初めての……… care6
「そっかあ…………」
と、あやのは呟いた。
今朝出勤してくると、夜半すぎのゆうの自慰を巡回中に目撃した夜勤の看護婦と鈴木まどかから報告を受けた。まどかから、やんわりと注意したが、おむつには大量の精液が放出されていたことから、一度ではないと思われる。布団の中で、おむつ越しに擦っていたのだろう、と聞いた。
激しいものを催していた事が窺い知れる。
何より、
一番ショックを受けていたのは本人のようで、我慢できずに陰部を刺激し、おむつを汚してしまった事をすまなさそうにしていた。精液はポリマーに吸水されない為、おむつに射精すると、どろどろになるのだ。出来るだけ早急なおむつ交換が必要となる。
その辺りの報告を受け、あやのは1021の病室へ急ぐと、ノックするなり、ゆうの不安げな「お姉ちゃん?」という返事が返ってきた。
そうしてゆう本人から、狂ったようにおちんちんを擦ってしまった事、とても悪いことだと分かっている事、またしてはしまわないか心配だという事を、告げられた。
入院七日目。
ゆうは、昨夜のショックから朝食もあまり手に付かない様子だった。
「あのね、我慢できなかったの………」
俯きがちにそう述べる。
「良くはないんだけどねえ、仕方ないっちゃないのよ」
うーん、と腕を組んであやのはそう答えた。
入院初日の羽山医師による強引な診察のこともある。ゆうの“目覚め”はかなり早い。まして、昨日はあやのは休みなワケで、代わりの早川夏美があれこれしたのだろう。期待通りにゆうを困らせ、欲情させた事にはGJ❗️と称賛に値する。ちょっとやり過ぎな感もあるが。
「怖くなって……」
「そうやろねえ」
性交後憂鬱と言われる現象、俗に言う『賢者タイム』である。オーガズムと共に分泌されるホルモン、特にプロラクチンにより、不安や恐怖、後悔や罪悪感は誰にでも生じる。その影響は男性より女性の方が多く、特に前者、不安や恐怖を伴い母性を誘発する為、母性の対象外に攻撃的になるとされる。男性の場合、急激に性欲が失われる為、よろしくない事をしたという後者の症状となる。必ずしも達観して賢者になる訳ではない。むしろ、憂鬱になっているだけで、これは子供には少ないとも言われる。自慰を覚えるのが早い子供が、股関を際限なく擦ったりして依存しやすいのはこの為でもあると言う。逆に、過剰な分泌で、オーガズム恐怖症となるケースもある。自分が自分でなくなるような感覚を恐れる人は少なくない。
特に女性のオーガズムは20秒は続く為に、あまり経験のない人が、突如オーガズムに達すると、恐怖や不安、忌避が勝ってしまい、性行為を恐れるようになり易いとの話もある。
それ自体は悪くもなんともない。
ただの生理現象であり、お腹が空いたり、眠くなるのと同様。そうならない方がおかしいくらいであろう。
ただ、セックスの是非は分からない。
女性器の構造と男性器の構造は、どう見ても食い違っている。そもそも、かなり長く、尚且つ、きつく湾曲していないとグレフェンベルク・スポット(Gスポット)と呼ばれる尿道海綿体、小前庭線へと届かない。その奥の子宮頸部(ポルチオ)など論外だろう。
お猿さんが交尾であっという間にイクのは、まず男性器の形が異様(ぶつぶつやドリル状)だからであり、バックで交わる故に、それらの快感の部位にぴったりハマるからだとも言う。
ではなぜ、人間はこうなってしまったのか?
