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Book NERDの謎を探る✧♡

 パタコから誘われた。

 盛岡旅で、なんの旅ですか?と参加した朗読会を企画したBook NERDの店主が八戸市のソールブランチ新丁というギャラリー兼カフェに来るらしい。
 前回は終わった途端に新幹線に飛び乗るために飛び出してきちゃったから、罪滅ぼしみたいな感じで、行ってみないかとパタコがいう。
 パタコ曰く、1人で行くのは全然OKなのだが、企画側は2人連れぐらいを想定しているのかも。夜19時から、カレー付き2,200円は、16時から晩酌を始める私には、遅すぎて断ろうと思ったが、盛岡でなく八戸ならばまだマシだと思い直した。
 あの盛岡の本屋は一体どんな本屋なのだろうか?という好奇心が勝った。本当に興味があったら、ネットで検索しろって話だが、そんなになんでもかんでもネットで検索して知ってしまったら、安易で、面白くない。

 直接、会えて、話が聴けるならいいではないか!

 寝ている時もある開始時間よりも、好奇心が勝ったのだ。
 パタコに行くと返事して、パタコの車で企画に参加した。
 パタコは黒帯に団子とおはぎも届けたいからと言う。
 パタコは美味しい大福もちの名人でもある。黒帯は、
「お前のあの餅屋の友達はどうしてる?」とパタコの近況を尋ねる。
 いろいろな老舗のお菓子屋やスーパー、道の駅で、団子や餅を買ってみるが、これだ!という味には滅多に当たらない。
 我々夫婦のなかでは、パタコの作るあんこものが、ベスト1なのだ。
 いつも、我が家にはプレゼントするような価値のあるものが、何も無いのだが、パタコにお礼の野菜やおやつをパックに詰めた。
 パタコと違って買って詰めたものばっかりだったけど。


 SNSの情報を見て、参加を判断して!と言われたけど、正直、読んでも、よくわからない。11月3日のトークイベントに参加。

 店主から何か話が聞けたら、その本屋がどういう本屋なのか、謎が解けるのではないか?というワクワク( ´艸`)

 開場が18時だったので、私とパタコも早い時間に到着。席を定めると、カレーが運ばれてきた。互いの近況を話しながら、カレーを食べた。

 ここでソールブランチ新丁という不思議な場所をご紹介しよう。


 私も数えるほどしかここに来たことが無いが、八戸市の小中野という、街の中心からスコシ外れたところに店を構えている。
 そして、この小中野というところは、こういう個性の立った店があちこちにでき始めている不思議な場所なのである。
 若者向けの古着屋、昔ながらの毛皮屋、六角珈琲、ソールブランチ新丁、アンバー珈琲、さらにちょっと行くと、植物屋ARAYA、雑貨屋のガラージュM、気功あなん(アーナンダ)もある。
 もうちょい行くと、森川額装店や、TBIRDという素敵な洋服屋も。私が八戸を案内するならココというスポットが集まっている。
 
 その昔、赤線地帯だった小中野では、女郎屋だった建物の新むつ旅館も名所だ。八戸に旅行に来たなら、ここに泊まっても風情があるかも。
 一度教え子とここで吞むことになって、お料理がとても美味しかったし、元、女郎屋ということで、さまざまなオブジェ(男性性器を模したもの)や、働いていた女性の写真があったり、建築が、階段を降りてきた女性を見せるような仕様になっていて、楊貴楼という映画を観た時と似たような建築だ!と驚いた。
 そこに宿泊できるのです。(残念、2年前に閉められたそうです)
 おかみはご高齢だったな。

 小中野周辺、八戸でなかなかの激アツスポットで、そして町からそう遠くはない。八戸線で一駅、タクシーなら10分足らずだろう。

 そんな中のソールブランチ新丁。
 企画展があるときしか開いていないというなかなか気ままな店。

 外から見ると普通の民家に見えるが、玄関を一歩入ると暖炉があり、2階に行くと、素敵な内装で、ギャラリーとカフェ部分があり、素敵な本が沢山並ぶ、お洒落で落ち着いた佇まい、ここは八戸という青森県とは思えない雰囲気の店です。

 そこでの、不思議な夜( ´艸`)

 私もパタコも、実は体調が万全じゃなく、私は数日前は熱に倒れて、パタコも咳をしていた。そしてBook NERDの早坂さんも、咳き込み、体調が万全じゃなかった様子。そんなことをすべて忘れた。

 初めて聞く早坂さんの声が低音のとてもいい声で、かけてくれるレコードの音楽が心地よい。早坂さんが書いたというそのレコードガイド中心にトークは進む。我らはそのガイドは未読。
 以下、私の怪しい聞き書き。メモが乱雑で、どっちの語りか混線の可能性アリ。ご容赦を! 

