1ページに満たない映画感想<立ち上がれ、主人公!>2015年④
ナイトミュージアム エジプト王の秘密(2014年/ショーン・レヴィ/アメリカ)
ベン・スティラーがとても良かった。
お馴染みの自然史博物館の面々や息子ニッキーとの関係も含め、主人公ラリーの成長がしみじみと感じられました。
最初はあんなに大変な思いをして夜警をしていたラリーが、展示物たちと信頼を築いていき、今や自然史博物館を守る存在となっている。いやはや、ナイトミュージアム好きとしてはなんだか感傷的になってしまいますね・・・。
展示物を動かしている原因である、エジプト王家の<石板>の謎を解くため、ロンドンの大英博物館へ・・・というダイナミックなスケールも見どころ。毎度のことながら、迫力のある映像でした。
あの有名な歴史上の人物が?!とか、この絵の中に入り込んでしまうのか?!という、シリーズならではの楽しみが満載。
この世界にどっぷりと浸って楽しめるエンタメ作品だなあ、と改めて実感しました。
結局エジプトの石板はロンドンに残ることになるのですが、それはつまり、自然史博物館の展示物たちは、もう動かなくなってしまうということ。展示物たちとお別れするラリーがとても寂しそうで。
そんな場面でのルーズベルト大統領の最後のセリフが、この作品の終着点になっているように思いました。
「Smile my boy, it's sunrise. 」
(笑ってくれ、夜明けがくるぞ)
夜警の仕事を終えるラリーに向けた、素敵な別れの言葉。
ロビン・ウィリアムズの最後の出演作でもあり、彼の素敵なルーズベルト大統領がシリーズ通して印象に残っています。
<夜になると展示物が動き出す>というワクワクする設定の中に、平凡な主人公ラリーの人間としての成長も窺える、大好きな作品です。
☆2015年3月26日鑑賞
しあわせはどこにある(2014年/ピーター・チェルソム/イギリスほか)
タイトルそのまま、「幸せってなんだろう?」を追求する物語。
主人公は精神科医のヘクター。患者と向き合ううちに、幸せというものは一体なんなのか?と自問し、中国やアフリカといった海外へ探求の旅に出ることに。
その旅の中で、彼は「幸せとは何か」という問いに対するヒントを集めていきます。
幸せって、お金?愛?不幸にならないこと?
若いとは言えないヘクター博士が、改めて「幸せ」について考える姿に、リアリティがあって良かったと思います。
ある程度生活の余裕もあり、完璧な恋人もいる。不自由のない人生を送っている。それでも、その状態が「幸せ」と言えるだろうかと思うあたり、若者では気付けないかもしれません。
まあ、余裕があるからこそこんな大掛かりな旅ができたんだろうなと思うと、ちょっと複雑ですけどね…そこは突っ込まない方が吉でしょう。
☆2015年7月9日鑑賞
悪党に粛清を(2014年/クリスチャン・レブリング/デンマークほか)
初めてのウェスタンが、まさかの北欧発ウェスタンノワール。
ただひたすら復讐のために人を殺し、そして殺される。そんなキツい時間です。
でもマッツ・ミケルセン演じる主人公ジョンだけが生き残るという。(さすが主人公)
さてこちらの映画、R15となっております。それだけの覚悟は必要かと。
辺り一帯を支配するデラルー大佐と対峙するジョンは、彼を殺さない以上自分が死ぬだけ、というくらいの絶体絶命っぷり。
目の前で妻子を殺されるという苦しみを味わったジョン。犯人を撃ち殺したことからデラルー大佐との戦いが始まるわけですが、ジョンからは人間としての道徳的な何かは崩れ去り、ただ人を殺すことを苦にもしない。
一線を超えてしまった人間の狂気は、役者マッツの持ち味なのかもしれませんね。
☆2015年7月20日鑑賞
Re:LIFE(2014年/マーク・ローレンス/アメリカ)
ラブコメ監督のライトな映画という感じです。
主演はヒュー・グラント。彼が演じる主人公キースは売れない脚本家で、給料がもらえるなら、と田舎の大学で教鞭をとることに。過去にアカデミー賞の脚本賞を取っていることから、お調子者というかなんというか、プライドだけは高い。
でもヒュー・グラントだからチャーミングに見えるし、許せるんですよね。何なんでしょう、この人の魅力って。
そしてJ.K.シモンズにいつ怒鳴られるかとびくびくしていましたが、最後までとても良い人だったので安心しました。(「セッション」の後遺症)
キースの再生の話。虚勢を張って自分を繕ってきたけど、大学で様々な背景を持つ人に出会い、自分を見つめ直していく。
でもまあ彼の努力というよりは、「運」みたいなところはあったのかもしれない。
ストーリーはもちろん良かったけど、もっと緩急があると面白かったかなあ。ものすごいハプニングがあるわけでもないので。
全体的にのんびりした雰囲気で、気楽に見れます。
☆2015年12月9日鑑賞
★余談〜どんな主人公が好きですか?〜
映画ですからね。主人公が頑張るものなのです。
いろんなタイプの主人公がいますが、「人生うまくいってないな」みたいなタイプの役が結構好き。この4作品の中で言うと、「ナイトミュージアム」のラリーや、「Re:LIFE」のキース。
スーパーヒーローのような主人公もかっこ良いけど、その人のどんよりした人生がちょっとだけ明るくなっていくような、そのくらいのテンションがなんだか良い。劇的に何かが変わるなんて、なかなかないことですから。
それが起きちゃうのが映画の楽しいところなんですけどね!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。