初めてのお盆休み
結婚して初めてのお盆、義母の実家へ遊びにいった。
夫からこの話を受けたとき、正直行きたくないと思った。
特に無理強いされるわけでもなく、選んでよいと言われたものの、個人としての行きたくない気持ちと、嫁として行った方が良いのではないかという気持ちが葛藤した。結局自分では決断できず、夫に「来て」と言わせて落ち着いた。
私は幼少期から、ほとんど親戚付き合いはしてこなかった。
両親も親戚づきあいが多い方ではなく、父方の実家は車で30分程度の距離ではあったが、年に2回程度(滞在時間は1時間程)しか行かなかった。
母方の実家は離れていたが、夏休みになると40日間預けられるのが毎年の決まりで、その間は祖父母との時間を過ごしていた。
母方に従弟はいないので、同世代の友達はおらず、ずーっと祖父母と一緒だた。
叔父叔母とはもう10年以上会っていない。
一方、夫は両親ともに親戚が多く、しかも家族ぐるみで仲が良い。
従弟はそれぞれ10人程度でみんな兄弟のように育ってきたという。
初めて親戚と対面した時、叔父叔母たちが夫のことを息子のように理解しており、何も気を遣うことなく寝泊りまでする関係だった。
思い出せば結婚式の準備の時点で、その片鱗は見えていた。
コロナ禍ということもあり友人を限定して呼ぶかという話になったとき、夫から「親戚を差し置いて友人は呼べない」と言われた。
聞けば、親戚だけで60人程となり、友人を呼ぶと夫サイドで100人を超えてしまいそうだった。
かたや私は、本当に仲の良い友人に絞ると20人程度となってしまい、且つ叔父叔母や従弟を呼ぶ予定は無かったのでバランスが悪くなるため、最終的に両親・姉弟のみを呼ぶことにした。
そんなわけで、私には夫にとっての親戚がどの程度の距離感なのか、ほとんど分からずにとりあえず向かった。
結果、疲労感など全くなく、滞在を終えて帰宅した。
理由はいろいろとあったと思うが、特に思い当たるのは、飾らず気さくな人柄の方々だったことだ。
その土地の県民性にもあるとのことだが、適度にお客さんとして迎えてくれる中にも他人行儀感はなく、自然に会話に入れてくれる方々だった。従弟や叔父叔母はそれぞれが家庭を持っているため血縁の無い親戚も来ていたが、初見では誰がそうであるかは見分けがつかないほどに馴染んでいた。
若い世代の人たちも、特に敬語で話すといったことはなく、自分の家のようにふるまい、くつろぎ、自由に過ごしている雰囲気が、どこか温かだった。
幼いころから色んな人と触れ合い、対話し、育てられてきた環境が、豊かな人間性を作り上げていると思うと、自分のこどももそう育てたいと思うようになった。
思いのほか、良いお盆休みだった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?