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127日目 スラム街でゴミの中の音楽会 inバタム島#2

昨日現地のタクシーおっちゃんにとにかく安い宿に連れてってくれと伝えて連れてかれた宿は1人部屋の少しお高めのところだった
バタム島はバックパッカーがほとんど来ないらしく確かに安いドミみたいな宿はネットとかでは見つからない
ということで、今日1日はとにかく歩き回って少しでも安い宿を見つける1日にすることにした
バタム島の街も見れて安い宿に引っ越しもできて一石二鳥だ

他の街と比べると人が少ない
観光客なんてほとんど見当たらない
そこらじゅうにゴミがあって汚い
道にいる人みんなタバコ吸ってるのでまぁゴミがその辺に捨てられるのも納得だよなといった感じ
そこには生活があるだけ
真新しい何かはない、けど路上のみんなもだらっとしてるので居心地は悪くない

バタムには高いビルはほとんどないが、それでも時折デカい建物はある
一番の名所がショッピングモールらしいがそれすら田舎のショッピングモールといった感じなのでまぁそういう感じだ
そして中心部から少し外れるとすぐにトタン屋根とボロボロの家が並び、ゴミが溢れるスラム街へ突入する

スラムの裏道に入ると路肩はゴミだらけ、タバコを吸ってる現地の人たち
ボロボロの家と薄暗い通り、歩いていて大丈夫なのかとちょっと心配にもなる
でもこのあたりは少し安い宿がありそうだ
いくつか安いところは見つけたものの、あくまで志は高く、いろんな宿を回っては値段を聞いて最適解を求め歩いた

少しひらけた通りに出るとその辺の道にいるおっちゃんたちがなんか俺に向かって叫んでる
彼らのうちの1人がギターを持ってたので興味本位で近づいてみる
宿を探していると伝えると口々に俺についてこい、俺のバイクに乗れ、うちに来いと言ってくる
やんわり誘いを断りながら隣に座ってちょっと話すと案外すっかり仲良くなった

jenis tuak aren

彼らはやしの木から取ったjenis tuak arenってジュースをごくごく飲みながら延々とタバコを吸ってる
お酒じゃなくてジュースだって言ってたけどお酒としか思えないような味がする
これでノンアルコールってのはよく分からん
ネットで拾った写真だけどこんな感じでペットボトルに詰められてる

ギターを持ってたといったが、彼らはほとんどみんなギターを弾けた
彼らは誰1人英語を話せなかったので、はじめのうちはジェスチャーやらGoogle翻訳やらでなんとかしてたが、話すより歌おうという流れになった
案の定僕にも回ってきて、せっかくなのでリクエストを募ると、ドラゴンボールとナルトは知ってるとのことだったので、DANDAN心惹かれてくとブルーバードを弾いた
中にはうろ覚えの日本語で歌ってくれる人もいて、言葉がわからなくても音楽でどうとでもなるんだと嬉しく思った

結局宿を探す目的なんてすっかり忘れて、4,5時間スラムのゴミ山の中で飲んで歌った
ここまでは相当楽しかったんだけど、そろそろ帰ろうかとなると、やっぱりスラムの現実というのが垣間見える

僕が帰ろうとするといいからバイクに乗れと言ってくる人
お前は金持ちなんだからタバコを買ってきて欲しい
いい場所があるから連れてってあげる
など口々に利益を得ようとしてくる
一方で、こんな奴ら信用しちゃいけない、1人で帰るべきだ、とか
鞄を開けたままジュース代を払おうと2mほど離れただけで、チャックを閉めろとか言ってくれる人もいる

さっきまであんな仲良く歌ってたのに、その空間がいきなり終わりを迎え、終わった瞬間今までのことがリセットされてしまうのが結構ショックだった
僕としてはスラムという普段感じない世界に触れて近づいた気になっていたが、表面的な行動だけで埋まる溝ではなかった
確かに甘ったれた世界で生きてきた若造の綺麗事ではあるが、このような小さなコミュニティーではもう少しその綺麗事がまかり通ると思っていた

気持ち的にはかなり複雑だったが、うまいこと切り抜けせめて別れ際は気持ちよく終えられた気でいた
こいつらを信じちゃダメだと忠告してきた2人と一緒に帰路につく

話を聞くと、ここにはほとんど外国人は来ないし、日本人なんて見るのは初めてだという
「君は音楽も好きそうだし、話していて楽しかった、彼らは悪いこともするから信用しちゃいけない
僕らは彼らとは違う、ただ君と友達になりたい、今日はうちにきて僕と歌おう」
と言ってくる
はっきり言って本心じゃないのはわかってしまう
断るとなんか言ってそそくさと去っていってしまった

1人になってまたしばらく歩くと、さっき飲んだ別のやつがバイクに乗ってやってきて、いいから後ろに乗れ
お前の言うとおりの場所に行くからと言ってくる
それも断った

さっきまで楽しく飲んで歌っていた時はみんな心から楽しかったように見えたが、今となってはどうかわからない
彼らのうちどのくらいが僕と同じ気持ちで楽しんでいたんだろう
初めは下心があったとしてもその下心が友達としてなくなったりはしたのかな

結局スラムの近くで安い宿を見つけてはいたが、昨日と同じ街の宿に泊まった
思いのほかショックでこれからまたスラムに戻って荷物を移動させて…とかはとてもする気分になれなかった
正直仲良くなったけど、騙す目的だったことは、この旅で何回も経験してきたが、
音楽っていう自分の好きなもので、言葉の壁もみんなで超えて、僕からしたら非日常な環境で
っていうので、僕の方が勝手にいい気になっていただけだった気がする
目に見える形としての行動で一つ成した気になって知った気になっていた自惚れと自己満も痛感した
いかにも世間知らずの旅人って感じで情けない

傷心のまま夕飯を食って、布団に入った
街の中心の1人部屋の宿なのにダニが凄すぎて、なかなか寝付けなかった

屋台で串を見つけてチキンと言ったら他のカレーも勝手に出てきてまぁまぁの値段した
そういうのも優しさなのかなんなのかわからなくなる

今日の自立散歩のお供
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