
マネーリテラシー0の私が『きみのお金は誰のため』を読んで涙した理由|カップ麺1つにも、こんなに深い物語があった
今更ながら、2024年にかなり話題となった「『きみのお金は誰のため:ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』(田内学著)を読みました。
今回は、その本の感想と学びについて記録したいと思います。
※この記事には本書のストーリーに関するネタバレが含まれています。物語の展開を楽しみたい方は、先に本書を読むことをおすすめします。
はじめに|なぜこの本を手に取ったのか
「マネーリテラシーを高めたい…でも難しい本は読みたくない…」
そんな私の願いを叶えてくれたのが、読者が選ぶビジネス書グランプリ2024の総合グランプリ&リベラルアーツ部門賞を受賞した『きみのお金は誰のため:ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』(田内学著)でした。
本書の特徴|経済の話なのに心温まる物語
本書の最大の特徴は、経済の仕組みをミステリアスな物語の中で自然に学べること。主人公の中学生・優斗が、謎の男性「ボス」から出題される「お金の謎」を解いていく展開は、まるで推理小説のように読者を引き込みます。
一、お金事態には価値がない。
二、お金で解決できる問題はない。
三、みんなでお金を貯めても意味がない。
こんな根源的な問いから始まり、徐々にお金と経済の本質に迫っていく展開は、経済の話が苦手な私でも自然に理解を深めることができました。
具体的な学び|目から鱗の気づき
1. お金は「解決策」ではない
本書で最も印象に残った学びの一つが「お金は解決策ではない」という考え方です。
お金を使うということは、自分では解決できない課題を誰かにパスして解決してもらっているということ。お金はその『お願い』をする時の道具に過ぎない。
この一節を読んだとき、私の中で何かが「カチッ」とはまりました。私たちは日々お金を使って様々な課題を「解決している」と思い込んでいますが、実は単に「選んでいる」「お願いしている」だけだったのか、と。
私も主人公たちと同じで、「お金があれば豊かになれる」と思い込んでいるフシがありました。実際のところ「お金」があれば選択肢が多くなるのは事実です。自分の目指す「豊かさ」を叶えるためには、少なからず「お金」は必須だと、読了後の今でも思います。
ただ、この説明を読んで「お金の見方」というものがガラッと変わったのは事実でした。
2. 企業努力と私たちの生活
本書を読んでから、日常生活での「気づき」が増えました。例えば、カップ麺一つを見ても、その裏にある膨大な企業努力に思いを馳せるようになりました。便利で美味しく、しかも手頃な価格で食べられる食品の背景には、数え切れないほどの人々の工夫と努力があったのです。
印象深いポイント|単なる経済の本ではない理由
物語としての完成度が非常に高いのも本書の魅力です。経済の話がメインなのに、登場人物たちが生き生きとしていて、しっかりとした伏線回収もある。読み終えた時には、純粋に感動する物語としても楽しめました。
特に印象的だったのはお金の流れを「雨」や「水」に例えた表現。そして、私たち一人ひとりの消費行動が「未来を選ぶことにつながっている」という気づきでした。
今まで「欲しいものを買う」「必要なものを買う」という単純な行動だと思っていましたが、実はその選択によって、どこにお金(水)が流れ、どの企業や産業(池)が潤うのかまで影響を与えていたのです。
今私が住んでいる地域には個人商店が多く、季節ごとに様々な催し物が開催されています。商店街では子どものためのイベントや、街の活性化を目指したポップアップショップ、スタンプラリーなどが定期的に行われ、地域のつながりの強さを感じます。
今まではただのイベントの訪問者でしたが、この本を読んで、こうした活動をする人々の想いが分かったような気がします。地域の個店が潤うことは、街全体が活気づくことにつながり、そこに暮らす私たち住民の生活も豊かになっていく──そんな経済の循環を、身近なところで実感できるようになりました。
自分の消費行動が持つ意味の大きさに、あらためて気づかされた瞬間でした。
こんな人に読んでほしい
マネーリテラシーを高めたいけど、難しい本は苦手という方
これから社会に出る若者
「お金」について改めて考えたい全ての人
本書は難易度も低く、読書時間は約3時間程度。休日の午後に一気に読み切れる分量です。
読んだ後の変化|新しい視点との出会い
本書を読んでから、「稼ぎたい」「収入を増やしたい」という考えが、「誰かの課題を解決したい」という思いに変わってきました。特に印象的だったのは、高所得者は必ずしも「利益のために会社を作った金の亡者」ではなく、多くの場合「人々の生活を便利にした・生活の質を向上させた結果として富を得た人々」だという視点です。
「みんなを等しく便利にした会社の創業者が、結果的に大金持ちになったんや」
おわりに
この本は、単なる経済の解説書ではありません。お金を通じて、人と人とのつながりや、社会の仕組みを考えさせてくれる素敵な一冊です。読み終えた後、不思議と自分と周りの人々が愛おしく感じられる──そんな温かい気持ちになれる本でした。
リベラルアーツ部門賞を受賞したのも納得です。これは、義務教育でも扱ってほしいと思えるほど、すべての人に読んでもらいたい一冊です。
いいなと思ったら応援しよう!