T:ソールブランチ新丁の店主の一人タクさん H:BookNERDの早坂さん

T:2020年に「僕の部屋へおいでよ」を読んだ。ディスクガイドの体を成していない、ディスクガイドに見えないところが凄い。普通は、ディスクガイドって、その音楽の能書きがかいてるはずですよね。音楽評論家でもない盛岡の小さな本屋の店主がなぜこの本を作ったのか、語ってもらえますか?

H:(一曲目、クワイエットリィ・ゼアという曲をかける)
この本の著者は僕を含めて3人いるんですが、3人それぞれのリスニング体験で、縦横無尽に曲を選んでますw。一人は京都のレコード店の店主であだ名はジジ。僕は今49歳なんですが、自分が20代の時に音楽ガイドが一杯あったんです。サバービア・レコードガイドみたいの作りたいねって言っていたんです。まず物語のストーリーがあって、レコードを紹介する。昔は、ロック・ジャズ…と音楽はジャンルに分かれていたし、雑誌もわかれていたけれど90年代にはそれはすでにナンセンスになり、DJなんかが出てきた。
 キュレーションすることが意味を持ってきた。元からあるものを編集するということ。でも、今は編集すら意味を失っています。サブスクがあり、みんな縦横無尽に音楽を聴いている。ウンチクはナンセンス。意味をはぎとろうということで恋愛小説にして、物語にアルバムが添えられる形にした。シチュエーションでレコードを選んでいる。物語は、男女が出会って別れて旅をする、その2人の心境と音がオーバーラップしてきます。
 有線の選曲している札幌の女性も加わっています。僕とジジの男2人だけだと暑苦しいから。

T:昔、レンタルレコード店でアルバイトしていると、へえ、こんな洋楽借りていくんだ!って、可愛い女の子をチェックしてたりw。初デートでは、絶対、女の子に聴かせるプレイリスト作るでしょ?
 このディスクガイドはオールジャンルで、自分のイメージと違っても、同じでもどっちでも面白いよね。レコード店主が紹介しているみたいな、レコード聴いたこと無い人のとっかかりになるといい。
 
昔は、聴く前にジャケットの絵を見たよね。ジャケットは重要だった。
はっぴいえんどを入口で知ったり、サニー・デサート?を入口にいろいろ知った。今やっている商売に行き着く。人対人、の商売。
 コミュニケーションを最高に省略したのがAIだよね。
 今日の、これ、人が集まって一つのレコードを聴くことは対極にあるね。

 ほんと、歴史的ガイドブックです。

H:行商好きなんですw(すでに3曲目、ビル・フェイ、70年代イギリス)
 自分の店を離れて八戸に来て、午前中はずっとゆうへいくんのレコード聴きながら、タクさんに珈琲入れてもらって、なんか幸せだなあとw。

T:BookNERDに皆さん、行ったことある?(客、手を挙げる)
 お、案外いるね!いい本屋だよね。自分の好きな本が2冊以上あったら、グルーヴでるでしょ!

H:移転することになったんですよ。前にレストランだった場所で、喫茶スペースも出来ました。前は客がすれ違うのも大変だったから。
 11月11日11時オープンです。

T:前の店、壁のピンの穴までかっこよかった。

H:恥ずかしくて帰りたくなりましたw。ところでゆうへいくんのレコードいいレコードばかりですね。

Y:三戸町でレコード店やってます。渋谷のオルガンBARでバイトしてたんです。今は週末仕事してます。自分がやりたくて好きなことやっているからもうからなくてもいい。町のレコード店めざしている。店主の言い値で値段が決まるみたいな。

T:ぼくが学生のときのヤム(ソールブランチ新丁のもう一人の店主)の店とか、かっこよかったですよ。新丁に置いてある本も、みんなヤムの持ってる本なんですけどね。押し入れ一杯にあるんです。僕とヤムはボッサでブラジル音楽をやってるんです。詩や曲を書いて。

H:八戸にソールブランチ新丁があってほんとに羨ましい!

