![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160362247/rectangle_large_type_2_80b18a014c0ab8e249b9ed4617b3461d.jpeg?width=1200)
ステルベン改造手術室 surgery 3
「はい、術式終了🎵もうおしまいよー❤️」
「は、はい……うっぐ……あ、ありがとう……ご、ございます……」
手術台が軋むような巨体の若者が、息も絶え絶えに自分の男性器を切除した執刀医へと感謝の言葉を述べた。
![](https://assets.st-note.com/img/1730579494-yFOI1bxfiNv8d4kn0TBZgmsu.jpg)
「すごいわねえ❗手術中も泣き叫ばなかったし❗️」
と女医は血塗れの手術着、シールドとマスクの下で満面の笑みを浮かべた。
「殆んどの方は失神しちゃうのに、すごいですねー💕」
「こんなに我慢強い患者さん、初めてですよー❤️」
看護婦たちも若者の陰部をドレッシング材で保護しながら、ほめそやす。
「そ、そうなんですか?」
脂汗をだらだらと流しながら、若者は少しだけ微笑んだ。
150kgはある肥満した巨体に似合わず、大人しげで、気弱なその若者だが、お腹の脂肪に隠れるような愛らしいペニスを切られる時も、陰嚢から引きずり出された精巣を摘出される時も、歯を食い縛って、悪夢のような激痛に必死に耐えたのである。
「ホントにえらいわぁ❤️私なんか、あんまり仕事してないですよwww」
患者を押さえ、宥め、叱り、全身管理をする“声掛け”の看護婦が苦笑する。声掛けナースが励ます度に、若者は、大丈夫です、とぶるぶる震えながら答え、耐えきったのだ。並外れたど根性だった。
「すごいわねー❗こんなに根性ある患者初めてかもしれないわ❗」
女医は膿盆に載せられた若者の切除した男性器を、持ち主に見せつけた。
「あ、ぼ、ぼくの……」
「ちょっと小さめだけど切除する痛みに耐えるなんて、素晴らしいわ」
勿論、この、改造手術に麻酔などない。
「あなた、随分体が大きいし根性あるけど、相撲部とかなの?」
「い、いえ、特になにも……」
恥ずかしげに若者は首を振る。
「ぼくは、その、ただのデブなだけなんです」
「あらまー。そうなの」
「はい……小さい頃からデブで、食べてばかりいて、走るといつもビリだし、苦しくて運動は全く……同級生にもバカにされて……何をするにもずっとハブられてきました」
「そうだったの……」
「みんなぼくをバカにして、でもそれは仕方ないんです。ぼくがにぶくてトロいんだから。でも、ぼくの幼馴染みの事までバカにして……」
「女の子?」
「……はい。家が隣で、ずっと兄妹みたいに育ちました。ぼくをブーちゃんって呼んで、彼女は陸上とかスポーツ万能で、でもぼくをバカにしないで、いつも助けてくれて、いいやつなんです。その彼女まで、ブタと付き合ってるとかバカにしやがって……」
「付き合ってるの?」
「い、いえ、そういうわけでは……」
「好きなんでしょ?」
「…………」
若者は何も答えない。沈黙は肯定だった。
「良かったのかなあ?彼女と付き合っても、もうエッチは出来ないけど……」
と膿盆の上の肉の塊を示す。
![](https://assets.st-note.com/img/1730579520-z2GCLsBXUh1uAjHpkVNgKaQ6.jpg?width=1200)
「……はい。でも、いいんです。こんなブタの彼女になんてさせられない。幼馴染みで充分です。その……お腹が邪魔で、自分のちんちんも見えないし」
「そうなんだ。それで……」
「はい。自分を変えたくて、こちらの組織の戦闘員募集に志願しました」
若者は拉致されたわけではない。自分から志願してきたのである。手術台にも自分で上り、自分で手足を広げて、横たわった。
「大変だったわねえ。どう?良かった?」
「は、はい❗手術してもらって良かった、嬉しいです❗️」
未だ焼けるような股関の痛みに耐えながら、若者は笑みを浮かべる。
「えらいなぁ😚」
「ちょっと泣いちゃった💦」
と、看護婦たちがお腹を擦った。
「…………」
若者は満足そうに、安堵の溜め息を吐き、目を閉じた。
