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”現代の民藝”としての無印良品

工芸ってなんだろうなぁ。と思うことが増えた。

陶芸については、未だに器は毎日使うものだし、陶器というものと現代人の距離感はそう遠いものではない。木工もしかり。

ただ、染織工芸は少し異質だと思う。これだけ現代における日本人の服装が洋装になっていながら、工芸展なるものに出品されるものはほとんどが和装品の状態。洋服は出品しにくいというか、そもそもジャンルが違うような認識を受ける。あるとしたら、久留米絣の古布を縫製したやつとか。

その一方で、百貨店の催事場で行われている職人展や工芸展には当たり前のように洋服やストールが出ている。この異質さ。

そこに追い打ちをかけるように違和感をましたのが”民藝”

こちらのページからの定義を引用すると、

柳が定義した「民藝品」の条件に下記の8つがあります
実用性:観賞のためではなく、実用性を備えていること
無銘性:無名の職人によってつくられたものであること、
名をあげるための仕事でないこと
複数性:民衆の需要に応じるため、数多くつくられたものであること
廉価性:民衆が日用品として購入できる、安価なものであること
地方性:色、かたち、模様などに土地の暮らしに根ざした地域性があること
分業性:量産を可能にするため熟練者による共同作業でつくられていること
伝統性:先人が培ってきた技術や知識の蓄積にのっとっていること
他力性:個人の力よりも気候風土や伝統などの他力に支えられていること

とある。けれども、日本民藝館が公募・選定した作品を見てみるとお世辞にも現代の民藝品とは認識しづらい。少なくとも僕にとっては。

かくいう自分も、現代の世間からかけ離れた養蚕から手仕事での染色加工・製織での和装織物を生産する事業者。現代の工芸品とは言えない。

じゃあ、”現代の民藝品・工藝品”ってなんなのだろう?

***

そう考えた時に、ふと思い立ったのが「無印良品」だった。

先ほどの定義に当てはめて考えてみると、① 国際的に見た”日本という地方性”と、② 工場生産と管理者による、現代に求められる生産量実現のためのの”適切な分業制・廉価性・複数性の実現力” の2点を寛容に捉えれば十分成り立つと思っている。

◎実用性:観賞のためではなく、実用性を備えていること
◎無銘性:無名の職人によってつくられたものであること、
     名をあげるための仕事でないこと
◎複数性:民衆の需要に応じるため、数多くつくられたものであること
◎廉価性:民衆が日用品として購入できる、安価なものであること
○地方性:色、かたち、模様等に土地の暮らしに根ざした地域性があること
○分業性:量産を可能にするため熟練者による共同作業で作られていること
○伝統性:先人が培ってきた技術や知識の蓄積にのっとっていること
○他力性:個人の力よりも気候風土や伝統などの他力に支えられていること

この感覚でいうと、現代的な日本の民藝品が”無印良品”、北欧の民藝品が”IKEA”になるのかな、と。

そうなると、工藝を民藝より上位クラスタで見た場合、日本では”ミナペルホネン”が代表格になるのかもしれないし、もしかしたら有松絞りをうまく使ったりしていた”イッセイミヤケ”も現代的な工芸品ということができるのかもしれない。北欧なら”Marimekko” なのかな。

そうなると、ほんの一握りの人が楽しむだけになってしまった手仕事の和装織物は、工藝的要素を併せ持ちながらも”資産としてのArt”に昇華されていくのかもしれない。と思ったここ数日でした。

だから、日本民藝館長に工業デザイナーの深澤直人さんが就任していることは非常に興味深いし、これから21_21で開催予定の”民藝 Another Kind of Art” は非常に楽しみ。見に行きたいなぁ。

※この展示は見に行きまして、トークセッションも拝見、質問させていただきました。

登壇されていた益子焼の方も、自分のは民藝ではないと仰っていたのは興味深かったです。
定義の更新が必要。

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