カレーの合図
覚せい剤が体内にある状態の時って、食事をしなくても平気なんだそうです。
むしろ、食欲がわかないので脂っこいものなんかは食べるのが苦痛だとか。
そして父が家に帰ってくる日のメニューは高確率でカレーでした。
父が帰ってくる日のメニューは大体脂っこい食事がテーブルに並んでいました。
「今日はカレーにしようか!お父さんが帰ってくるからね!お父さん今日はきっとカレー並べたら嫌そうな顔するよw」
と微笑んでいる母の顔がとても不気味に見え、子供心にとても怖かったのを覚えています。
勿論そんなことを言ってしまうと大好きな母を傷つけてしまい、私まで母の敵になってしまうので今まで一度も本音を伝えたことはありませんがw
ただただ父が覚せい剤をやめられる様にしてあげればいいのに。とぼんやりと考えていました。
大人になった今でこそ、覚せい剤中毒から抜け出すのがどれほど大変なことなのか理解していますが、子供の頃は父親がいけない事をしているという認識しかなかったのです…。
少し話が逸れますが、私になんでも話してくれていた母は勿論、父が覚せい剤乱用者だということも私に教えてくれました。
夜中に一緒に父の車の中に隠してある覚せい剤を処分し行ったこともあります。
あれって本当にキラキラして綺麗なんですよね。
現物を初めて目にした時はこんな綺麗な物が私の幸せの邪魔をしているのか、と遣る瀬無い気持ちを抱いたと同時に、なんだか他人事の様に母が何か毒づいていたのを眺めていたのを覚えています。
マンションに引っ越してきてから私は離人症を発症していた様なので、多分その影響であまりショックがなかったのかもしれません。
父関連の記憶は殆どが他人事の様に感んじてしまいます。
…両親が離婚した後の母に関連した記憶もそうなってしまうのですが…w
そんなこんなで母がカレーを嬉しそうに作っている時は父が家に帰ってくる合図となってしまっていたので、私の気持ちは最高潮にどんよりするのでした。
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