この素晴らしい若者に対して、
『じゃあもう一度手術しましょう』
女医はそう宣言した。
「えっ?えっ?ちょ、ちょっと?」
唐突な展開に手術台に拘束されたままの若者は焦り、困惑する。
執刀医の第二手術宣言により、大勢のスタッフが駆け付けて来た為、医師と看護婦の数も先程の倍以上だ。
「せ、先生っ❗ちんちんはもう取ったじゃないですか❗ぼくはステルベンの一員ですよね!?」
「ええ、そうよ……だからもっと改造してあげるの❤️」
笑い、女医は再度の手洗いの為、足早に手術室から出ていく。
「も、もっとって……」
そこまでしなくても。
そんな特別視をしてくれるのは、ありがた迷惑だった。
「改造手術と言っても、さっきのは男性器を取っただけですからねー😁」
と外回りの看護婦が四肢を更にきつく拘束してくいく。
![](https://assets.st-note.com/img/1730594288-qdIjyB2QtevVZ37zuxrMWTR4.jpg?width=1200)
「こ、今度は何をするんですか?」
「お腹を開く手術ですよー❤️」
と器械出しの看護婦が若者の肥満した巨大な腹部を消毒する。
![](https://assets.st-note.com/img/1730697841-4MHDZF812EbL5RINlh3StYzs.jpg?width=1200)
「!!!???」
この大きなお腹を、
切られる。
若者は恐怖で青ざめた。
こんな怪しい組織に入らなければ良かったと思った。
何とかまともにダイエットして、幼馴染みに告白すれば良かったと後悔が過る。
とはいえ、もうペニスは失く、精巣も失くなり、彼女との普通の男女の悦びや、将来、赤ちゃんを授かることも出来ない。
いや───────
告白なんかして振られたらどうしよう。
もう彼女に会えなくなったら、、、、
「…………」
手術して良かったのだ。
あんなものは邪念や、迷いを生むだけの足枷だ。
自分には必要ない。
どうせなら…………
「き、切ってください❗️ぼくのお腹っ❗」
若者は開き直り、覚悟を決めた。
「すごーい😆」
「頑張りましょうねー💕」
「はいっ❗頑張りますっ❗」
手術室は喝采に包まれ、やんややんやと若者は讃えられ、手術の準備は進んだ。
そして。
「おまちどおさま❤️」
フットスイッチを蹴り、ドアが開いて手術室に執刀医が戻ってきた。
「先生、すごいですよ、彼は❗️」
と、第一助手を務める若い女医。
「手術受ける気まんまんなんです❗」
興奮を隠せない。
「そうなのよ😄えらいわよねー🎵」
執刀医は若者の右横に立った。
「怪人になりたい人っているんですねー❗」
「えっ?怪人?」
助手の言葉に若者は目を見開いた。
怪人?
ステルベンの一般の戦闘員ではなく?
それはつまり、
人間をやめる、ということ…………
「ちょ、ちょっと待って下さい❗️ぼくは怪人にされるんですか!?」
「そうよ?戦闘員の中から優秀な人材を怪人にするんだから、当たり前でしょ」
「そ、そんな、それは困りますよっ」
彼女に、
もう会えない。
「ううっ……そんな……や、やめて下さい……手術しないで……」
若者は涙を浮かべ、逃れようと暴れ始める。その巨体に手術台は軋み、慌てた看護婦たちが、押さえつける。
「あらら。怖くなっちゃった?大丈夫よ、今度のは我慢できるような痛さじゃないから🎵間違いなく失神するわ❤️」
「脳手術もしますから、安心して下さいね🧠」
頭側に待機していた脳神経外科医が、優しく若者を勇気づける。看護婦がバリカンを使い手早く髪を刈り始めた。
「では始めましょ」
再び無影灯が灯される。
「や、やめろ───────❗️❗️❗️❗️」
「メス」
つぅぅぅぅっ、と金属が大きなお腹を縦一直線に走っていった。
![](https://assets.st-note.com/img/1730582465-xqhIokLW4a8Vbni7m0sdQBep.jpg?width=1200)
「ぐあ……ふんぐ……ううっ……」
鋭い痛みに悲鳴を上げそうになるが、叫んだら人間性そのものまで投げ捨ててしまいそうで、何とか耐えた。
これならなんとか…………
「脂肪が厚くて殆んど切れないわね……」
「かなり硬いですね」
女医たちが、困ったなと相談している。
切れない?
