Edinburgh フリンジフェス参加の記録 1
はじめに
2024年夏
NONSTYLE石田さん率いるノンバーバルコント「CHALLENGE」は、スコットランドはエディンバラにて開催されるフリンジフェスに参加することになった。
滅多にない海外公演という機会、せっかくなので徒然に旅の記録を記しておこうと思う。
夏のエディンバラへ滞在をお考えの方や、今後フリンジフェスへの参加を検討される方、海外での演劇公演を考えている団体など、少しでも情報の足しにしていただければ幸いです。
今回の私は出演者のひとりなので、スタッフサイドのことはほぼわかりませんが、いち出演者としての感想などを。
我々の公演日程はイギリスにおける8月1日~10日、毎日12:40~の1ステージを計10ステージ。場所はAssembly George Square Studiosの中のStudio2で、キャパは200席程度。
フライト(日本→パリ)
8月1日に公演初日を迎えるため、7月29日には東京を発ち、トランジットを除く16時間ほどのフライトと8時間の時差を経て、7月30日の午前中にエディンバラへ到着した。
スタッフやキャストの私物の他に小道具や衣装もキャリーケースに詰めて飛行機に乗せる。
演目内で殺陣があるため、小道具の中には竹光(演劇用の木製の刀。見た目は日本刀)もある。
預け荷物のレーンで私物や小道具を預ける際、やはり竹光は養生をほどいて空港の警察のチェックを受ける必要があった。
ちなみに私は2017年にも海外で竹光を使用した殺陣を行っているが、航空会社は違えど、その際も今回も竹光のチェックの様子は変わらなかった。
前回はチェコ、今回はUK(スコットランド)とどちらも行先がヨーロッパだったからか、世界各国どこでも同じなのかはわからない。
荷物を預けて、いざ出国ゲートへ。
「CHALLENGE」の出演者、音響や舞台監督などのスタッフ、吉本興業のタレントマネージャーと海外担当の社員で同時に旅立つのだが、出入国に関しては有難くも吉本の社員さんが全てを手配して下さったため、自分ではほぼ何もしていない。
どきどきしながら「さいとしーいんぐ」と呪文のように唱えていたけれど、結局口に出すことはなかった。
詳しくは入国の項に譲りたいが、フリンジフェスの場合はレターを発行していただくので、ビザは必要ないが観光ということでもないらしい。
なにか聞かれるとしたらトランジットの際に「とらんじっと」と答える必要があるくらいです、英語が堪能な吉本社員が同行するので何も心配しないでくださいと言われ、行きはほとんどその通りになった。ありがとうございます。
無事搭乗してみると、たまたま修学旅行とバッティングしたようで、外国の学生さんがいっぱい。
吉本が気を利かせてCHALLENGEメンバーにバラバラの席を取ってくれたため、我々で学生さんをサンドイッチする形となり、なんだか面白い絵面になってしまった。
飛び交うフランス語。楽しげなお喋りがだんだんシートのクッション投げに代わり、トイレに立つと席を取られ、大人たちは右往左往。
どこの国も学生さんはパワフルです。
機内の注意事項
空港まで見送りに来てくれた吉本の社員さんは「ヨーロッパの飛行機の機内は真冬ほど寒い」と教えてくれたけれど、手荷物の容量に余裕がなく、日本の夏の服装プラスUNIQLOで購入した薄手の長袖UVパーカ1枚を機内に持ち込んだ私は、離陸早々に後悔した。
めっちゃくちゃ寒い。
数年前のチェコへのフライトでそんなに寒かった記憶なんかなかったので油断していたけれど、そういやあの時は11月で、ちゃんと日本からコートもヒートテックも着ていたのだ。
今回は30℃越えの日本からの旅なので、元々の装備が薄く、寒くて寒くてとても寝るどころではなかった。