くどいようだが、人間は争いの生物だかららしい。
決まった発情期がなく、年中発情していて、乱行が基本だったとの説がある。もっと言えば輪姦か。
人間の男性器は、オスメスが共に喜ぶような形状はしていない。先に射精された他のオスの精液を、膣内から掻き出す為の形なのだと言う。後から挿入したオスの子供を妊娠する確率を高める為の進化らしい。年中無休で発情し、他人の精液を掻き出して射精する、なんともはや、性に狂った生き物であることか…………
そこに諍い、争いを伴うのは自明の理だろう。人類の繁栄、或いは氾濫、蔓延の最大の理由は、このアホみたいな子作りシステムにあるように思われる。
ヤって、ヤって、ヤって、あれ?増えちゃった😲的な積み重ねの果てが人類と言ってよい。
セックスにペニスは必要ないのかもしれない。
大して気持ちよくない形状なのだから。病気や望まない妊娠のリスクもある。お互いが、お互いを悦ばせる為に、気遣い、思い遣る。その為の道具や、シチュエーションを利用するのが当たり前となるのが、あるべき性の形なのではないか。
そこに性別や年齢の垣根は低い。子供用電マやローター、オナホールがあって佳い。
特別でなくなり、一般化すれば性を違法な売り物にする行いも減るかもしれない。延いては被害者も減るのではないか。
日本は多神教(笑)の滅茶苦茶な国として千年以上、育まれた歴史がある。古神道(宮家と関係ない)は、その中に仏教を内包している。神々の一柱が仏、八百万、森羅万象に神々が宿る世界観の中で、人の中から生じた神が仏であると解する。
あらゆるものをおおらかに、理解し、受け入れる。
そのような文化であると確信している。
文字にしても。
今、ここに平仮名、片仮名、漢字、アラビア数字、アルファベット、英語、絵文字に記号まで含まれ、この文章が形成されているように。
もっと広く、何でもやっちまえ❗使えるもんは使ってまえ❗的な文化が確かにある証左と言える。
江戸時代は、性にやりたい放題な時代だったとも言う。
明治維新という名のクーデターと軍国主義教育により、変な貞操観念が植え付けられて、現在に至るが、元来、日本人はヤリチンヤリマンで間違いない。
南蛮の宣教師が、日本人は礼儀正しくて親切なのに、なんでこんなにスケベなんだ!?と記述している。
恋愛と性は切り離されるべきだし、かつては、そうだったのだ。
だから、ある意味、あるべき姿、あるべき日本は、良い意味で変態であるべきであると思う。
様々な性行為の形が当たり前になってほしいし、そうあるのが正しいと思う。多様性などと言うなら、その行いも多様であるに然るべきなのだから。
平たく言えば、BDSMの普及啓発でもある。
オホン❗(これは著者の私見であるが)
閑話休題、
「でも変なキモチで………」
「止まらなくなってもーたわけやねえ」
「うん…………」
性の悦び、快楽自体を否定するべきではないし、それはしてはならない。看護婦として、そこはむしろ、悦びを教えてあげなくてはならないのだが、陰茎いじりは宜しくない。現代社会にそぐわない。ただ、適度な自慰はメンタルは勿論、体にも良いとされる。
その辺を開発してゆくつもりだった。
夏美の無茶は、効きすぎてしまったようだが。まだ許容範囲ではある。
「あのね、ゆうくん。またそういうキモチになったら、すぐにナースコール押してね」
「え、あ、うん……でも、どうするの?注射とかするの?」
不安げに少年は問う。
「そういう手段もあるけど………お注射💉は、やめとこうか」
「良かったー」
経口薬や注射で、性欲を減退させる事も可能ではあるが、それは根本的な解決にならない。
現代の看護学的には別の手段が第一選択とされている。
「痛くはない方法で、うずうずを鎮めるよ🎵」
「ふーん」
「ただ、手術の前は、精液を保存する為に採取するからね、それはがんばろ🎵」
「う、うん、わかった」
少年の愛らしい姿に、看護婦はにんまりと笑った。
早くその時が来たらいいのに、と。
「え?」
「デートしようよ❤️」
昼前。
あやのの唐突な発言に、ゆうは意味が分からず、数秒間フリーズした。
何言ってんだろ、
何て言ったのかな、
デートってなんだっけ、
理解するまでたっぷり5秒は費やした。
「あの、それって……お散歩ってこと?」
確か、患者と院内、もしくは病院敷地内を出歩く事をここの看護婦たちはデートと呼んでいると前に言っていた筈。つまり、出掛けよう、と言っているのだと解釈した。
「正解⭕」
と看護婦は笑う。