では、これでもまだお腹を切れてないのか。
お腹が開くまで、何回切られるのか。
若者は、まな板の上で何度も包丁に刻まれるブロック肉を思い、戦慄した。
「だめですね」
「そっちにしましょ。ソー」
器械出しの看護婦が機械を手渡す。
そのスイッチが入る。
![](https://assets.st-note.com/img/1730582530-n8KJvZ3zhdN4Mm2pCVxsfYjR.jpg?width=1200)
ィィィィィィィィィィィィィィイイイ❗️❗️❗️❗️
「わあああああああああ❗❗❗❗❗」
回転する電動ノコギリが腹部に当てられ、凄まじい痛みと熱に、若者の何かが吹き飛んでいく。
血飛沫が飛び散り、瞬く間に若者の大きなお腹は鼠径部まで、ぱっくりと開かれた。分厚い脂肪が覗いている。
「すっごい脂肪ね」
開創器を突っ込みながら、女医は嘆息する。
「うう……うあぁ……」
「太ってるから、痛いでしょうねえ🎵」
「でもまだ我慢してますね。すごいわ」
「今の内に、内視鏡入れますね」
第二助手が内視鏡を準備する。
看護婦たちが若者の口に開口器を押し込み、嚙ませ、開かせる。そこに第二助手の女医が内視鏡を挿入していく。
![](https://assets.st-note.com/img/1730580667-JovfeizFjlxq4BCYbM0S6GuX.jpg?width=1200)
「おごっ……おえっ……」
「吸引して下さい」
「はい」
看護婦がえずく若者の胃液を吸い出し、女医はぐいぐいと内視鏡を胃に進入させた。
「OKでーす」
「では、消化器全摘出を行う」
腹膜が取り除かれていく。
露出した小腸、大腸を女医の手が掻き分ける。
![](https://assets.st-note.com/img/1730697613-9LaEe5vdghsGmp8kJ0BRzx6O.jpg?width=1200)
「うう~っ…………」
己のはらわたを目にして、若者の意識は遠退いていった。
「では脳も始めます。メス」
真横に頭皮が切開され、べろりと剥がされる。
その己の皮膚が視界に掛かり、何も見えなくなった。
感じるのは猛烈な痛みと後悔。
もう、早く終わってくれと願った。
ガリガリガリガリと頭骨に穴を開けられ、やがて、バキン❗と骨が外れた。硬膜を切られる涙が吹き出すような痛み、同時に、幽門部を内視鏡が内側から結紮し、胃と小腸が切り離されていく……………
痛み、熱、吐き気、異物感、恐怖。。。。。
こーゆーのを喜ぶ変態もいるのかもしれないが、辛くて堪らない。いっそ、死んでしまいたい。自分は Mではないな、Sだなとかどこかでボンヤリ思っているのが不思議で、滑稽だった。
「み……ゆき……」
脳が空気に触れる頃、ようやく若者は意識を失った。
「なんだ、お前はー!?」
「うるさいなぁ」
夕刻。帰宅時間のピーク、駅構内に現れた異形の人物に、人々は騒然となった。
身の丈、2メートル、体重は200kgはあろうか。
異様な人物は、一目で怪人と分かる。
後頭部から生えた触手をくねくねさせ、テカテカとした肌はビニールのようだ。その怪人は、片手にもったハンバーガー🍔をかじりながら、のしのしと腹で自動改札を破壊し、ホームへと侵入した。
ちょうど電車が到着した所で、降りる人々はその異形の姿に驚き、立ち止まり、ホームにいた人々は早く怪人から離れようと我先に電車へ乗り込んだ。
「お、おいっ❗」
「うるさいって。邪魔しないでよ」
電車を降りた人々に立ちはだかった怪人の肩を、駅員が掴んだ。
その体が人々の頭上を飛び越して飛行し、改札の向こうへ吹っ飛んだ。
一瞬の静寂。
「「「✕✕✕✕✕✕✕✕✕」」」
駅はパニックとなった。
逃げ惑う人々。
