#56 インスリンの分泌を促進する薬②
こんにちは。
薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。
日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。
最近は糖尿病で使われる薬についてお話ししています。
今日は、インスリンの分泌を促進する薬として、インクレチン関連薬を紹介します。
はい、インクレチンってなんだと思った方。
インクレチンとは、食事摂取に伴い、消化管から分泌されるインスリン分泌を促進するホルモンのこと。
食事摂取に伴って分泌される、つまり血糖が高いときにだけ、分泌されるホルモンといわれています。
血糖が高い時にだけ働いてくれるなんて、めちゃくちゃ優秀だと思いません?
ただ、弱点があるんです。
このインクレチンは、分泌されると、すぐに分解酵素(DPP-4 )によって分解されてしまうんです。
短命なんですね…。
そこで、インクレチンを分解する酵素、DPP-4の働きを阻害することで、インクレチンの作用を持続することができるのでは?と開発されたのが、DPPー4阻害薬。
DPP-4阻害薬は、血糖が高い時にのみインスリンを分泌するように働きかけるので、単独では低血糖のリスクは少ないといわれています。
このグループの薬は本当にたくさんのメーカーが製造していて、2021年3月現在でなんと10種類!!
最近の糖尿病治療でメインで使われている薬ですが、種類が多すぎてパニック!!
毎日服用のものから、週に1回服用のものまであります。
2009年に発売が開始されて、まだジェネリックはなく、薬価(薬の値段)がちょっと高い。
(しかし、ジェネリックが発売されたら、私は成分名で全部覚えきれるのかが心配…)
話を戻して、単剤では低血糖を起こしにくく、血糖が高いときだけインスリン分泌を促進してくれるという使い勝手の良い薬なのですが、作用に関連した副作用もみられることがあります。
それが…消化器症状。
胃内容物の排泄や胃酸分泌が抑制され、便秘や腹部膨満感が起きると考えられています。
確率としては低いですが、このグループの薬を飲み始めてからなんだかお腹が張るなぁ…とか、胃酸が上がってくる感じ…とか感じたら、相談してみてくださいね。
あと以前からお伝えしていますが、
薬だけに頼らない!
まだまだ糖尿病に使われる薬の紹介は続きますが、薬はただの補助なので、薬だけでなく、食事療法や運動療法も続けてくださいね。
疑問や質問あればお気軽にご相談ください。
▷あやこのお薬相談室
みなさんのヘルスリテラシーが向上少しでもお手伝いができますように。
参考:薬がみえるVol.2
薬局で使える実践薬学
まるごと図解 糖尿病看護&血糖コントロール
ジャヌビア®︎インタビューフォーム
各薬剤の製薬会社HPより薬剤写真引用