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誤植との邂逅、そしてイタズラ書きと

邂逅とはまた大袈裟な。と自ら突っ込んでおく。

久しぶりに巡り合った誤植である。

師岡千代子『風々雨々』より
国立国会図書館デジタルコレクション

誤植箇所をマークしようとして、だけどやめた。こういうものは不意に出会した方が印象に強い。「お!」という感嘆の後に思わず知らず「♪」の一つでも付けたくなるような心持ちになる。というのはもしかして私だけだろうか。

この誤植もすごいんだが、「堀柴山」という名前もすごい。この「堀柴山」を読もうとして、あるいは何者か知ろうとして、あちらこちらを訪ね歩いて(いや、歩いてないけど)、そしたらまたまたいろいろ思うところがあって、これはいずれ別に書こうと思う。

ちなみに、ここにチラと出てくる「真柄さん」とは、堺利彦の娘である。


誤植というと、同じような誤植を過去に一度だけ見たことがある。

アルベール・カミュ『ギロチン』
大阪府立図書館所有

こちらも『お!♪』組である。「無益な悔恨」でよかった。「愚かな悔恨」だったりでもしたら、文字通り「愚か」になってしまうところであった。

ところで、こちらの本は別の意味でも印象的なのてあって、読み進めていくとこんなものにお目にかかる。

アルベール・カミュ『ギロチン』
大阪府立図書館所有

これは「カフカ、カフカ」と、二度続けて書いてあるのか?
しかもカミュの本に?(笑)。
頁をめくった瞬間に驚きましたな。5秒くらいは硬直していたかと思う。繰り返すが図書館本である。間違って書いてしまったのか。もしかしたら自分の所有本に書いているつもりだった、のかもしれない。たとえ自分の本だとしても、この大胆な書き込みには驚嘆するが。ぼんやり考え事をしていて、電話しながらイタズラ書きをするかの如くに書き殴っていたら、不幸にも図書館本だった。きっと、そんなことなんだろう。そういうことってありそうじゃないか(ありそうか?)。

と、一度は納得しかけたんだが表紙に戻って再び驚愕する。

アルベール・カミュ『ギロチン』
大阪府立図書館所有

いや。
これは。
何気なく、ではないね。
ぼんやり、でもない。
明確な意志を持ってタイトルに訳語を付けたんだろう。

「Kafka Kafka」と同じ人なのか。同じインクっぽい。そもそも違う人が同じ本に大胆な書き込みというのも、それはそれですごいのだが。

とすると、「断頭台」と同じ人が「Kafka Kafka」と明確な意志を持って成されたんだろうか。どんな理由なんだ。

そういうようなことをぼんやり考え続けた。

今度はいつ面白い図書館に出会うのだろう。


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