走り、ぶつかり、転び、倒れる。
「あっ」
その混乱の中、怪人はその人を見つけた。
外へと逃げていく。
「ま、待って💦」
のしのしと怪人はそれを追う。
結果、人々を追い掛けるような形となり、混乱は広がっていく。
「あ、あれ?どこ行っちゃったんだろ?」
駅から出て、キョロキョロしていると、スマートフォンで彼を撮影している青年に気付いた。
「あ、ダメダメ❗️ぼくは秘密結社だから撮影しないで❗」
手を振るが、男は撮影を止めない。
怪人は────────
「ダメだって言ってるのになぁ」
しゅるしゅるしゅるっ❗️❗️❗️
後頭部の触手が蠢き、青年へと向けられ──────
ぶしゅうっっっ❗❗️❗️❗️❗️❗️
液体を噴射した。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!??」
液体を浴びせられた男のスマートフォンが溶け、ぐにゃぐにゃに崩れていく。
摂氏270℃の強酸を浴びて、スマホはおろか、青年の上半身からもうもうと煙があがり、髪の毛や衣服、ついには皮膚も溶けて、数秒でどろどろの肉塊となってしまった。
それを目にした人々から今度こそ本気の悲鳴が上がる。
パニックにより二次的な犠牲者も増えていった。
『そこの怪人❗️止まりなさい❗』
パトカーだ。
警察官が車から飛び降り、拳銃を向ける。
「お、お巡りさんだ❗どうしよう……」
青年を惨殺したくせに、おどおどと怪人は警察官の到着に戸惑った。
「あ、あの、ぼくは撮影やめてって言ったんです💦」
『と、止まれっ❗』
「あの人がやめてくれなくて……ぼく、むかむかすると攻撃するように改造されてるから、仕方なかったんです💦」
『こっちにくるなぁーっ❗️』
パァン❗
パトカーの車体を盾にして二名の警官は、拳銃を発砲した。
「いたっ😫」
38口径の弾丸は、全身パンパンに肥大した怪人の腕に当たり、どこかに弾かれ飛んでいった。
『……………』
効いてない?
顔を見合せ、
『こ、この化け物めーっ❗』
パァンパァンパァン❗
警官たちは怪人に残る弾丸を乱射した。
「や、やめて下さい💦」
その巨大な腹に命中した一発が、
びしっ❗
『ぎゃあっ』
お腹に弾き返され、跳弾となって警官を襲った。
「あ、すいません💦」
『お、おいっ!?き、きさまっ❗❗️❗️』
倒れた相棒を助けようとする警官。
絶命していると悟ると、激昂して警棒を抜いた。
「このやろぉおおおお❗️❗️❗️❗️」
「いてっ💦」
怪人に突進し、警棒で殴り、突き、金的を蹴った。
「あ、ぼく、ついてないです。ごめんなさい」
「なななななな…………」
「あの、早く救急車よんだほうがいいですよ」
「うるせえーっ、ちくしょう❗❗️❗️❗️」
滅茶苦茶に殴ってくる警官。その1%も怪人にはダメージになっていない。
困ったなぁ、と視線をさ迷わせていると、
「あっ」
彼女を見つけた。
見慣れた高校の制服姿。
見れば、倒れて怪我をしたらしい中学生くらいの女の子を介抱している。
いつだって彼女は立派だった。
それがいつなのかは分からないが。
このパニックの最中に誰かを助けるなんて。
怪人は誇らしくなり、なぜ、自分が誇らしいのかよく分からないが、なんだか嬉しかった。
「お巡りさん、お巡りさん❗️怪我人がいますよ❗」
「おめーのせいだろっ❗❗️❗️❗️」
「そ、それはごめんなさい💦」
「ごめんなさいじゃねえ、デブ❗❗️ブタ野郎めっ❗️❗️❗️」
その言葉が怪人に火を着けた。
「ぼ、ぼくはもうデブじゃないっ❗❗️❗️❗️」
「!!!???」
胸ぐらを掴まれた警官は、上空へと放り投げられ、10秒近く空をとび、地に墜ちた。
「救急車もうすぐ来るからっ❗️頑張って❗️」
「は、はい……ありがとうございます……」
