大複業時代におけるクラウドソーシング活用の未来
2018年に政府が副業を解禁し、大副業時代の幕開けといわれておりましたが、その動きはこのコロナをきかっけに急速に広がったと思います。
また先日のnoteで、今後はより活発にリモートでの複業人材の起用が必要になってくるのではないかという内容を書きました。
企業、個人ともに働き方や時間、価値観や仕事の内容などを見直すきっかけになり、様々なことが要因として重なることで、企業の経済活動を組織ではなく、個々人が支えているようなイメージさえあります。
労働人口減少による人手不足が深刻化するなか、個人のエンパワーメント時代というほど、個人が自身の価値観、働かき方の中で能力を発揮する機会が増えているため、仕事のアウトソーシング、クラウドソーシングの市場も盛り上がっています。
これまでの副業という意味合いではなく、複業の時代だと感じています。
|クラウドソーシングの市場規模推移
上のグラフは、日本パブリックアフェアーズ協会が出している資料にある、世界のクラウドソーシング市場規模の推移でり、下が日本のクラウドソーシング市場規模の推移です。
いずれも大きく右肩上がりに成長をしており、今後もその拡大傾向は続くと予想されています。
このような市場拡大の背景としては、国によっては労働人口の減少があり、国内、地域内での採用に限界があり、またインターネット関連の仕事が増える中で、ネット環境さえあれば働く場所が関係なくなっているということがあるのではないでしょうか。
今や働く場所に関係なく国境も関係なく、自社の課題や求めている能力にマッチした人材を招集できると思います。
単なるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)という意味だけではなく、リモート環境下で、世界中のあらゆる人材が自社の支えになる可能性があるということではないかと思っています。
|クラウドソーシングサービス提供企業
先ほどのグラフにありましたように、市場の拡大に伴って、実際に以下の図にあるように副業・フリーランス系の仕事を獲得するためのサービスを提供している企業も多くあります。特にエンジニアの領域については非常に多くのプレイヤーが参入している状況です。
|事例
ここでは、直近での外部人材の活用事例をいくつか共有したいと思います。
上記日経ビジネスの記事にもありますが、コロナをきかっけに逆に企業として一段と力強くなったという会社も少なくないと感じています。
また、このような時代、環境下においては自社だけの力で物事を進めるということではなく、日本全国、場合によっては世界中で必要に応じて外部の人材の力を借りることが非常に重要だと強く感じています。
まさにそのような考えが、以下、日記ビジネスでのコラムにありました。
COLUMN
リモート人材活用でピンチを切り抜ける
”ピンチに見舞われた企業が陥りがちなのが、社内の人材だけで事態を打開しようとする「自前主義」だ。コロナ禍でリモートワークが広がり、専門知識を生かした副業を認める企業が増えている。こうした遠隔作業に対応した副業人材の力を柔軟に活用することで、経営課題の解決を図る企業が増え始めている。
特に、人的リソースが限られる地方都市ほどそのメリットは大きい。
コーヒー豆の焙煎(ばいせん)を手掛ける萩原珈琲(神戸市)は6月以降、東京都の大手IT企業勤務の30代男性の力を借り、自社の通販サイトを改良した。買い物カートに品物を入れたまま購入せずに離脱してしまう人が多いのが課題だった。サイトの30カ所以上を改良して、購入までの流れをスムーズにした結果、8月の注文数は従来の月平均の2倍に増えた。
コロナ禍で、飲食店に販売していた業務用の需要が急減。4月の売上高は前年同月の4割に減りネット直販の強化が急務になった。萩原英治代表取締役は「地方企業の悪いところは自前主義になりやすいこと。外部の知識を借りることで、素早い業績回復につながっている」と話す。
創業130年の石川県・能登半島の「ホテル海望」も外部の助言を生かした。緊急事態宣言で4~6月は休業。8月までの売上高は前年同期比4割弱に落ち込んだが、9月は前年並みに戻した。仕事と休暇を遠方で楽しむ「ワーケーション」需要を取り込んだからだ。
宿泊サービスのトレンドに詳しい米国のIT企業で働く日本人女性に意見をもらいながら、連泊で滞在してもらいやすいようにサービスを改良。朝食は和定食から地元食材を使ったビュッフェに変更し、キッチン付きの部屋で料理しやすいように電子レンジを用意するなど、様々な改善を積み重ねた結果、県外からの長期滞在の宿泊客を増やすことに成功した。”
同記事で、国際日本文化研究センター准教授、磯田道史氏の「歴史が実証、コロナ禍は日本人が変わる好機」と題したインタビュー内容も非常に興味深かったため、共有します。
”日本人は平時には変化を起こしにくい面がある。過去の道筋に依存しやすく、なかなかやり方を変えられない「経路依存性」が強いためだ。
しかし、歴史を振り返ると日本は幾度もピンチをチャンスに変えてきた。危機に直面すると、素早く社会や組織の仕組みを変えて適応してきた。
例えば、幕末に現れた「黒船」は来航するたびに、数十発の空砲を発射し、江戸は大混乱に陥った。日本の大きなピンチだったが、これをきっかけに開国に踏み切り、急速に近代化を進めた。第2次世界大戦でも、街は焼け野原になり、原爆も投下され、復興は無理だと思われたが、日本は驚異的な回復力で1968年、世界2位の経済大国に躍り出た。
中略
日本人は経路依存性が高いので、平時は創造的な人物がいても、なかなか世に出てこられない。太平がおびやかされた時、創造的な人物が雨後の竹の子のごとく出てきた歴史がある。
敗戦後の裸一貫から、松下幸之助、本田宗一郎など個性的な経営者が出てきた。ピンチをきっかけに飛躍してきたのが日本であることを考えると、コロナ禍は悲しい出来事だが、逆手にとることもできる。日本社会を時代に合わせて変化させる「追い風」にすべきだ。(談)”
|リモート環境下の人材活用
コロナ環境下、働き方の変化及び浸透が拡がったからこそ、成果中の優秀な人材をうまく取り込んで、チームとして成果を出している企業が既に多くあるのだと改めて実感しました。
また、比較的直近上場を果たした、Kaizen Platform、Goodpatchという会社を紹介したいです。
ウェブサイト、アプリなどの主にデザイン領域で、外部人材を活用することで企業に価値提供をしている会社で、業績も順調です。
このような流れや今の日本の現状を考えても、今後、単なる作業や成果物納品系の仕事にとどまらず、継続的なコンサルティング、改善業務なども、今後はリモート環境下で外部人材を活用する機会は非常に多くなると考えています。
この辺りは、これまでnoteでも書いてきたような、これからの働き方や人事制度(ジョブ型など)、日本の労働人口減少の問題など、複合的な要因が絡みあっての流れだと思います。
そのため、今後のnoteでもこの辺りの話題に関する内容ついて、皆様の何かしらの役に立つような、アイデアのきっかけとなるような情報と少しばかりの私の考えも共有していけたらと思っております。
以上です。最後までご覧いただきましてありがとうございます。
引き続きどうぞよろしくお願い致します。