明日の私5
先月、病院に行ったら
育ってないと言われた
お腹の中で成長が止まってしまっている
と
お正月にゴロゴロしてお餅ばっかり食べて
布団の上げ下ろしもせずにベッドで楽ちんな生活ばかりしてるからだ
と
その院長は言った
次の日
違う病院に行った
結果は同じだった
出てきたら原因を原因を調べますので
袋に入れて持ってきてください
でも、もしトイレにおちてしまったら
そのまま流してしまっても良いですが
できるだけ持ってきてください
今度の先生はそう言った
家族旅行のさなかにそれは起こった
真っ白くて綺麗な塊が
赤黒い塊に紛れて
私と完全に決別を果たしたのだ
そして今
久しぶりに会った友人のバッグには
妊婦マークが輝いている
「久しぶり~」弾んだ声
「わあ!おめでとう」笑顔で返す
「予定通り3人目」と彼女は言った
私も3人、あわよくば4人 と思っていたんだけどな
と 思ったけれど
多分、口には出ていなかったはずだ
予定日は10月
もしあの子が順調に育てば9月生まれだったから
また一緒に子育てできたのにな
と 思いながら
そのことについては触れなかった
何を話したのか
あまり覚えていない
とりとめもない
最近のあれやこれ
まだまだ 心の傷は癒えていないことを
これでもか というくらいに
思い知らされる
私はちゃんと笑えていただろうか
いつも通りのトーンで
話ができていただろうか
帰り道
空を見上げたら
頬を雫が伝った
雨でも降ってきたのだろうか
あの子は今 どこで
何をしているのだろうか
お空からきっと
見てくれている
何を知らせに
来てくれたのだろう
そう
きっとあの短い時間にも
意味があったのだと
何かにつけて
その意味をこじつけようとしていることに気付く
自然にそう思えるまでは
もう少し時間がかかりそうだ
そう思った私の横を
妊婦マークを付けた人が通り過ぎていく
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