備え付けの他にもう1枚余分にブランケットをもらったけれど、結局14時間のフライトで一睡もできなかった。
ウルトラライトダウンを持っているのにスーツケースに預けてしまったことを大後悔して、帰路は意地でも手荷物に入れようと誓った。
(ちなみにこれを書いているのは帰りの機内、やっぱり手荷物が多めだったので、ウルトラライトダウンを入れたポーチごとカラビナで手荷物バッグに取り付けました)
また、機内はめちゃくちゃ寒いと共にめちゃくちゃ乾燥するので、乾燥肌の方は保湿グッズを必ず手荷物にどうぞ。
私は化粧水、乳液、全身用クリーム、目薬、リップクリーム、保湿スプレーなどを用意して、もれなく全部フライト中に使いました。
顔だけでなく、足や腕など全身超乾燥敏感肌の私のライフハックは、長時間フライトの前のオイルマッサージ。
今回も日本のサロンで全身オイルトリートメントを受けてから出国しましたが、かなり良かった。
機内は浮腫みもすごいので、W効果でおすすめです。
浮腫とり靴下と機内用スリッパもあると格段に快適です。
機内の乾燥というと、のど飴もあるといいです。
ペットボトルのお水は手荷物チェックではじかれますが、その後ゲートまでのお土産屋さんや自販機で買えるので、1本持っておくことをおすすめします。
機内でもらえるお水は小さいし、なかなか欲しいタイミングでもらうことが難しいので。
日本でも空港価格ですが、トランジットの時は現地価格になるので(我々はパリなのでユーロ)更に高額になります。
トランジット(パリ)
さて、ほとんど寒いしか記憶がない東京▶︎パリの14時間を乗り切り、パリのシャルル・ド・ゴール空港でトランジットをする。
「辻仁成だー」とか「LADUREEがあるー」とかソワソワしつつも、フランスは5時台の超早朝。次のフライトまで4時間。
まずはもろもろのトランジット手続き。
同じ航空会社での乗り換えなので、預け荷物を引き取る必要はなかったが、手荷物やボーディングチケット、パスポートのチェックがある。
乾燥問題もあって、どすっぴん&メガネの私、バチバチフルメイク写真のパスポートと顔が違いすぎて何度も止められました。
手荷物に関しては、PCやタブレットをいちいち取り出して全て見せ、帽子や上着やくるぶし丈以上のブーツも全て脱がされてのチェック。たまたまなのか、液体(全ての液体をジップロックに入れ、且つ1つにつき100ml以下)のチェックはあまり厳しくなかった。
金属類が厳しく、ねじやボルトの入った機材を手荷物にしていたスタッフさんはかなり長めにチェックを受けていた。
バッテリー等は預け荷物にできないので、電子機器の多いスタッフさん達は大変。
シャルル・ド・ゴール空港はとても広く、乗り換えゲートまで空港内を電車で移動する。
初めての空港ではちょっと戸惑うため、行きのトランジット時間には余裕を持った方が良いと思います。
我々も帰りのトランジットは1.5時間で、更に1本目の飛行機がかなり遅れたけれど、帰りも行きと同じルートのチケットだったのでサクッとトランジットできた印象。
漸く乗り換えゲート付近まで到着するも、ド早朝のためごくわずかのカフェやバーと、でっかいお土産屋さんしか開いてない状態で待つこと数時間。
空港外に出るほどの時間でもなく完全にヒマを持て余し、ビールをがぶがぶ飲む人あり、端から端までお土産屋さんをのぞく人あり、ひたすらPC作業をする人あり、とにかくウロウロする私。
ヒマすぎてフランスといえばのディプティクで気に入った香りを見つけたのでヘアミストを買ってしまった。
これから行くUKと違ってフランスの通貨はユーロだが、クレジットカードが使えるので換金の必要はない。
ちなみに今回の旅で私は一度も現金を使わず、換金自体一度もせずに全ての会計をカードのタッチのみで済ませました。
