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コンビニを観察して、「らしさ」について考えてみた

ここ直近2ヶ月間ほど、Takram発のU30デザイナーコミュニティ、Park@の第2期に参加していました。
Park@では「観察」についてゲストの皆さんからお話を伺ったり、コミュニティのみんなと観察を行うことができとても有意義で贅沢な時間でした。

今回は、その最終課題として行ったものを記事として公開したいと思います。

なぜコンビニ?

Park@2期の初回、私たちはまだよく観察について考えたことがないまま、班ごとに分かれ、「コンビニ」「銀行」「駅」について観察を行いました。私は「コンビニ」の班になり、もう出しきれないと思うくらい観察をしました。

グループのみんなと考えたもの。違和感や不便、なんで?と思うものについて捻り出した

そしてこの後、3回の講義にわたって、観察についてたくさんのことを教えていただきました。

最終課題の対象はなんでもよい、とのことだったので、あえて出し切ったと思っていた「コンビニ」を選び、自分がどのように観察を広げることができたのか試してみることにしました。

観察の軸

今回は、実際に再度店舗に通い店内を回りながら、もっと知りたいと思った次の数点を観察してみることにしました。

  • コンビニ各社の方針の違い

  • 構造

  • サービス

  • ブランド作り

また今回は各社ごとに分けて観察することで、特色のある部分や逆に共通していることを洗い出したいと思います。


1. 構造を観察する:売り場配置

まず、売り場配置はどのように決めているのか、また法則はあるのか気になりました。そこで企業ごと2店舗ずつ調査し、販売しているジャンルでマップにしてみました。

緑が常温、水色が冷蔵、青が冷凍、赤が保温です。

●セブンイレブン

  • アイス、衛生用品多め

  • ダイソー商品を扱っている

  • プライベートブランドが多い気がする

●ローソン

  • 本が少なめ

  • 駅ナカなどの狭い店舗ではコーヒーはセルフではなく、作ってくれる

  • セルフレジがあるがあまり使われていない様子

  • 冷凍系が少なめ

●ファミリーマート2店舗

  • 自宅の周りは大きい店舗が多かった

  • ウェアや衛生洋品、文具など食材以外も充実。

  • 特にウェアのPBがおしゃれですごい。ファミマは大体どこでもあるし、靴下とかここで買い揃えてもいいな〜と思った。

観察の感想

  • もっと数を見てみないと配置と企業との関係はわからないなと思った。

  • 内側から補充をしているらしい、ドリンク系が見事に建物中心部寄せになっている

  • 冷蔵エリアはできるだけまとめて壁側

    • 浮島にしてでも冷蔵にしたいのはスイーツ、栄養ドリンクあたり

  • 栄養ドリンク、アイスは意外とどこでも入り口から見やすいところにある

    • 入り口近くの商品は固定ではないが、スナック、あめグミ、栄養ドリンクは近くにありがち

  • 奥にありがちなのは衛生洋品、文具、調味料、レトルトなど。


2. サービスを観察する:コーヒーマシン

次に、各社の提供しているサービスの姿勢を観察するため、コーヒーマシンを観察してみました。

●セブンイレブン

  • ボタン式とディスプレイ混ざっている。ディスプレイの方は作れるメニューが少ないが、濃いめ薄めを選択できる。

  • ボタンと文字が多めで、機械の使い分けもあり、カップを買う方式であることがあまり明記されていないので迷いそう

ローソン

  • タッチパネル式。アイスかホットかから選ぶためボタンが少なく選びやすい。買い方のヘルプもついてる。

    • 英語、中国語対応もしている

    • アイスとホットで明確に色分けしていて、蓋類も赤青で色分けされてるのでわかりやすかった。

      • トッピングが右、蓋類が左としっかり分かれているのも良い

  • 扉の取手は少しわかりづらく、同化している

●ファミリーマート

  • 他社2社に加えてフラッペもあり、より複雑。

  • ボタンがめちゃくちゃ多い。ここまでくるとタッチパネルの方が今後の改修も楽なのでは…?と思った。

  • 左右のユニットでできるメニューできないメニューあるけど、エリアの点灯式になっていて文字で書いているだけよりもわかりやすいと思った。

感想

  • 全社、コーヒーカップを渡されてここでセルフで入れる形式なのに、UIの違いが大きく驚いた。

  • 個人的にいちばん使いやすいと思ったのはローソンで、各ステップで考えることを少なくしていて秀逸なUIだと思った。

  • こういったものの設計は、メニューの増減も考えながら作らないといけないので大変だと感じた。


3. ブランドを観察する:プライベートブランドのデザイン、味

次に、それぞれの企業がどのようにターゲットを考え、ブランドを作っているか気になりプライベートブランドを調べてみました。
いつもならデスクリサーチをしますが、今回は商品の観察から考えてみます。

