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1ページに満たない映画感想<戦争を考える映画>2015年⑥


日本のいちばん長い日(2015年/原田眞人/日本)

その名のとおり、日本の歴史の最も重要な一幕。
ポツダム宣言を受諾するか否か。
1945年8月15日の、人々の行動と心情を描いています。

日本の今に繋がる大きな分岐点

ただ映画としては格好の材料ですが、それをただのドラマとして見てはいけないのだと思います。これを史実として受け入れる責任が、日本人にはあるはずです。

「日本という国の命運」を描きつつ、その中にある天皇・政治・軍、上司と部下、さらによりミクロな視点で個人の内面を描いている。
特に松坂桃李演じる畑中少佐は、見ていて苦しい。戦争を継続すべきだと主張する彼らの胸中が計り知れない。それほど情報が統制されていたのか?日本を守るって一体どういうことなのだろうか?命を落としてまでも守りたい「国」って何なのだろうか?

スケールの大きい話ではありながらも、国の行く末に携わる個人個人の胸の内を描くことで、事実が「ドラマ」になっている。
決してフィクションではないこの事実が、映画になることにより、フィクションのようになってしまっていたら残念だけど。

遅かれどこのタイミングで戦争が終わったというのは、彼ら和平派がいたからこそであり、そのおかげで今の日本の平和があるのだ、と再認識させられます。そして、全ての日本人がそうでなければならないのだと思いました。

*半藤一利のノンフィクションが原作です。こちらも読まないといけないと思いつつ、なかなか勇気が出ない。

☆2015年8月28日鑑賞



ヒトラー暗殺、13分の誤算(2015年/オリバー・ヒルシュビーゲル/ドイツ)

ただただ、このような時代が存在していたという事実が過酷すぎる。

主人公ゲオルク・エルザーは普通の家具職人。彼こそが、ヒトラー暗殺計画を実行する人物です。
ヒトラーの登場によって、誰にも侵害されることのなかった彼の自由な人生は失われていきます。
社会の状況を見て「ヒトラーは間違っている」と判断したエルザーの目はすごい。自分の利益のことではなく、社会はどうなっているかに着眼した彼はただすごい。これ以上の被害を出さないように。暴力は何も解決しないという彼の信念は確かなもの。

ドイツはエルザーをイギリス諜報部か?誰に頼まれた?と問いただしますが、彼は彼自身の信念のために実行しただけです。

・・・それって結構難しいことじゃないですか?
集団における自分の立場や世間の目を、どうしても気にしてしまいます。
自分が本当に信じていることを、大勢の前で自信をもって「信じている」と明言するなんて、実は結構勇気のいることだと思う。まして世論とは真逆のことを言うのですから。

なぜ、エルザーはそれを行動に移すことができたのでしょうか?
きっと、自由などこにも属さない1人の人間だったからこそ、「人として」ヒトラーが間違っていることに気づけたのだと思います。

*主演のクリスティアン・フリーデルですが、話題になった映画「関心領域」(2023年/ジョナサン・グレイザー)にてナチス幹部のルドルフ・ヘスを演じていてびっくり。ドイツの俳優さんってきっと誰でも一度はナチス党員を演じているのではないだろうか・・・。

☆2015年11月24日鑑賞



★余談〜戦争は日常を蝕む行為である〜

戦争を題材にした映画はなるべく見るようにはしています。
戦いを描く戦争映画もあれば、待つ人を描く戦争映画もある。
メッセンジャー」(2009年/オーレン・ムーバーマン)という映画は、戦争のもたらす「大切な人を失う喪失感」を描いた良作だと思っています。

今年の夏は「TOMORROW 明日」(1988年/黒木和雄)を見ました。長崎原爆投下前日の、庶民の日常を切り取ったかのような映像。明日が来る。それは映画を見る人にとっては恐怖でしかないのですが、スクリーンの中の人々はそのことを知る由もない。
原爆が投下され、一何もかもが一瞬にして失われる恐ろしさに、ラストシーンは息もできませんでした。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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