「行く行く❗️」
正直、暇していたゆうには最高の助け船だった。テレビは昼前はろくな番組をやってないし、持ち込んだ携帯ゲーム機は既にクリアしたソフトばかりだし、漫画もそうだった。運動しようにも病室では体を動かしようがない。母親は柔道のコーチではあるが、ゆうは特に教わってもいないので、大して運動のできる方ではないが、ここではそれも困難だ。何か、インドアな趣味でもあって、持ち込めるなら、その患者は暇でもないのだろうが。平均的な子供であるゆうには、そういった打ち込むようなものも無かった。ママに教わった花の世話と家庭料理くらいしか特技はない。
「今日は、下の売店にでも行こうか🎵」
「うん❗」
ベッドから飛び降りると、少年は床頭台の引き出しからお財布を取り出した。両親に持たされているお小遣いが入っているのだろう。もし不足すれば、敷地内の小さなコンビニエンスストアにATMがあるし、看護婦を通して親御さんから届けてもらう事も出来る。とは言え、あまり使う機会はないが。
「あ、でも、やっぱりこのままじゃないとダメなの?」「そうね❤️」
やはり、おむつ姿で外に出るのは抵抗があるらしい。
「まあしょうがないか💨」
「ふふん😄じゃあ、行こ🎵」
看護婦は少年の手を取った。
姫川病院本館の四階は、売店や食堂、コインランドリーとなっていて、病室はない。これは病院ではよくあるジンクスで、4(死)を意識しての事である。フロアだけではなく4号室もない。0603号室から0605号室に飛んでいる。もっと徹底している所だと9(苦)号室もない。
“ない”とは言っても、四階にあたる階数はあるわけで、大概、そこは病棟とは関係ない施設になっている。姫川病院でも、そこは直接の医療とは無関係な共有スペースとなっていた。本館四階には他の外科病棟、内科病棟と渡り廊下が繋がり、患者もその家族も、職員も利用する。
「へえ❗色々あるんだね❗️」
看護婦に手を引かれて訪れた四階の売店は、売店と呼ぶのが不釣り合いなくらい店舗は大きく、広く、品物も豊富だった。それぞれの病棟の患者、看護婦、医師や面会の家族、見舞い客など、大勢の人で賑わっている。そろそろ昼時なのもあるだろう。おむすびやパン、お惣菜なども扱っているので、お昼と夕方には混雑するようだ。
「スーパー……ドラッグストア……ちょい百均かな?」
インスタント食品やお菓子、飲み物に日用品、文房具、衣類や靴、スリッパなども扱っていた。他には雑誌等の書籍。患者のみならず、スタッフ向けのものもある。
珍しいところでは、ちょっとしたインテリア?雑貨も扱っていた。ファンシーな置物や、玩具もあった。
「あ、新刊でたんだ🎵」
ゆうが手に取ったのは、漫画本のコミックスだった。
ずっと読んでいるシリーズなのだろう。
「ぼく、これ買おうっと🎵」
嬉しそうに漫画を抱える。ゾンビウイルスに襲われた人々のサバイバル話だ。アニメ化されてた気がする。そーゆーのが好きなのか、と看護婦は少し感心した。
「ふーん?ゆうくん、ゾンビ好きなん?」
「好きっていうか、怖くて面白いの」
「ウイルスやったら、防護服着たらええのに。隔離したら死滅するやろし」
「そしたらつまんないじゃん」
「ゾンビかて、腐敗するやん?腐ったら動かれへんやん。そしたらウイルスは数十分しか活動できひん。感染拡大するわけないやん」
「看護婦さんからしたら、そうかもしれないけど。それじゃお話終わっちゃうよwww」
正直、ゾンビものというのは色々と、納得いかないものが、あやのとしてはある。死は死だ。死体が動くなどというのは、ナンセンスとしか言い様がない。というか、それは崩壊する寸前の肉の塊でしかない。細胞が代謝していてそうならないのなら、それは死んではいない。
植物状態で寄生されて運動が見られる、というべきか。兎に角、色々、あり得ないし、それほど危険とも思えない。
「これはこれでいいの❗」
ふん、と少年。それからも、あれこれを見て回った。
このお菓子美味しいよね?でも別の味が一番好き😋と、幾つかお菓子を選び、買い物かごに入れる。
「うちもサンダル買っとこ👡」
スタッフ向けのコーナーに幾つかナースサンダルやストッキングが置いてある。そのうちのSサイズのシンプルなサンダルを看護婦は手に取った。
「看護婦さんて靴も決まってるんだね」
「せやねん。ラクっちゃラクなデザインなんやけども、これってある日いきなり壊れんのよ😵」
