鏡の中の瞳にハイライトを入れられるのは、私だけだ。

人生最初に務めたデザイン会社を4月いっぱいで退職し、転職活動を始めた。私はまず、自分とはどんな人物か、これから具体的にどうなりたいかを整理しはじめた。

デザイナーとして就職し、プランナーへ移行した。なぜ?私はコンセプトから案件に関わりたい、自分のアイディア力を生かしたい。だからプランナーになったのだった。いつかはコンセプトから携わり、コピーも書けてデザインもディレクション出来るプランナーになりたい!

はじめは欲張りなくらい前向きな願望ばかりが浮かんだ。

しかしある日から、小さな不安が、何かの拍子でポコポコと現れるようになった。
ノートに並んだ自分のアピールポイントは、果たして企業に胸を張れるものだろうかと。

・やりたい事は、沢山ある。
(どんなジャンルでもやってみたい、ただし、今自分が知ってる範囲では‥)

・どんな案件でも興味をもって取り組める。
(正直硬い案件続きの時はモチベーション下がってたけど)

・どんな人とでも、話せる自信は、ある。
(接客のバイトとかしてた人よりは話せないかも?というか面倒な人に出会ってないだけ?)

・アイディアは、沢山出せる。
(沢山出せるけど、だからと言って良い訳じゃないよな、自分のアイディアは世間一般的に質が良いと言えるのか‥?)

など

自信をもって書いた項目ひとつひとつに、括弧書きで矛盾点が見えてくるようになってしまったのだ。

20人程の小さな会社に3年いたくらいの世間知らずの私になにがわかる?何故胸を張れるか?何を言っているんだこいつは‥!と自分が恥ずかしくなった。就活ノートを開くことすらも嫌になった。

毎日届く転職サイトからの通知。
ステップアップの為の転職と銘打って辞めたからにはと、憧れの企業をリストアップしていた。しかしネガティブ状態に陥った私は採用条件を読むことも辛かった。通知も溜まっていくばかり。

そのうち日常生活すら劣等感でうまくこなせなくなってきた。もやもやと無駄なことを考えていると気付けば夕方だ。床に寝そべりながら、「1ヶ月前の自分なら、“今日も頑張った”って胸張って言える毎日過ごしてたんだろうな」と目を瞑る。夜は謎の不安から、必ず悪夢を見た。

お金のこともある。目標下げてさっさと就活するしかないか‥?

ふと、鏡を見ると、だらしなく髪が伸びて寝間着姿の私の目が死んでいた。

これ、【就活うつ】では???
思わぬ疑問が浮かんだ。

そして、気づいた。
いやいやいやいや、だってまだ一社も受けてないよ。就活ってほど就職してないし

じゃあこれは何だ‥
希望や理想でいっぱいだった私は
なんでこうなってしまったのか?!?

劣等感?!
自意識過剰の自覚?!
このまま前と同じような会社にいくの?
それとも地元の秋田に帰る?!

勝手に落ち込んで、諦めるの??

前の職場の人達が折角認めてくれたこと、自信を持てと送り出してくれた気持ちを無駄にするのか?

何より3年間這いつくばって歯を食いしばって身につけた経験が次につながらないなら全て水の泡だ!

気づいた途端に
自分の瞳に小さな光が灯った気がした。
その時浮かんだ言葉が、タイトルの言葉だった。

「鏡の中の死んだ瞳にハイライトを入れられるのは、私だけだ。」

思い出した。私は幼い頃から、イラストを描くのが好きだった。中でも瞳を描くことに惹かれ、あらゆる漫画やアニメの瞳の部分だけを模写して集めた「めのほん」なる小冊子まで小学校低学年の自分は作っていた。

輝く瞳に憧れた。自分もこんな風に、キラキラした大人になるんだと。こんな死んだ瞳では希望でいっぱいだった自分に申し訳ない。

まだその希望が胸の中にあるからこそ自分は、落ち込んでしまったんだと気づいた。

あの頃の私と、いまの私
ちゃんと繋がっている。
まだまだがんばれる。

今も自問自答しながら、
ただ前向きに、
少しだけ自意識過剰に、
次のステップへ歩みだしている。

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