深雪は逃げ惑う人々にもみくちゃにされ、転倒し、その後、数名に踏みつけられた中学生の女の子を励ましていた。
開放性骨折というのか、折れた右脛から白い骨が肉を突き破って飛び出ている。その上、踏まれた時に肋骨が数本折れたようで呼吸も苦しそうだった。
命に関わると思われる。
「あっ、救急車きたみたいだよ❗」
「はぁはぁ……は、はい……」
その時。
「おぉ~い❗️こっちで~す❗️」
呑気な声と巨体が、ぶんぶんと救急車に手を振った。それを目にして、急ブレーキをかけた救急車は、Uターンして逃げ去っていく。
「ちょ、ちょっと、どこ行くんですかー??」
あわあわと怪人は救急車を追い掛けようとしたが、すぐに息切れし、諦めてこちらを振り向いた。
歩くタンクのような怪人。
怪人は笑った。
「ミ……ユキ……」
「えっ」
深雪が後退る。
「ミ……ユキ……」
がくがくと震えながら、深雪はその声に気付いた。
「あ、あんた……??」
「わ、わからない……ミユキって誰だっけ……ぼ、ぼくはどうして……」
うう、と呻いて頭を抱える。
「ね、ねえ、あんた……?」
その姿に恐怖も忘れ深雪は彼へと歩み寄った。
「あんた、ブーちゃんなの?」
「ち、違う」
「孝大なんでしょっ!?」
がくがくと揺さぶられる。
「孝大っ!!どうして、こんな姿にっ……どうしてこんな酷い事をっ………」
「……………」
「答えてよ、孝大っ!!??」
「違う……違あぁぁぁあうっ❗❗️❗️❗️」
深雪の両肩を掴み、
「ぼくはっ」
その体に、
「きゃあああ?!!!??!!???!?」
「ぼくは怪人っ❗️❗️カンチョウガマーン❗❗️」
怪人はのし掛かった。
「な、なに、あんたっ…………」
制服を引き裂き、下着を剥ぎ取る。引きずり下ろしたパンツは恐怖に失禁して濡れている。
左手と右手、右手と左手、それぞれを絡め、押さえつける。巨大なお腹に押し潰され、開いた脚はどうする事も出来ない。
「は、はなせっ」
怪人にはもう一本の手があった。
後頭部から伸びる触手である。
「んっぐ」
それを深雪の口に押し込んだ。
舌を、歯を、唇を、粘膜をねぶる。
熱い。
「んん……おえっっ」
もっと奥に入りたいと思ったが彼女がえずいたので触手を引き抜いた。
ぬらぬらと糸を引く触手を股関へと伸ばす。
幼い頃は何度かお風呂に入ったりして見た事がある気がするそこは、すっかり変わっていた。
恥毛をそっと掻き分け、花びらの中に穴を見つけ、躊躇う事なく、侵入する。
「いっ……や、やめ……て……くあっ……あっあっあっ……」
深雪の膣は狭くきつく、逞しい怪人の触手は、忽ち、行き詰まってしまった。
「や……めろ……孝大……お腹破けるっ……」
子宮にまで侵入しようと何度も突き上げるが、それは叶わず、ずるりと怪人の触手は幼馴染みのヴァギナから引き抜かれた。
鮮血が滴っている。
「うう……なんで……なんでこんな事するのよ……ひどいよ、孝大……なんでよ……なんでなのよ……」
涙が溢れる。
再びのパトカーのサイレン、救急車のサイレン、遠巻きに見ている人々、ヘリコプターのローター。
それらよりも深雪の嗚咽は大きかった。
無限の“なんで”
「孝大がどんなにデブでにぶくても、優しくて、人間が大きいところが好きだったのに……ひどいよ……なんでなの……」
股から血を流し泣きじゃくる深雪。
それを目にした瞬間、怪人の最後の何かが焼き切れた。
「うわあああああああ❗❗️❗️❗️❗️❗️」
深雪を抱えこみ、まんぐり返しに捩じ伏せる。
そのトンネルへ、
もっとずっと深いトンネルへ、
触手を突き立てる。
「ひっ……ぎゃあああぁぁぁあぁぁぁぁ❗❗️❗️❗️」
肛門に突き刺された触手は、直腸を突破し、S状結腸を超えて下行結腸に侵入した。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………」
