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大人にはわからぬ、子供らの悲しみ

先週アトリエ日は極寒だった。道路も水道も凍り、アトリエは午後から開放。まずアトリエ日の流れからお話しします。

朝9時頃アトリエに来て、窓を開けて空気の入れ替え、軽く掃除、セージを炊いて場を整える。メール返信など諸々事務作業を終えて、10時半になると子供らがちらほら来て、ゆるゆるそれぞれのタイミングで始める。午前中は少人数のため、ゆったりお茶を飲んだり会話をしながら制作。

昼ごろになるとまた子供らが来る。わあっと声が聞こえるので、来たらすぐにわかる。なるべく入口で出迎え、みんな「今日はこれをするんだ!」などと決めて来ていたりすることを口々に一気に話してドヤドヤ中に入り、だいたい昼ごはん。アトリエでは特に昼食時間などは決まっていない。早めに食べる子もいれば、作業中だから食べるのを遅らせたり、一人で食べたり、外で食べたり、食べなかったり、様々。なるべく団体行動を促さないようにしている。私から行動についての声かけをすることはあまりない。自分の体やタイミングや気持ちを自分で細かく確かめることは、大事。

食べたらすぐに制作をする場合もあれば、まず遊ぶ場合もある。最近みんなしつこくやる制作をしているので、食べたらすぐに制作に取り掛かる子が殆ど。3時くらいになると集中力やエネルギー切れになるので、おやつタイムか外で遊ぶ。これも流れの中で前後するので、子供らが決める。外で遊ぶ子もいれば中で制作を続ける子もいるし、おやつをゆっくり食べる子もいる。これまたそれぞれ。外で激しく20分ほど遊ぶと自然に戻ってきて、また制作に戻る。そうするとまたみんなぐっと集中し始める。今は16時で終了だが、春からは17時までにするつもり。まだまだ彼らはやれそうで、やりたそうだから。

彼らを見ていると、自然や体調や気持ちの趣きに沿って動いていることがわかる。私は6〜8歳の頃ドイツでシュタイナー学校に通っていたのだけれども、先生は何かを始める時はいつも静かにチリリンと鈴を鳴らしていた。そうすると耳を傾ける子たちが自然な流れで波紋のように、先生に意識を向けてゆく。子供の意識が整ったタイミングで、静かに授業が始まっていた。そう思うと、日本のチャイムはとても乱暴だ。流れを断つ。私はこの鈴の音がとても好きだった。授業にも流れがあり、最初は静かにゆっくり始まり、盛り上がっていき、終わってゆく。物語のような流れがあった。それはとても身体的で感覚的だったように思う。
バウハウスの教育についての記録映画を見た時も、登校した子供らがまずすることは、今日一日をどう過ごすか、自分が考えて「場」を作ることだった。山のような流線形があるだだっ広いスペースに、個人、あるいは集団、あるいはグループで、場作りから始める。日々それは変わる。それはとても自主的で、自分自身にまず気分や流れを問いかけるというゆとりが、いいなあと思ったのを覚えている。

まあ、ここはアトリエなので、私はこんな風に丁寧に流れを作ったりはしない。アトリエは私が主導権を握る場ではないし、私がみんなの意識を集めるる必要もないし。子供らもアトリエが味方であると認識しているようなので、それでよい。

実は小学校の遊具が検査後、安全上の理由で半数が撤去されることになった。私も食い下がったが、補修はしない、市の予算上の理由で撤去。安全面を出されると承諾せざるを得なかった。これを伝えると子供らは悲しんだ。来週にはもう無いため、寒く雪舞う中で彼らは遊具にお別れの会を開いていた。遊具でおやつを食べて、「遊具にも少しおやつをあげたんだよ。喜んだかなあ」と言っていた。胸にぐっとくる。安全責任が取れないから、遊具を撤去すると簡単に決めた大人に、この出来事の意味がわかるだろうか。こうやって大人の何気ない日常の中で、子供の思いはひっそりと損なわれていく。

遊具の欠片が欲しいと言うので、業者に頼んで破片を残し(いづれ制作に使う)、ジャングルジムの上部は置いて行ってもらった。この姿を見て、彼らは悲しむのだろうか、それとも残ったことに少しは安堵するのだろうか。もっと出来ることはなかったかと、私もしばし落ち込む。ちくしょう、いつか行政から予算を取ってめちゃナイスな遊具を作ってやろう。

もらったジャングルジムの上部
さよならジャングルジム
かわいい滑り台もなくなった

さて、アトリエの時間に戻る。
全凍結していたのでもちろん水道は出ない。子供らは雪や氷を取ってきて
ストーブで溶かして絵の具に使ったりしている。なかなか溶けないので、子供らが「冷たいって強いんだね」とか話していたり。私は雪合戦で体力使い果たしたので、やる気しねえと言いながらダラダラ。今日のおやつは全粒粉クラッカーとバナナ。いつも私にも平等に分けてくれる。「あゆきさんは、完全な大人じゃないから」ポジティブに受け取っておくことに。
この日も楽しかった。単純に彼らと時間を共有することは面白いし、楽しい。

氷を持ってアトリエに。この後私対子供の壮絶な雪合戦に突入。私は体力使い果たし、制作に身が入らなくなってしまった。
なかなか溶けない。それもいい学びに。やってみなければわからなかったこと。
最近みんなキャンバスを立てて描くように。ちょこちょこ離れて見るため。
ストーブの近くで氷を溶かしながら絵の具に混ぜる。
最近アトリエ内で流行っている集中するための無音ヘッドフォン。確かに集中するようだ。
それぞれの制作。床に座ってしたり、椅子を机にしたり、立ってやったり。
いい色ができたら、交換とかしている。

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