友川綾子
2021年6月設立。場所を持たないアートギャラリーayatsumugiができるまでと、展覧会をつくり、作品を販売する現在をお伝えします。 https://www.ayatsumugi.net/
アート&カルチャー系のライターがゆく、ヨーロッパ芸術祭めぐり。 2017年は芸術祭のミレニアムイヤー! アテネ&カッセルの2会場で開催中のドクメンタ、ミュンスター彫刻プロジェクト、ヴェネツィア・ビエンナーレの、4地域で開催中の3つの国際芸術祭と、各地のアートサイトをめぐる。その旅の途中で感じたこと、考えたことを、毎日、綴ります。
世界13ヶ国から集まった32人の仲間と、5週間をかけて学んだ、ダイバーシティグループで起こるコンフリクトと変容。そこで得た体験や気づきをシェアします。 参加したのはアメリカ オレゴン州のポートランドにある Process Work Institute が毎年開催しているWinter Intensiveという集中セミナー。私は2019年1月から2月にかけて修学しました。
こんにちは! 連載noteを更新できていなくて、本当にすみません。「落ち着いたら」なんて言い訳をしながら、ずるずると。。いえ、でもきっとやり切ります。 今日は来月開催の展覧会をお知らせします。 作家は東北在住の彫刻家・大山貴弘さんです。仏像彫刻の技術やフォルムを取り入れて、ドラァグクィーンをモチーフとした彫刻を制作しています。場所は東京の木場。会期中にはドラァグクィーンのエスムラルダさんを招いてイベントも行います。この機会にぜひお越しください。 大山貴弘個展「面魂 つらだ
この9月、京都で展覧会を開催することにしました。 gallery ayatsumugi初の京都での展覧会です。 固有の場所を持たない=どこで展覧会を実施してもいい。 京都で展覧会実施を決めたのは、現在の「固有の場所を持たない」スタイルを最大化するという意味でも、私にとっては出身大学の所在地で愛着のある地という意味でも最適でした。 また、ayatsumugiのパーパスは、「日本やアジアの感性を世界に発信していくこと」です。関東での暮らしが長い私にとって、京都に根付く文化に
ギャラリーを辞めて次のキャリアを考えなければならなくなった時、自分がいかに環境に甘えて、自らの将来を真剣に考えることなく、好きな学びだけに没頭としていたのかに気がつかされました。 月給12万円で、この先の将来をどうしろと? 気持ちを切り替えて、あれこれ転職活動をしていた頃、S財団が、指定管理している地方美術館の広報職を募集していました。月給は12万円。それでもアートの仕事をしたい私は応募をして面接に出かけました。 アートの仕事のキャリアがあり、広報も全く未経験ではなく、
通っていた通信制大学の卒業時期が明確になってきた頃、ギャラリーを辞めました。ですが、次に進みたい道が明確だったわけではありませんでした。 目の前のことしか考えていなかった この頃、30歳手前。20代後半は通信制の美術大学に通い、仕事では新規事業の立ち上げもしていましたから、大変に充実をしていました。 そこに突然、ギャラリーから契約終了の相談があったのです。業績が低迷しているため、私が大学を卒業する頃に契約終了させてもらいたいという相談でした。 以前、せっかく正社員に誘
ギャラリーヤマネ時代のもう一つの貴重な体験を挙げると、社の若手社員4名で、新人アーティストの発掘に取り組んだことでした。 新規の事業計画を策定 当時、社長は後進の育成に熱心で、あらたな事業を実施するための事業計画書を書くようにとお達しを出し、皆が経済動向に少しでもあかるくなるよう、「毎朝。日経新聞を読むように」と申し伝えていました。 当時、通信美大生だった私はアートには関心はあれど、経営を考えるところまでは視野が広くありませんでした。それでも、なけなしのおこづかいで日経
noteをご覧のみなさま、こんにちは。 すっかり投稿に間が空いてしまいました。年末年始は内観する時期。自分の内面と向き合っていたこともあり、発信の頻度が下がりがちです。良い時間を過ごさせていただきました。 さて、3月に開催する展覧会について少し紹介をさせてください。 テーマは子育てとアーティスト次回、ayatsumugiは初のグループ展を開催します。 テーマは「子育てとアーティスト」。 なぜこのような企画をしたかの概略は展覧会紹介ページに記載しているので、ご覧ください。
銀座の洋画商ギャラリーヤマネに勤めていた頃にさせていただいた数々の貴重な体験は、今でも私の財産になっています。 世界2大オークションハウス 最大のイベントは、ロンドンでSotheby'sとChristie'sのオークションに現地参加させていただいたことでした。 誰もが一度は名前を聞いたことがあるオークションハウスがSotheby'sとChristie'sでしょう。歴史も長く、オークションが開催されるたびに世界中のアートコレクターが動向を注目しています。この2大オークショ
