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コレラ疎開で地方移住した画家・ミレーに重ねる
ミレーをご存知だろうか。
代表作は
「種をまく人」
「落穂拾い」
美術に興味があったら知ってるけど、
興味がないとギリ絵は見たことあるかも…?
レベルだと思うのだけど、どうだろう。
名前は分かるよ〜くらいだった私がミレーをきちんと認識したのは最近。
夏に行ったゴッホ展で、種をまく人のオマージュを見て
逆引きでオリジナルを認識した。
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ゴッホの種をまく人はポストカード買って飾ってある。
太陽のペカー感と、ウキウキハイキングしてるようにしか見えない農夫がお気に入り。
で、これを見てから元のミレーの種まく人を見ると
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暗!重!
え、怖…
となると思うのだけど。
甲府駅と竜王駅の真ん中にある山梨県立美術館に、
なんと実物があると聞き
行ってまいりました!
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甲府はほんといつでも晴天で太陽が燦々としてて大好き。寒いけど。
種をまく人、実際見てみて…
✔️でかい!(サイズが)
✔️重…重厚感がある!
✔️暗い色合いの中で右側の馬車の光がバランスとってる!
✔️種、めっちゃ舞ってる!
相変わらず好みではないのだけど、
「すごい絵」というのが分かって良かった。
ネットの画像と実物はやっぱり全然印象が違うので面白い。
で、カトリック系の学校にいた身としては
種まく人といえば新約聖書の「種をまく人のたとえ」なので、
私はてっきりミレーは宗教画家だと思っていたのだけど
<<種をまく人>>
本作品は、パリを離れてバルビゾン村に移り住んだミレーがはじめて手がけた大作。「種をまく人」という画題は、パリにいた頃からミレーの興味をひいていた。画面を占めているのは、左手で種の入った袋を握り、坂を下りながら右手で種をまく農民の堂々とした姿である。しかしミレーの絵は、当時の人たちが見慣れていた農民の姿とは、あまりにも違っていた。そのため、この作品がパリのサロンに出品されたとき、農民の力強い姿を称賛する人もいたが、保守的な人たちはこの絵を非難し、種をまく人を体制に異議申し立てをしている姿とみなした。
とのことで、どちらかというと写実的な作品で宗教的メッセージはないようだ。
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この絵は数少ないとされるミレーの宗教画の一つで、これも山梨県立美術館にあって初めて見たのだけど
見慣れた聖母マリアの雰囲気よりどことなく人間っぽくて、これを見て「あ、ミレーは宗教画家じゃないのか」となんとなく(勝手に)納得してしまった。
それにしても、
ミレーの知名度的にも、「種をまく人」の歴史的評価的にも
なんでオリジナルが山梨に!?と驚いたのだが
「近代美術を中心的に扱うことが構想された当美術館において、特色を出すべく、ヨーロッパ美術の収集が検討されていました。中でもミレーは豊かな自然の中で、大地からの恵みを受け生活する農民の姿を描き出すことで有名になった画家であり、自然豊かな山梨県の風土に合う画派だと考えられたようです」
ということで地銀や地元の名士のカンパもあって購入したらしい。すごい。
ちなみに種をまく人は2枚あって、もう片方はボストン美術館にある。
農業が盛んであるということでミレーを置いたとのことだが、「種をまく人」を描いたのはフランスのバルビゾンという地域で、
元々パリにいたのをコレラ流行をきっかけに疎開して気に入って終の住処にしたらしく
ジャックと私は、しばらく当地に滞在することに決めた。2人とも結局家を借りてしまった。物価はパリに比べれば極めて安く、パリに出ようと思えば、大した時間もかからず行ける。とりわけここの風景は素晴らしい。パリにいるよりもずっと静かに制作に打ち込めるだろうし、もっと良いものが描けると思う。要するにここにしばらく暮らしてみたいのだ。
これ、たしかに、
めっちゃ山梨やな…と思いました。
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おわり。