食べてみた① ホットコーヒー

せっかくなので五感を使って観察ということで、食してみることにしました。まずはホットコーヒー。

●セブンイレブン
→豆を感じる。穀物!高級そうな味で美味しい。

ローソン
→苦味が強めで、オーソドックスに美味しい。毎朝飲みたい。マチカフェというコンセプトらしい

●ファミリーマート
→酸味寄り。浅めで飲みやすい。軽く飲める感じ。カップがおしゃれ。フラッペとかもある


食べてみた② 柿の種

●セブンイレブン
→ピーナッツが多くて嬉しい。味は正統派。手が無意識に進む「こだわり」「大粒のバタピー」など品質推し

ローソン
→軽い!カリッとしていて味は薄め。ローソンのPBは優しいデザイン「カリッとした食感」

●ファミリーマート
→味が濃いめでお酒に合いそう。ピリ辛で醤油を2種使っているからか、醤油味が濃く複雑な感じ。美味しい。「あとひき」「ピリ辛」


食べてみた③ スイーツ

スイーツも同じものを用意したかったのですが、各企業出しているものが違ったので売り場で一番推されていた冷蔵洋スイーツを買ってみました。

●セブンイレブン
→正統派で外さない、スタンダードなプリン。絵文字になる味。カラメルもちょうど良い苦さ。想像通り+3くらいの美味しさでありがたい「おすすめ」

ローソン
→おしゃれな味がする…ただのクッキークリームじゃなくてちょっとチーズの塩気、酸味があったり、ザクザクふわふわカリカリなどの食感が入ってきてすごい。美味しい。これがカフェ

●ファミリーマート
→美味しいクレープ!でもすごい上手なお母さんが作ってくれた感じ。特別感はない。でもすごく美味しい

感想

  • 各社、意外と方向性が違う印象を受けた。

    • セブンは少し上質で、自信を持って買える(でも少し高そう)

    • ローソンは日々のちょっといい生活。カフェくらい

    • ファミマは本当に日常。独身より家族という感じ。

  • 全部違って全部うまい

  • ファミマなどは衣類にもPBを展開していて、生活がどんどんコンビニで賄えるようになってきていると思った。


まとめ

各社の違い 〜「らしさ」の作り方〜

様々な観察を通して、私は以下のような印象を得ました。
おそらく遠くないようなコンセプトをもとに様々なもの(商品、売り場設計、サービス)などが作られ、その結果同じコンビニという業務形態でも少しずつ差が自然とできているのではないか、と思いました。

私個人的には、基本はローソンがハマりそうです。でもスナックだけはファミリーマートが異様に口にあったので、ファミリーマートのスナックは買い続けようと思います。セブンを買うにはまだエンゲル指数的なものが低く、ファミマのお菓子が好きなのは私がわかりやすい味が好きなので家族向けのファミマに刺さっているのかもしれません。

共通するところ

それぞれコンセプトの違いはありつつも、日常にどのように入り込むかを積極的に試行錯誤している印象です。

また売り場構成や販売商品、広告のテイストなどは似通ったところも多く、お互いの施策を参考にしあい発展を続けているのかもしれない、とも思いました。


観察の枠組み

最後に、講義にあった、「観察の枠組みを作る」ということについても考えてみたいと思います

数を並べて全体を掴む

また、観察の手法としてわたしが普段よく行なっていた、数を集める手法も一つの観察の枠組みなのかもしれない、と感じました。

そこで今回は数を集める手法を多領域、多手法で行ってみました。すると今までより深く具体的な考察ができ、特にまた私がどれだけ視覚情報に頼っていたのかを実感しました。

この手法もまた今後続けて、さらに深く考えられるようになりたいと思いました。

↓今までの観察


終えてみて、自分の観察の変化

以前自分たちの行った観察と今回を比べて、以下のような変化を感じました。

  • 「実際にやってみる」の深め方の理解が進んだ

    • ただユーザーとしてなぞるだけでなく、五感を使い噛み締めながら観察をすることで考察の深さが出てくることを知りました。

    • 今回もコーヒーの味の違いがわからないかもしれないと思いながら買って帰りましたが、実際やってみると得られることも少なからずあったので、やはり何事もやってみることを大切にしようと思います。

  • 「知った気にならない」ことの大切さを学んだ

    • 私は今まで、自分にとって新鮮なものを観察の対象に選びがちでした。しかし、身近なものにこそ当事者としての深みがあり、また見つめ続けることで得られる観察としての面白さにも気づくことができました。

    • 今回、「コンビニ」という対象に何度も向き合い、最終的に「掘れば掘るほど出てくるな」と感じることができたことも大きな成果だったと思います。

  • 自分の観察の手法に自信が持てた

    • 多くの視点をこの機会に得つつも、基本的なスタンスは自分が元々持っていた、「数を並べて全体を掴む」ということも一つの手法なのだと自信が持てました。

    • その上で、「五感を使ってやってみる」「身近なことも知った気にならず見つめ続ける」ことを今回に身につけられたことで、そのスタンスに深さや正確さを加える視点を得られたと感じました。


運営の皆さん、ゲストの皆さん、コミュニティの皆さん、短い期間でしたが実り多い時間をありがとうございました!


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鮎
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