ナースサンダル、ナースシューズ等は相当に人間工学を考証してデザインされている為、ラクチンで動きやすいが、いきなり壊れる事が多い。如何に看護が、医療が、立ち仕事であるかを物語ってもいる。
「たくさん歩いて働くから大変なんだね」
「あ、分かってくれるん?ありがとー😆」
少年の頭を撫でると、こそばゆい顔で少年は頬を赤く染めた。
「これください」
「はい、いらっしゃいませ」
買う物が決まり、少年がレジにかごを置く。おむつ姿の少年がニコニコしながら買い物している後ろ姿は、たまらないものがあって、看護婦はにやついてしまう。店内ですれ違う他の病棟の看護婦も、ゆうに微笑み、手を振ったりしてた。
どないや?愛らしいやろ、うちの患児は───────
あやのは愉悦に浸る。
「全部で千三百八十円でーす」
店員のおねーさんも、愛らしい少年に満面の笑みだ。
「はーい……」
子供らしいかわいい財布(これは彼の趣味なのか?親御さんの趣味なのか?)からお金を取り出そうとしている。
「あ、すんまへんけど、ちょっと待ってーな。これも一緒におねがいしますわ」
にやにやから我に返り、あやのはナースサンダルを差し出した。
「あ、お会計ご一緒で?」
「そうしてくださいなー」
「えっ?ちょっと?」
少年の困惑を他所に、サンダルも合計され、結構な金額となった。それをあっさり、看護婦は、
「ほんならこれでー💳️」
「はーい。ありがとうございまーす🎵」
クレジットカードで全て支払ってしまった。
「えーっ……なんか、悪いよ💦」
「ええから、ええから」
レジ袋に入れた品物を受け取り、看護婦は少年の手を引く。
「あたしが誘ったんやから」
「う、うん。あ、ありがと」
その笑顔の代金としたら安いもんや、とあやのは笑った。
「ねえ、こんなとこ来ていいの?」
「かまへん、かまへん」
売店を後にし、手を引かれて乗り込んだエレベーターで、あやのは10階ではなく1階を押した。そのまま、1階の外来受付を通り過ぎ、表に出てしまった。
数日ぶりの外の空気は心地よく、おむつ姿は涼しかった。
どこに行くんだろ?とキョロキョロしていると、敷地内にある木立に続く小径へと歩いてゆく。
欅、椚、楡などの林の中、ちらほらと看護婦とすれ違う。
いや、まだ看護婦ではないのか。
白衣は白衣だが、ナースキャップではない、丸っこいクリーンキャップを被っているし、相当に若い。皆、二十歳前後だろう。
看護学生だった。
彼女たちに手を振られ、挨拶されて、辿り着いた建物は…………
二階建てのレトロな洋館を思わせる建物だった。
看板に【姫川病院付属看護学校】とある。
看護学校になんの用が?
と思っていると、
「お邪魔しますー🎵」
と、あやのは入って行ってしまったので、引っ張られてついてゆく。
中は確かに学校だった。
ゆうもよく知る、小学校の教室や机などと大差ない。生徒が白衣な事くらいか?見た感じは、歴史のある学校、というだけだった。
その奥に、
『喫茶室』はあった。
「わぁ🎵おいしそーだね🎵」
「せやろ?」
二人は、喫茶室の僅か八席のテーブルの一つを囲んでいた。並ぶのは幾つかのパスタとフォカッチャ、チーズが並んでいる。どれも相当に熟練のコックが作ったような完成度で、食欲をそそった。
この看護学校の喫茶室は、小さく喫茶・白衣の天使との看板が掛かっており、元看護婦でここの卒業生だったマスターが切り盛りしていた。
学食は学食なのでメニューの数はごく少ないが、イタリアの家庭の味が楽しめる。留学経験もあるマスターは、原田さんと言って栄養士でもある肝っ玉母さんだった。
「うん、いただきまーす🎵」
パクパクとパスタを頬張る少年。
「すごい美味しい❗️」
「ありがとねー」
とマスターが笑う。
まさか、あやのが看護学校の学食で昼食に誘うとは。
買い物して終わりかと思いきや、ゆうの予想の遥か上を行っている。
「あ、あやのさん、こんにちわっ」
「ん。お邪魔しとるでー」
馴染みの学生と挨拶を交わす。
たまにここに来るらしい。元々、実習で知り合った学生に誘われて来たのが最初で、それ以来、うまい❗早い❗️安い❗️そして病院の食堂より空いてる❗という破格のスペックに魅せられたそうな。
「病棟のお昼は予め断っといたのよ」
「そーなんだ。やるじゃん」
「出来る女やろ?」
「うん、えらいえらい」
「えらそうに」
笑い、素朴だが美味しいランチに舌鼓を打った。
「これは手作りじゃないからね」
と出されたジェラートはどんなアイスクリームより美味しく、オレンジジュースは甘酸っぱく、一口飲ませてもらったエスプレッソは苦かった。
