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桜桃忌(令和版百人一首)✧♡


私の恋人

桜桃忌 素敵推しの木麗しき 甘言溢れ太宰になりぬ

あやのん

                                  

 色々な方の記事でこの企画を見かけ、参加を考えたが、どうしても「恋」に興味が湧かない。
 テーマが「自然」だったらいいのにと思う。
 しかし、恋とは相手が人間だけではないのでは?と気が付いた。そう考えると私は、毎日、色々なものに恋をしているかもしれない。
 私には推しの木がいて、毎朝の散歩で、彼に会う。
 彼でなく、彼女、かもしれない。私の中では、観音様みたいな性別のない存在だ。私の好きな観音のあだ名もつけた。君は、私の百済観音。
 通りかかると額を樹の肌につけ、
「明日もまた会いにくるからね」としばし目を瞑る。
 血管からぱあっと血液の中の細胞が流れるようなシルエットが見える。
 毎朝の短い逢瀬。常にそこにいて、明日も会える君の姿。
 恋と言うものは太宰のような男の甘言に似た、捉えがたきもので、信用はできない。でも、私の推しの木に対する愛はもっと日常的な、永遠にも似た尊敬なのです。(388字)








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