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金属アレルギーと歯科矯正
歯科金属アレルギーとは?
金属アレルギーの中でも、歯科治療で口の中に使用した金属が原因だと考えられるアレルギー症状は〈歯科金属アレルギー〉と呼ばれます。
歯科金属アレルギーは、口の中で唾液により溶け出した金属イオンが体内に吸収されることがきっかけで起こり、血流に乗って全身に回ると口の中とは違うところにアレルギー症状が現れます。
症状のうち、口の中に現れるのは1割程度。
ほとんどが口以外に出るので、まさか原因が口の中にあるとも思わないので、発見が遅れることがあります。
口の中の症状は、頬粘膜や舌に冬場のかかとのような白い線が現れる扁平苔癬(へんぺいたいせん)や、舌痛、口内炎、ヒリヒリ感など。
口以外では、アトピー性皮膚炎、湿疹、肌荒れの他、不眠、肩こり、頭痛などもあるようです。
診断方法
歯科金属アレルギーの診断は、パッチテストで行います。
試薬のついた16種類のパッチシールを背中に貼り付けて、48時間後に剥がしてその反応を見ます。パラジウムは遅れて反応が出るので、72時間後、1週間後にも判定が必要です。
かぶれた箇所があれば、その金属に対してアレルギーがあるということ。
だだ、このパッチテスト、二日間は入浴禁止で、発汗も禁止です。
かゆくても掻いてはいけません。夏場だと拷問です。
アレルギーを起こしやすい金属は分かっていて、
ニッケル、コバルト、クロムです。
逆に起こしにくい金属は、
プラチナ、金、チタンとなっています。
高価買取してくれる金属は金属アレルギーも少ないのです。
歯科金属アレルギーの発症が疑われる患者さんは、
元々アレルギー性鼻炎や特定の食品アレルギーなど、既に別のアレルギーを持っていることが多いようで、歯科金属アレルギーの発症には体質的な要素が関連している可能性が高いと考えられています。
歯科矯正は受けられる?
では、
歯科金属アレルギーがあると、歯科矯正は受けられないのでしょうか?
金属アレルギーがあるので歯科矯正を躊躇している方がおられたら、まずパッチテストを受けてみることです。
現在、矯正装置は歯科金属アレルギー対応の商品が増えてきています。
ブラケットはセラミック製、プラスチック製のものがあり、ワイヤーもステンレススチール、コバルトクロム合金、ニッケルチタン合金、チタンモリブデン合金と多種類あります。
軽症限定ならアライナーなんていう手もあります。
パッチテストで反応が出た金属を含まないブラケットやワイヤーを選ぶことで、治療は可能です。
参考文献
細木真紀,田上直美,他.歯科用金属による金属アレルギーの臨床病態と補綴学的対応に関する多施設調査.日本歯科医学会雑誌2015;34:42–46.
秋葉陽介,渡邉恵,他.歯科金属アレルギーの現状と展望.日補綴会誌2016;8: 327-339いい歯のために