ロンドン:私立教育のやめ時
我が家はひょんなきっかけで私立志向のナーサリーにご縁が出来、それをきっかけに子供2人を私立小学校に入れてここまで来たわけですが。
現在、大きなジレンマに直面中です。
労働党政権になり、かねてからのマニフェストだった、私立学校の学費への課税(VAT=付加価値税の20%)が正式決定され、10月31日の予算案で発表されました。
政策の効果については色々とツッコミどころがあるのですが、これまでのニュースや識者、政治家の発言を聞いていると、私立人口はイギリス全体の7%=大多数にとってはどうでも良いニュース。むしろ「お金持ちへの課税」として歓迎されている模様です。
私立に入れている家庭がみんなお金持ちなわけではないし、私立学校が恵まれない家庭に奨学金を出していたり、近隣の公立学校に施設(プールなど)の無料提供をしたりしていることなどは、フォーカスされることはありません。
今回の課税で最も影響を受けるのは、我が家のように共働きでやりくりして学費を工面している家庭ですが、英国の昨年度の平均年収が税引き前で£34,963 (ロンドンは£44,370)、税引後の手取りから払う私立の学費の平均が年間£15,656 (ロンドンはもっと高いです…) 多くの人達にとっては私立は選択肢ではない、という現実があります。
それでなくても毎年値上がりを続けてきた学費に来年一月からVATの20%が上乗せになるのは、正直とても厳しいです。私立に入れているという理由だけで、過去のイギリスの教育政策の失敗のツケを払わされる形なのも納得しがたい気持ちです。しかも学年の途中での課税導入なので中途半端に学校をやめさせる選択肢もなく、ほとんどの人が2学期分の学費を歯を食いしばって払うことに。
我が家はちょうど上の子がYear 6でイレブンプラス(イギリスの中学受験)の真っ最中と言うタイミング。ここを逃したら次に公立に移るタイミングは大学受験のためのシックスフォームへの入学(16歳)までありません。中学から公立に入れたら来年9月から1人分の学費がゼロに!!
と言うことで、夏頃から近隣の公立セカンダリーの情報を調べ始めました。が、学力試験で選抜のあるグラマースクールは通える範囲になく、いくつか非常に評判の良い公立が近くにあるものの、宗教縛り(カトリックや英国国教会)、キャッチメント縛り(評判の良い学校のキャッチメントは非常に狭い!)で、自然体で申し込んで入れる公立がないことが判明!カウンシルのサイトから各公立セカンダリーの昨年度の入学状況(secondary school allocation 2023 / on-time offer) を調べたところ、評判の良い公立セカンダリーのいくつかは、全体の一割弱を言語や音楽の適性テスト(aptitude test)で取っていることがわかりました。希望する公立に入るためには、我が家はこのルートを狙うしかありません。適性テストは先月幾つか受験し、順位の結果だけは知らされたものの最終確定は公立の結果が一斉に通知される来年3月以降なので、ドキドキするものの一旦は忘れることに。
一方で今通っている学校は私立のシニアスクール受験に的を絞ってカリキュラムを組んでおり、今月から1月まで断続的に私立の一次試験、二次試験が続きます。これまたISEBと呼ばれる共通試験を足切りに使う学校や学校独自の試験と面接の学校、各校様々なスタイルで、何に照準を定めたら良いのか非常に分かりにくいです。
落ち着いたら公立の適性テストや私立受験についても書いてみたいと思いますが、今は以下のようなことを考えて頭の中がぐるぐるしてしまっています:
音楽、スポーツなどの課外活動の充実、勉強を楽しいことだと教えてくれた現在の学校の良さ(私立教育の良さ)は理解しているつもり。VATの導入で教育方針を変更してしまって良いものだろうか?
もし私立の志望校に受かってそちらにどうしても行きたいと子供が言ったら、どう声がけをしたら良いのだろうか、今こんなに受験勉強を頑張っているのに?
とはいえ、このまま子供2人を私立に入れていたら、いつか学費が払えなくなる日が来そうです。。。