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恋人は精神安定剤だ

私は恋愛弱者だった。

今でこそ相手を見つけて結婚して、毎日穏やかに暮らしているが、20代の頃は恋愛なにそれ、どうやったら彼氏ってできるんだっけ?と日々悩んでいた。

学生の頃はクラスに気になる人はちょいちょい居たのだが、特に付き合うという事もなく、私が初めて付き合ったのは社会人2年目の21歳になってからだ。

友達に紹介され、同い年の彼と付き合った。

雰囲気が良くて、一目惚れだった。相手も私を気に入ってくれてとんとん拍子で付き合うことになり、そこから4年間彼氏彼女の関係だった。

その後25歳で私から別れを告げることになるのだが。

その頃の私は 仕事 > 恋愛 で仕事に燃えていたのだ。彼氏との時間より仕事を優先していた。仕事が楽しくて毎日充実していた。そんな環境だったが職場の移転で県外へ引っ越さないといけなくなり、今の彼と中途半端に付き合っていては仕事に支障がでる、と考えたのだ。


しかし、失って初めて気づいたのである。

恋愛は精神安定剤だったのだと。

恋愛が私の精神を安定させてくれていたから、仕事に打ち込むことができたのだ。

それを失ってしまった途端に仕事どころではなくなってしまったのだ。

自分を纏っていた安心感のようなものが剥がれていった。そして、何もない自分だけが残った。


しかし、仕事に生きると決めた私。知り合いが居ない土地で孤独な生活が始まったのだ。

4年間大事にされてきた反動もあり、私は物凄い孤独感に襲われた。

そして誰も気にしてくれないので自分を大事にしなくなり、食事や睡眠などに気を遣う事もなくなった。


一番問題だったのは次の相手を探さないとという潜在意識で男性を意識しすぎるという点だった。

私はそれまで男女の友情肯定派だったのだが、実際は男女の友情はありえない派だったようで、周囲にいる男全員を常に気にかけるようになっていた。

誰が自分を好きになるかわからないし、自分が誰を好きになるかわからないから、チャンスあらばという姿勢で男性と接するようになった。

自分を気にかけてくれて優しくしてくれる男性が好きで、

自分の意志ではなく男性の言う事に従い、

会いたいと連絡がくれば無理をしても会うような、

男性に依存しがちな自己肯定感が低い女だったのだ。


しかし、彼氏が居た頃の私はそうではなかった。

彼氏と常に連絡を取りたいタイプではないし、会えない時はそれぞれの時間を楽しみたかったし、彼氏のいう事も全然聞いてなかった。

つまり、私は付き合うまでは依存して、付き合ってからは釣った魚に餌をやらないというめちゃくちゃなタイプだったのだ。


彼氏が居た頃は他に目もくれずに頑張れていた仕事も、彼氏がいないと不安になり仕事どころではなくなる。 恋愛 > 仕事 で恋愛を優先して、お付き合いするかわからない男性とのLINEのやりとりや飲み会等に時間を取られるようになる。孤独を埋めたいから、自分に優しくしてくれる男性と一緒に居る時間が多くなるけど、その人の事を好きではないから気持ちの相違に悩み苦しむ。気づけば恋愛に振り回されて中身のない空っぽの女になってしまった。


今思えばなんてそんな恋愛に追われる日々は無駄な時間だったんだと思うけど、恋人で埋められる精神的な部分は、家族でも、友達でも、仕事でも埋めることはできない。恋人以外では埋められない部分があった。



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