伸縮自在の触手は横行結腸を走り、上行結腸へと飛び込み、小腸にまで突き進もうとする。
「もっとっ❗もっとっ❗もっとっ❗もっと深くだぁぁぁぁぁぁ❗❗️❗️❗️❗️」
盲腸からの回盲弁を開こうと触手を手探りで突き立てる。
破城槌の如く何度か突き立てるうちに、側面に入った。小腸は盲腸の横に繋がっているのだ。
回腸は狭く熱かった。
どろどろがある。
それがやがて少し広くなり空腸を進む。
6mあまりある小腸の粗方を超えて十二指腸から胃への幽門を叩いた。
「うえっ……やめ……孝大ぉ……」
「ぼくはっ❗❗️カンチョウガマーンだ❗❗️❗️」
胃に入ると広く、だが焼けるように熱い。
あとはかんたんだった。
前へ、前へ、深く、深く…………
「う゛ぉ゛え゛っっ」
深雪が血と粘液を吐いた。
そのあとから怪人の触手の先端が顔を出す。
深雪の肛門に入った触手が、口から出ていた。
「ひーっ」
それをすぐ傍で見せつけられた中学生が短い悲鳴を上げて失神する。
「や、やった❗❗️❗️❗️やったぞぉっ❗❗️❗️❗️❗️」
何がやったなのか自分でもよく分からないが、怪人は狂喜した。
「………………」
この状況でも意識を失わないらしく、深雪は涙と鼻水と唾液と血液を流し、口を塞がれているので苦しげに呼吸をあらげながらも、怪人を睨んでいた。
すごい。
その根性は自分も分け与えてもらったものだ。
なんだかよく思い出せないが。
「すごい❗すごいよ❗感動するなぁ❗」
ちょっと涙ぐみながら、怪人は全力を出すことにした。
「そろそろ出すよミユキだっけ?」
「!!!??!?!??」
「よいしょ」
「……うっ……げほっ……」
触手がするすると引っ込んでいく、胃の中まで戻ると深雪は嘔吐した。まんぐり返しの状態なので、それが己の胸元に掛かる。殆んどが血だった。
「孝大……やめて……くそバカやろう……」
「これで終わりだよ」
ふうっ、と大きく息を吸い込むと、怪人は急激に萎んだ。
触手の先端が開く。
ぶしゅるるるるるる❗❗️❗️❗️❗️
「あああぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………………………………」
胃の中で全力で噴射された怪人カンチョウガマーンの浣腸液は、一瞬で胃をパンパンに膨らませつつ焼き焦がし、触手がすぐさま引っ込められて十二指腸に戻り、そこから小腸、大腸に噴射しながら引っ込ぬかれていった。
僅か一分後には、深雪の胴体は怪人と大差ない体型……タルのような腹となった。
すぽん、と肛門から触手が抜ける。
「たか……ひ…ろ…」
ぶしゅうっっっと、穴という穴から深雪は浣腸液と血液、体液、排泄物、未消化物、溶けた臓器の混ざったものを垂れ流した。
まんぐり返しの人間噴水だ。
もうもうと煙が上がり、地面すら溶かしていく…………
それも三分程で終わりを迎え、殆んどが溶けた深雪だった残骸は、アスファルトの上の泥濘と成り果てた。
「……まだだ」
怪人は立ち上がり、遠巻きにしていた人々へ向き直る。
「……もっと深い穴ぁぁぁぁぁ❗❗️❗️❗️」
狂獣が突進する。
触手を振り回し、溶解液を群衆に撒き散らす。
「穴ぁぁぁぁぁぁぉぁぁぁああ❗❗️❗️❗️❗️」
触手から流れるのは怪人の涙だった。
「とかなんとかやってきなさい」
「ええ~💦ぼ、ぼくにはそんな事できないですよ💦」
時刻は昼時、場所はラーメン屋🍜
カンチョウガマーンはステルベン幹部マッドナース鴉夜乃にそう命じられていた。
あまりの体重に椅子が粉砕されそうなので、立ったままでカウンター席に並んでいるが、触手が天井の照明に引っ掛かりそうになっている。
