ニーズを調査する〜パランパルミルをウィーズの事業にするまで⑥〜
社会起業塾の途中でおこなわれた「分科会」ではIIHOEの川北秀人さんによる「顧客リサーチ」の講座がありました。
題して「顧客リサーチを通して最適な事業を考える」
私のように自分自身が過去の当事者である場合、「こういうことを当事者は必要としている」「こういう困りごとを当事者は抱えている」ということを思いつきやすいはずです。
しかもそれが、わりとクリアだったりしちゃうので、現在の当事者と共感しあえたりもして、「やっぱりそうだよね!」と確信に変わる場面があります。
しかし、これは思い込みで支援を作り上げてしまう危険なことです。
『本当か?』『みんなそうか?』とある意味疑うことはとても大事で、「顧客リサーチを通して最適な事業を考える」ことは、避けてはいけないのです。
・・・・と思いつつ、後回しになってしまうのですよね。
日々の現場業務に流されていくと、こういう「重要だけれど緊急ではない」という場所に置いてしまっていることが、後ろ倒しになっていきます。(書いていて反省の念しかでない)
社会起業塾はこの点でも、強制的にその時間がとれる素晴らしい機会を与えてくれたと思っています。
私が取り組んだ調査を以下に紹介します。
まず、このnoteでも触れてきましたが、ウィーズが取り組んでいる社会課題は「子ども時代の家庭環境や親子関係に傷を抱えて育つことでいきづらさがある」ことが、「ひずみの犠牲(自殺・自傷・他殺・他傷など)につながってしまうことがある」、これをゼロにしたいというものです。
そのため、私たちは活動・事業の重点対象を以下の方々としておいています。子どもたちだけではなく、そのまわりの人たちも含めて対象とする必要があるという視点を持っています。
このときの調査では、上記で色がついている
A:家庭環境や親子関係にしんどさを感じて育った18歳以上の大人(かつての子ども)
B:家庭環境や親子関係にしんどさを感じて育つ人に接している支援者
を対象に調査をすることにしました。
①の18歳未満の子どもたちは活動の主対象ではありますが、調査の対象になってもらうことが本人さえも予期せぬ大きな負荷に繋がると考えたたため対象としませんでした。
当時ご協力いただいたみなさん、本当にありがとうございました。
以下が、調査の結果です。
この調査から強く感じたことは以下の2点です。
1)『家にいたくない』という状況は誰にでも起きうる。親子やきょうだいが健全な関係を保っていくために、家族であることをひとやすみする方法が必要である。
2)支援者と子ども(当事者)の1:1の関係性が日頃から十分に育まれ、『踏み込む』ことをしなくても、自然な対話の中で、家庭のことが話せるベースをつくっておくことが必要である。
この2つは、実際に現場の業務を進めている中でも実感があるところです。
「家にいたくない」ということでみちくさハウスに来てくれる子がいますが、宿泊をするためには親の同意が必要となります。子どもから話すことは難しいので、親への連絡をわたしたたちがおこなうこともできるのですが『親には言いたくない』と言う子もたくさんいます。
そうなると児相や警察に介入してもらうことになるのですが、それはもっと抵抗がある・・・・という子がほとんどです。
しかし、『それでも泊める』ということはできません。
それでも泊めた場合は誘拐の扱いになってしまうからです。
『ひずみの犠牲の予防の観点で【合法的家出】をかなえる活動ができないのだろうか・・・?』
・・・・そう思って、考えていたところに、
『あ゛っ!!!!』
と私の頭にパランパルミルが降ってきました。(笑)
2023年秋。
ここから、パランパルミル事業化に向けた準備がスタートしました。