#59 糖の吸収・排泄を調節する薬①
こんにちは。
薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。
日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。
さて、ついに糖尿病に使われる薬の最後の章がやってきました。
そう、最後は糖の吸収・排泄を調節する薬です。
まずは吸収から。
体の中に入ってきた糖質は、消化酵素の働きでブドウ糖に分解されて、小腸から吸収されます。
その結果、急激な血糖値の上昇が起こりますよね?
ならば、ここの急激な血糖値の上昇を抑えてみようというのが糖吸調節薬である「α- グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)」です。
α-グルコシダーゼは、二糖類をブドウ糖などの単糖類に分解する酵素のこと。
そのα-グルコシダーゼの働きを阻害することで、腸管での糖の分解を抑制して吸収を遅延させ、食後の急激な高血糖を抑えることができます。
ただし、いいことばかりではありません。
大腸では、小腸で吸収されなかった二糖類が増加し、それらは腸内細菌によって分解されるのですが、この時にガスが発生します。
大腸内でのガス…つまり、お腹が張った感じ(腹部膨満感)やおならが増加。
未消化体が増えることにより、下痢が見られることもあります。
このような症状に対する改善策は、少量から始めることと、あとは慣れ、つまり継続服用です。
ただめちゃくちゃ気になるという方は診察室で伝えてもらった方が良いです。
あと、気をつけなければいけないのが、飲むタイミング!
糖質の吸収をゆっくりにするということは、二糖類が小腸に到達するよりも先に、二糖類の分解酵素(α-グルコシダーゼ)が阻害されている必要がありますよね?
そのため、食事の前に薬を飲む必要があります。(食直前内服)
私は「いただきますと同時に飲んでください」と伝えています。
もし、飲み忘れた!と気づいた際、ご飯が半分くらいまだ残っているならその場で飲む。
もう終わりがけならばその時は飛ばす、といった対応で良いです。
最後に、低血糖が起こった時の対応!
以前、低血糖についてお話しした際、低血糖症状が起こった時、薬によってはブドウ糖じゃないとダメ!とお伝えしたその対象薬が、このα-グルコシダーゼ阻害薬。
低血糖時に、二糖類以上のものを摂取しても、α-グルコシダーゼ阻害薬を服用中だと、糖質の吸収が遅れてしまう→回復が遅れてしまうため、必ずブドウ糖を摂取するようにしましょう。
さて、今日は糖の吸収を調節する薬①として「α-グルコシダーゼ阻害薬について」お伝えしました。
効き方がわかると、副作用(低血糖時)の対応の仕方もスムーズに頭に入ってきますよね。
疑問や質問お気軽にご相談ください。
▷あやこのお薬相談室
みなさんのヘルスリテラシーが向上するお手伝いが、少しでもできますように。
参考:薬がみえるVol.2
まるごと図解糖尿病看護&血糖コントロール
各医薬品画像引用HP
バイエル薬品株式会社
武田テバ薬品株式会社
株式会社三和科学研究所
沢井製薬
東和薬品
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