鴉夜乃の右隣には怪人オムツニモラシーがちょこんと椅子に腰掛け、短い足をぷらぷらさせながら、ちまちまとチャーシューメンを食べていた。
怪人が並んで嬉々としてラーメンを啜っている姿はシュールだった。店のおやっさんも、他の客も、ちらちら見ているが、特に誰も何も言わなかった。関わってはいけない匂いがプンプンする。
「あいよ、大盛ネギラーメンおまち」
「どうも🎵」
新たに出された丼に襲い掛かるカンチョウガマーン。鴉夜乃がここまでの話をする間、既に十八杯のラーメンとカツ丼親子丼チャーハンカレーライスを平らげている。どうやら、メニューを端から頼んでいるらしい。人間ではないが、人間だった頃も人間だったとは思えない。
「いつまで食べてんのよ💢」
「す、すいません💦」
「こんだけ食べたんだから、働いてもらうわよ❗」
「そ、そんなぁ💦」
「ちょっと表に出て破壊と殺戮の渦を起こしてきなさい❗」
「そ、そんな酷いことやれませんよ💦このおいしいお店に来れなくなるし🍜」
「…………」
手術は失敗だ。
最大級の失敗作だ。
性格がどうにもならない…………
「あっ……わ~ん😭ママ~😭」
オムツニモラシーが泣き出した。
粗相してしまったのだろう。
「ママちゃうわ💢」
「えーんえーん😭」
「泣くなボケ❗」
ひっぱたくと、おむつ怪人は更に泣き出した。じろじろと痛い視線が注がれる。虐待?変なちびっこいじめられてるぞ?と疑いの目が向けられる。
「ちっ……お勘定❗️」
「はいはい……一万五千三百円ね」
「い、いちまん!?くそっ……」
自分はビールとレバニラしか頼んでないのに。信じがたい金額に悪の組織の陰謀を疑ったが、悪の組織はこちらだった。
「行くわよ❗」
「えっ!?ぼくまだ食べて……」
「ほらっ❗モラシーも❗️」
「歩けないよ~😭」
「ガマーン、抱っこして❗️」
「うう、ぼくのラーメンあと六品……」
泣く泣く、オムツニモラシーを抱き抱えるカンチョウガマーン。やはり全部のメニューを頼むつもりだったらしく、その陰謀は阻止できた。
敵は、味方のような気がする。
ステルベンのドクターの気まぐれな改造手術こそ、最大の敵かもしれない…………
![](https://assets.st-note.com/img/1730582743-G3QkMEdbfV0ljCcaKv69xI4H.jpg?width=1200)
怪人カンチョウガマーン
腹腔の全てが浣腸液(溶解液)のタンクとなっている恐るべき怪人。頭部の触手は伸縮自在で、先端からその浣腸液を噴射する。大飯食らいであらゆる物を食べるが、その胃は浣腸液を精製する為の薬品プラントとなっていて、栄養補給は主に点滴で行っている。必要もなく常に食べている。
劇薬が漏れないよう、皮膚も脂肪も分厚く強靭で、銃弾も弾くが、動きはにぶい。その分、驚異的なパワーを誇り、米俵を両肩に担いだ相撲取り十人を片手で持ち上げながら「ぼくはただのデブですよ」と言って、力士のプライドを粉砕する程。
普段は呑気なおデブちゃん。
幼馴染みを探しているが、脳改造手術により、どんな人だったか思い出せない。
JKという事だけが手がかりで、そのアナルには異常な関心を示す。
おっとりしているがドS。
変態の自覚はあまりない。
『デブ』や『ブタ』呼ばわりが嫌で、ゆくゆくは全人類をデブにしてやりたい。
小心者で、ご飯を奢ってくれる人に弱い。
![](https://assets.st-note.com/img/1730587770-2nNhAwMeaovTbYdilQ1y0s9H.jpg?width=1200)
こうして、恐るべき怪人がまた一人。
ステルベンのメスは、あなたを狙っている。
あなたが明日、目を覚ますのは、
自宅のベッドか、
手術台か。
さあ、はじめましょ❤️
(了)