回見た劇場の階段はただの階段にしか見えなかった。

それはたぶん、もうすでにオペラ座を見ていたということもあるが、明るすぎたことよるところが大きいと思う。オペラ座はもっと暗かった。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』では金が闇に浮かぶ美しさについて言及があったように記憶しているが、それと同様に、周りが暗いことにより光の輝きが闇に浮んでいるように見え、彫刻の顔は半分闇に隠れ、『オペラ座の怪人』のファントムの仮面のようだった。

興味深かったのは、普段は公開されていない衣装部屋だ。

ハンガーにかかっているタグを見ながら、文学服装学院に通っていた時、一度フィッターのバイトをしたことを思い出していた。
おそらくここで慌ただしく着替えて、次の舞台に立つのだろう。

横パノラマ
縦パノラマ

ここがメインの劇場。思っていたより大きくはなかった。
久石譲さんが2025年の2月にここで演奏するらしい。チケットも今から買えるようだ。最も高くて70ユーロ。日本ではチケット代はもっと高いうえに、すぐ満席になって予約が取れない。こちらで見るのもいいかもしれない。

劇場でメリーナとその彼氏と別れたあとは、劇場前の広場で行われていた中世の踊りを模したショーを見る。これも「journées patrimoines」ならではだ。

その後は、クローディアの友達にシュークリームをいただいたり、カフェで相席になったおばさまとお話ししたり、書店で本を買ったりした。

格別の美味しさだったシュークリーム
書店にて

1日の終わりには、植民地と奴隷制の歴史を聞きながらボルドーにある跡地を歩いて回るツアーに参加した。

Jardin publicにて。30名くらいがツアーに参加していた。


たっぷり3時間にわたって、フランス語で説明してくれる。大部分はわからないが、部分的に聞き取れた単語を繋げて何を話しているのかを想像する。あるいは、わからないままで、できるだけ聞こえた通りにシャドーイングする。

それが終わったときにはもうくたくただった。夜9時。何か食べて帰りたかったが、疲れていたし、節約もしないといけないから、一足先に帰ることにした。クローディアとスザンナに「一緒にご飯に行けなくてごめんね。」と謝ると、「わかるよ、わかるよ。」と2人ともハグしてくれた。「誘ってくれてありがとう。おかげでとってもいい日だった。ありがとう。」と、それぞれと2回目のハグをして別れた。

帰り道。Garonne河沿いにて。

ボルドーは、人々が穏やかで親切だ。夜に歩いていても問題ない、と思っていたら、遠くで立ち小便をしているらしき人がいる。
えぇ、嘘でしょ、、
と視界に入れないように道の反対側を通りすぎた。こういうのがあるから、油断してはいけない。

帰ってからはお昼に買った本を早速読み始めた。今日は友達がくれたお香を使って良い日にしようと、マッチみたいなお香を焚きながら。

左がいただいたお香。右は太宰さんの『ヴィヨンの妻』。

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