チップの計算もいらないし、小さな商店や屋台ですらカード利用できるし、タッチ一発で現金より遥かにレジが早いのでとても便利です。カードのみのセルフレジもいっぱいあります。
ICチップ入りのクレジットカードが絶対に必須ですよ。
東京→フランスでペットボトルを飲みきったので新たにパリで購入しようとしたら、円安すぎてお水1本(500ml)が700円近くしたので泣きそうだった。でも買った。
ついでにリンツのチョコも買ったけど、なんとお水より安かった。
空港内で買い物をするときはいちいちボーディングチケットのチェックがあり、搭乗まで何度もパスポートとチケットを出し入れするので、取り出しやすい装備がおすすめです。
フライト(パリ→エディンバラ)
シャルル・ド・ゴール空港からエディンバラ空港までは1時間の時差を経て2時間ほどのフライト。
こちらはエコノミーのみの小さめの飛行機であっという間の空の旅。
機内食にでたガレットはバターが濃厚でめちゃくちゃおいしくて、ペロリと完食してからカロリーを見ると、掌ほどの大きさで600kcal近く。ぶっ倒れるかと思いました。おいしいわけだ。
エディンバラ空港は建物内から機内までにゅーんと通路が伸びているタイプではなく、しっかり滑走路と地続きの地面を歩かされるタイプの小ぢんまりとしたのどかな空港。
地面に降り立った瞬間は、想像した気温よりもあたたかい印象でした。
実際は東京より10℃以上低いけど、とにかく機内が寒かったので。
出国の際もボーディングチケットを自動審査ゲートに翳すのだが、機械の調子が悪いのか、CHALLENGEチームは3名ほど有人審査ゲートにまわされた。
このゲート、思った以上に力強く、「ピッ」でなく「ガッ」という気持ちで翳しまょう。
私も止められたひとりで、英語が喋れないのでドキドキしたけれど、ちょうど英語ペラペラな吉本の社員さんも有人審査になったので助かった。
3名まとめて有人審査ゲートへ行き、フリンジフェスに出演する旨のレターを見せる。
(そういえば機内で旅の目的を書かされたような紙もなかった)
社員さんがそれぞれを紹介してくれ、私はまたしてもすっぴんと顔が違うと言われたが、ちょうど審査官が日本へ旅行したばかりの親日家だったので、日本から来たというと嬉しそうに「ファミチキ!!」と言われた。人気らしい。
預け荷物はロストバゲージもなく全部無事到着。
海外あるあるですが、今回もおにゅーのスーツケースが一度のフライトで使用感バリバリになりました。笑
手荷物チェックで目の前に持ち主がいてすら、係官がPCやタブレットを生身で投げまくり、持ち主が「ふらじーる!」と叫んでいる場面をよく見たので、本人がいない上に頑丈ぽそうなスーツケースなんてなにをかいわんや。
どうせ服しか入ってないでしょと言わんばかり。お化粧品もあるんだけどな。(無事でしたが養生必須)
エディンバラ到着、宿泊
さて、いざ空港からタクシーでホテルへ。MIBみたいな強そうなガイ達に連れられ、でかいベンツに乗り込む。
ホテルといっても、今回はビジネスホテルではなく、3軒のおうちが生活の拠点です。
巨大なリビングとキッチンに、各々の部屋にシャワーとトイレがついたモダンな学生寮風の男性チームのおうち。キャストもスタッフもマネージャーも男性は全てこちらに。
男性ハウスから2ブロックほど先に、私と音響さんと吉本海外担当の社員さんの女性3名が泊まる女性ハウス。こちらは本当に地元の人が住むような、クラシカルな石造りの可愛いフラット、中庭付き。
そして劇場のごく近くに、スタイリストさん2名と石田さんのファンクラブ担当の方、こちらも女性3名が泊まる、超スタイリッシュなマンション。お手洗いはなんとVilleroy & Boch!