T:八戸ブックセンターの人が午前中に来てて、うちではいつも断られているのに、BookNERDの早坂さん来るんですか( ゚Д゚)って言われましたよ。
 僕もブックセンターにジャズの本棚を持ってたことがあるんですけど、八戸は、ジャズも盛んで、ジャズの店も多いんです。無くなったけど沙門、今あるのは、ジュニア。ジュニアのマスターが作る自分でソースかけて食べる焼きそば、うまいよね。ヤムのやっていた店があった場所は、今はAND BOOKSっていうBARの本がたくさん置いてある別室になってる。
 そういう店が、1人の青年の人生を左右することがある。

H:ピアノの弾き語り、ロンドン・レーベルから出ているレコード。マシュー早坂さんと言って札幌に住んでます。宅録です。モンクのソロとか好きなんですよね。

T:ベンジャミン・タウブリン?っていうブラジルのジャズがあるんですが、あれのあれ、最高ですね。
 なんのはなしですか?

 私の怪しいメモに突然

#なんのはなしですか

 が出現した。もう、メモは早坂さんが言った言葉か店主のタクさんが言った言葉かわからない。なんのはなしですか?と言う言葉も、2人が言っていたのか、私が書いたのかわからない。

#なんのはなしですか

H:そろそろ時間が終わりに…どんどんかけましょう!
スタンケルトン?のピアノ。ジャズ。モダンアレンジ。
これだけでご飯3杯食べれます。「Theme for Sunday」

T:早坂さん、本を7冊出版しているんですね。東京発とか、もう関係ないですね。遠隔地にいても何かを生み出して発信できる。場所じゃないね。
 BookNERDにはグルーヴ感あるけど、ブックセンターには無いw。

H:今度出す本は東海道五十三次の街道を歩いているクレイグの本。
もう、10年歩いてます。2020年に中山道を歩いた記録を出します。昔だったら茶屋で休む、今は喫茶店ですね。
 彼は必ず喫茶店でピザトーストを食べるんです。喫茶店文化も日本文化の一つだと思うんですが、もしかしたら喫茶店文化の最後のドキュメントになりそうな気がしますね。この本を持って、旅して欲しい。装丁はペーパーバック風だけど、実はお金がかかってる。
 あと、昔からやっている店ほど、ピザトーストってあるんですよ。
11月22日 トーク・ショー
11月25日 出版
の予定ですね。最後の曲をかけます。ジョン・ダグラス、スコットランドのバンドです。

 実はこの記事を初めは、2000字ぐらいで、怪しい記憶だけで書いていて、

「なんのはなしですか」と言いたくなるような、ただ気持ちよい世界に浸っていました( ´艸`)

と、終わるはずだったのだが、自分のメモを起こしていたら、色んなことが語られていたことに気が付いた。(不正確ですが( ´艸`))

 BookNERDの謎が、スコシ解けた。

 早坂さんの経営する本屋は、独特の本のチョイスにグルーブ感があり、(パタコ曰く、こんなに欲しい本が次々ヒットする本屋はない!)しかも本屋発で、本も出版しているということ。
 新しい本屋の在り方を盛岡から発信しているということだ。

 その日は、パタコと2次会あるかもと心の準備をしてきたが、そのまま直帰。「なんだ!もう帰ってきたのか~い!」と、黒帯に驚かれた。

 この後、一週間、私とクロオビーは、パタコの作った美味しいおだんご、おはぎ、栗の渋皮煮で、最高に贅沢なおやつタイムを過ごした。
 パタコ様、我々を幸せにして下さって有難うございます💖

 今回も、パタコに誘われなかったら絶対行かない企画だ、と小さな冒険を不思議に思う。

 BookNERDは、興味深い本屋だと知った✧♡


移転前のBookNERD


 ソールブランチ新丁の2人の店主、ヤムさんとタクさんはミュージシャン。こんな記事を発見!
 本当に、八戸にあるのが不思議な店です。