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好きなものの違いがわからない女
タイトルのまんまである。
私はコーヒーが好きで、職場では必ず1、2杯飲む。(本当はもっと飲みたいのだが、カフェインの摂りすぎによる不眠を防ぎたい)
休みの日に行くカフェでの1杯も好き。
家でゆっくり飲む1杯も好き。
だが悲しいかな、味の違いはわからないのだ。
これはワインにもあてはまるのだが、好きなのに違いがわからない。ブラインドテストをしようものなら全問華麗に外す自信がある。なので当然こだわりもない。
ワインならコンビニワインで十分だし、普段カフェ以外で飲むコーヒーは1杯ずつパックされているスーパーでも買えるお手軽なドリップコーヒーだ。お気に入りの豆を買ってごりごりして抽出?して・・・なんて気はさらさらない。下手したら「こちら最高級の豆を用いたコーヒーでございます。」とうやうやしく出されたら、たとえそれが泥水でも気が付かずありがたがって飲むかもしれない。
もはやこんな状態で、「コーヒーとワインが好きなんです♪」なんて言ったら失礼なのではないかと最近思い始めていた。
カフェを選ぶ時もワインバーへ行くときも、「あそこのはおいしいから」という理由でお店は選ばない。お店の空気感と、店主との会話を楽しみたくていつも足を運んでいる。
友人の営むカフェでは
「ごめん、私味の違いがわからないから・・・酸っぱくなくて苦すぎないコーヒーをお願いしたい。」
ワインバーでは
「すみません、私ワインが好きなくせに詳しくはなくて・・・渋すぎなくて軽く飲めるのがあればいただきたいんですけど。」
そのバーではボジョレー解禁の日、4種のワインを少しずつ飲ませていただいた。
その場で味を比べるのだから、さすがに味の違いはわかる。しかしどう違うのかと聞かれると・・・。
「草原に吹き抜ける風のような?」「まるでオレンジのような果実味がして??」
・・・だめだ。まっっったく違いを表現できない。むしろ何種か飲んでいるうちに初めに飲んだ味はすっかり忘れている。
「ごめんなさい・・・うまく表現できないんですけど。しいて言えばこれが好みです。でもすみません、結局全部おいしいです。」
うなだれて言う私に店主はにこっと笑って、「その感想が一番うれしいです。」と言ってくださった。「下手に語られるより、素直でいいと思います。」と。
それからますますそのバーのファンになった。
断じて言うが、私は決して味オンチなのではない。おいしいと思える許容範囲が広い、お得な体質なのだと思うことにしておさまりをつけている。そしてこれからも好きなコーヒーとワインを飲み続ける。
・・・そう、たとえ「このワインおいしいですね!!初めて飲みました!」と自信満々に口走って、「それ前お出ししたのと同じワインです。そして前も同じこと言ってました。」と笑いながら返され、酔いのせいではなく赤面しようとも。