3種3様なおうち、どれもそれぞれに素敵なのだけど、レトロ大好きな私は映画に出てきそうな自分のおうちの雰囲気が大好きで、しょっちゅう中庭で寛いでいました。
明るくて広くて、部屋で筋トレもストレッチもし放題。
石造りのため電波が良くないのと、水周りが少し難儀だったけど、大好きなおうちでした。
お洗濯はアリエール!
種類は違うけれど、現在私日本でアリエールのCMに出演しております。
UKのアリエールは香りが強めで、柔軟剤なしでもとっても良い香り。洗濯済の服を着ることが毎日嬉しかった!
エディンバラは石造りの建物が多くて、おうちのWiFiでも部屋によっては弱いです。私の部屋はモバイルWiFiはいけましたが、おうちのWiFiは繋がりにくくて、リビングやキッチンはおうち用、部屋はモバイルと2つのWiFiをしょっちゅう切り替えていました。
ロイヤルマイルの辺りなどは、人も多く石造りの建物に囲まれすぎて、街中でもモバイルWiFiがかなり繋がりにくいです。
私は連絡手段や街歩き、ちょっとした検索にしかスマホを使っていないため、吉本支給のモバイルWiFiとおうちのWiFiだけで乗り切りましたが、業務でPCやスマホ利用が必須な方は、モバイルWiFiとは別に海外SIMやスマホキャリアの海外利用プランなんかも同時進行で選択できる方が良いかもしれません。
さて、それぞれのおうちに荷物をおいたら、一度集合してまずは腹ごしらえと買い物。
拠点としていた男性宅の近くにモールがあったので、そこでハンバーガーを食べ、近所のスーパーへ。
慣れない外食ばかりではなく、節約も兼ねて、舞台監督さんとGABEZさんのマネージャーさんがシェフとして毎日おいしい手料理を振舞って下さいました。
お味噌汁やおにぎりや唐揚げまで作ってくださって、日々本当に有り難かったです。
かの有名なリドルというお安めのスーパーが少し先にあって、みんなでお水やお酒や調味料、アリエールなど生活用品を買い込んで、それぞれのおうちにシェアし、いよいよ劇場へ!
場当たりやリハは翌日からなので、まずはこれから毎日通うことになる劇場への通勤ルートをみんなでチェック。
最初こそみんなで大集合してぞろぞろテクテク行きましたが、慣れてきてからは遅刻防止の連絡だけ必須として、だんだん寄り道する人あり、ゆっくり出る人あり、とそれぞれのペースで劇場通いをするようになりました。
私は毎日劇場入り前に、近くのパン屋さんかスーパーかスタバに寄るのが日課になりました。
日々カスタムを重ねて、日本でいつもオーダーしている味(スターバックスラテ低脂肪乳)に一番近いものをひとりで英語でオーダーできるようになったのが地味に嬉しかったことのひとつ。
こちらのスタバでは予めレジで自分の名前を伝え、オーダーが出来上がったら名前を呼ばれます。
劇場までの道のりを確認しつつ、街中のフリンジ一色な雰囲気にわくわく。
フリンジフェスにも色々あって、私達は「Assembly」というくくりの出演団体で、その他にも色々なオーガナイザーがフリンジフェスに関わっています。
Assemblyのみでもかなりの演目数で、短い滞在ながら自分の本番をやり切った後は他の団体さんを勉強できる!とわくわく。
なにしろ、街中でサーカスに演劇に大道芸、ミュージカルにコメディに色んな演目があり、いくつ目があっても足りない状態。
私達の劇場はエディンバラ大学の構内で、大学構内にも多数、大きな公園の中に複数のテント、街中のお城エリアにも、街外れにも、路地裏にも、とにかくすごい数の劇場。
更に、私たちの出演したAssembly George Square Studios2という劇場だけでも、1日に8演目以上をまわしていました。
Assembly George Square Studiosには我々の公演したstudio2を含むstudio1~5の他に、事務所や誰でも出入り自由なバーなどがあります。
つづく。