無念を形に〜致死量の悔恨 あとがき
あの時の出来事は許せない。
ネットニュースを見ていると、そんな事ある?と思うような出来事で溢れている。
やられた方は溜まったものではないなと思う。
小さな一言でさえ傷付くのに、無視、仲間はずれ、ネットへの書き込み。心は見えないから、傷ついた人たちの苦悩は無いものとして、傷つけた人は気に留めず、今日も元気に誰かを傷つける。
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人の心は見えない。だから、
思いが伝わらないことは、日常茶飯事で、
気持ちが理解されないことは、普通にあるだろう。
ただ単に、「面白くない人」も、「気に食わない人」もいるだろう。
しかし、自分の思い通りなる他人はいない。だから、話してみたり、距離を置くしかない。にもかかわらず、納得いかないからと言って、暴力や人格非難の罵詈雑言に訴えることは許されない。
分かってもらえない時は、自分は、相手のどんな反応にショックを受けたのか、言葉で伝えなければならないし、
単に「気に食わない」時は、離れるしかないはずである。
やられた方の苦悩は、永遠に消えない。その苦しみが現実になって、やった方に伝わったとしたら、恐ろしいのではないだろうか。そんな考えを言葉に変えてホラーとした。
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妬み嫉みが生んだ悪戯がエスカレートし、落とした穴に仲間を埋めた。やった方は、時とともに罪悪感が消えていく。
しかし、やられた方の無念は残る。それが形になって、加害者啓太郎に返った時、啓太郎が悔恨の念に塞がれとった自白までを「第1話 かまくらの中」で。
現実が自分の理想に合うように、嘘を吐きはじめる。桜子にとっては、自分の理想を押し付ける夫から息子を守るためという正義からであったが、嘘を吐かれた相手の無念さは計り知れない。その嘘が現実となり、桜子の20年間を苦悩の淵に追いやる。「第2話 第3話 結婚式の前に」で。
人なんて、マウントをとってなんぼのもの?嫌なことは、ものを言わなそうな人に発散して、自分はいつも爽快でいれば人気者でいられる。それはまるで声無き深い海にゴミを捨てるのと同じであった。
しかし、そのゴミが夏海の胎児に返った時の悔恨の念を、「第4話 息ができない」で。
やりたいのだからやらせろよ。エスカレートした晋太郎の欲望で奪った命が、イチョウに乗って晋太郎を追いかける。証拠隠滅を図ろうとした時に、次々と起こる怪奇現象から逃れられない罪を知る「第5話 イチョウに乗せた伝言」。
他人へやったことが分かるのは、それが自分の身に起きてこその人もいる。他人へ与えた苦しみを考えようとする思いやりすらない人に、やられた方の苦しみが届いた時の怖ろしさを四季の4本仕立てとした。
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幼稚絵NJU様
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