固有の場所を持たない現代アートギャラリー gallery ayatsumugi オーナーディレクターの友川綾子です。 来週から、ayatsumugiの6度目となる企画展を開催します。場所は広尾にあるアートルーム企画室。水彩画で人気の淺井真至の個展です。 はじめて彼の作品世界に触れたのは、2021年の北アルプス国際芸術祭の出品作品「おもいでドライブイン」でした。 木崎湖のほとりにある元土産物店を全面に活用したインスタレーションです。 淺井の水彩画と店内に残っていた土産物
こんにちは。gallary ayatsumugiの友川です。いま私は固有の場所を持たずにギャラリーを経営しています。なぜこうした活動をしているのか、自分自身を振り返るためにも書き始めたこのマガジン。意外なほど注目いただき、アートの仕事の実情に関心を持ってくださる方が多いことに、我ながら驚いています。よかったら「こんな話をもっと聞きたい」などのリクエストもコメントに気軽にお寄せください。 さて、今回は「ギャラリスト」の仕事について。 仕事ができるとは、重いもの、形がいびつな
京都芸術大学の通信で芸術学を学びながら、私はひょんなきっかけで銀座にあるギャラリーヤマネという洋画商に務めることになりました。いわゆる敷居が高い画廊です。 敷居が高いのにもわけがある 画廊(ギャラリー)には、プライマリー(一次流通を担う)と、セカンダリー(二次流通を担う)の2種があることはご存知ですか? 本屋さんで例えると、新刊本を扱う書店か、古書を扱う古書店かという感じでしょうか。 私が務めたのは銀座にある主に洋画を扱うセカンダリー画廊です。これも本屋さんに例えると、
京都芸術大学では、卒業単位の必須要件ではない制作系の講義もいくつか受講しました。なかでも、デッサンの講義は強いインパクトを与えてくれました。 人は世界をどう認知しているのか? ドイツ製の鉛筆、ステッドラーの綺麗なブルーが各種並んでいるのが嬉しくて、うきうきと挑んだデッサンのスクーリング。美大の教授にデッサンを教えてもらえるなんて、またとない機会と楽しみにしていたのです。 ただ、絵を描くなんて中学校の美術の授業以来。当然へたっぴでした。 しかし、先生はそんなことお構いな
思い出すほどに充実していた京都芸術大学での学び。レポートの提出のみならず、通信学部にはスクーリングがあります。週末3日間の集中講義で朝から晩まで美術史漬けになったり、希望すれば創作系の他学科と共同でデッサンや彫塑など制作の授業も受講できました。 アートを学ぶこととはなにか? 芸術学の学びは、各国の美術史(歴史)を学ぶことと、美学(哲学)を学ぶことに主軸があります。先生がたはレポートの採点とともに、大切なことを教えてくれました。 アート鑑賞はつねに「極私的」な感想から始ま
Bunkamura Galleryに勤めて、アート業界で生きていきたいと思うようになりました。人に魅力を感じたからです。 私が20代の頃(2000年代のはじめごろです)は、今よりもっと人生に「周囲からの期待」というレールが、明確に存在していました。友人たちも期待に応えて、存分に実力を発揮し、期待のレールに乗っかっていました。けれど、彼らにはなんだかどうも人間味が欠けているように、私には思えていたのです。 一方で、Bunkamura Galleryで出会うアーティストや取引
最初に務めたギャラリーBunkamura Galleryには、スタッフが10名ほどおり、毎回誰かとペアになり、ひとつの展覧会を担当させてもらいました。 ギャラリスト修行の日々作家との打ち合わせから広報物(DM)の発注・発送、プレスリリースの準備、設営・撤去の段取り、そして会期終了後の購入者とのやり取りから納品まで。 担当二人で相談しながら進めていくわけです。 準備から会期終了まではおよそ3ヶ月。担当の展覧会が終了すると、また次の展覧会の準備がスタートするという塩梅でした
作品を破損したらマグロ漁船で出稼ぎしてこいBunkamura Gallery の上司はなかなか癖の強い方で、今でも忘れない彼の名言があります。そのうちの1つが、「作品を破損したらマグロ漁船な」というセリフでした。 東京サバーヴィアの中流サラリーマン家庭でぼんやりと育った私には、最初はピンとこなかった言葉です。どうやらマグロ漁船に乗ると、環境は厳しくとも荒稼ぎができるらしく、「作品を破損したら、働いて弁償しろ」という意味でした。 洋画商の世界で厳しく躾られてきたらしき上司
私自身のキャリアの紹介も兼ねて、なぜいまこのような「固有の場所をもたない」ギャラリーとして活動を始めるに至ったかをお伝えしていきます。 前回のパリのくだりは私のキャリアの端緒にすぎないので、ものすごく長くなってしまうかもしれませんが、どうぞお付き合いください。 アート業界への純粋な探究心から1ヶ月のパリ滞在から帰国し、目についたBunkamura Galleryでの求人に応募し、すんなりと入社が決まりました。 応募の動機は、なんといってもパリのギャラリーで感じたアートの