それは初めてのデートの味だった。
「美味しかったー🎵」
満足げな少年を伴い、あやのは看護学校の二階へ足を向けた。夏美よろしく、ゆうに引っ付き、腕を絡めて歩いてゆく。
「今度はどこ行くの?」
「ええとこ😘」
幾つかの教室を通り過ぎて、、、、
「ゆうくんさあ、ちょっと手伝ってくれへん?」
「え?うん、いいけど?何の手伝い?」
がらっ、とあやのがドアを開ける。
そこには10名程の看護学生がいた。
白衣の天使の卵?雛?である。
「お勉強❤️」
その教室には【実習室】とあった。
「かわいいー💕」
「ゆうくんだっけー?」
「何歳なのー?」
「あ、あの………」
大勢の白衣のおねーさんたちにベッドへ寝かされ、取り囲まれ、ゆうは困惑していた。
「11さい……」
「わかーい❗」
彼女たちとて18、9歳だろうに。
「ね、ねえ、あやのお姉ちゃん!?」
助けを求めるが、当の看護婦はあくびなどしている。
「おむつ交換、練習さしたって」
「そ、そんな………」
「おちんちん生で見ることあんまないし、フル勃起したの見た事はまずないからね。勃起した陰茎のおむつ交換なんて、誰もしらんから。それに、精液かてしらんやろ」
実習用の人形や局部の模型でも、そこまでは再現されていない。なかなか、大きくなった陰茎を目の当たりにし、その処置をするというのは……皆無に等しい。一応、中学校の保健体育の授業では、男子の陰部を見たり触れたりする場合もあるが、必修ではない。泌尿器科の病院実習で初めて😲というのが殆んどであろう。
「よいしょ」
「あ、ダメぇ…………」
あやのの手が、ゆうの股関をまさぐった。おむつ越しに、もみしだかれ、忽ち、肉の角は鋭さを増す。
カチカチになった逸物に学生たちが歓声を上げる。
「こないなんねん。ほな、みんなあんじょうしたってや」
「はいっ」
「ちょ………」
「なんなら、おしっこしてからにする?」
「や、やだよ」
流石に、こんな大勢のまだ女の子と言っていいおねーさんたちの前で排泄し、それを始末してもらうのは厳しい。ハードルが棒高跳びくらい高い。
「しちゃって大丈夫よー💕」
「だ、大丈夫です」
「我慢しなくていいのにー💕」
「じゃあ、おむつ外すねー❤️」
数名のまだ手荒れを知らないか細い手が、リハビリパンツの側面を裂いていく。べりべりと破かれたおむつは、勃起した陰茎により半ば押し退けられ、きゃー❗️きゃー❗️と歓声が上がった。
「すごーい😆」
「あ、隠しちゃダメよ❤️」
股関を隠そうとする両手を、それぞれ学生が押さえつけ、避けてしまう。両足も掴まれて広げられ、陰部前回の姿にされた。
「すごい、カッチカチ❗」
「うわあ、かたーい❗」
「触らせて、触らせて❗️」
「タマタマかわいー❗」
手袋を嵌めた学生たちは、代わりばんこにゆうの陰茎に触れ、引っ張ったり、摘まんだり、揉んだりがひっきりなしに繰り返される。
自分でも前代未聞の膨張率となって、ついには尿道口から先走り汁が垂れ始めた。
「あー、おしっこ?」
開いたおむつの前部をあてがうが、
「ちゃう、ちゃう😁それがカウパー氏腺液やねん」
と、あやのに解説されて、へー❗と皆、凝視した。
「そんなら、ゆうくん、つらいやろ?しちゃいましょーねえ💕」
手袋を嵌めたあやのが学生たちを掻き分け、ゆうの陰茎を握った。
「だ、だめだよ💦」
「今日はかまへんやろ」
看護婦の手が、陰茎をしごいてゆく…………
しゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこしゅこ。。。。。。。
「ううぁっ」
湿り気を帯びた“くちゃくちゃ”という音に変わり、
「ゆうくんは自慰もしちゃう患児なんだけど、ナースがするのはまた違うからね」
「そうなんですかー」
と学生たちは、ふむふむと学び、
「あっ、ダメ😭へ、変なのくる😭」
「そのまましましょうねー🎵」
陰茎の先におむつをあてがう。
一瞬の後には、少年は激しく痙攣し、おむつに白いどろどろを撒き散らした。
「ああっ…………」
「きゃー😆」
「すごーい😆」
「わっ、変なニオイするー😆」
わいわいと黄色い声が飛び交い、ゆうの精液に触れたいという子も現れ、手袋越しとはいえ、少年の精液は指先に取られてはまじまじと観察された。
「はあっ………はあっ………」
「どう?自分ですると怖いのくるけど、看護婦さんにしてもらうと、あんまりしないでしょ?」
「あ……ホントだ」
あの不快な不安感や罪悪感が少ない。
ゆうは目を丸くした。
「わぁ、ちっちゃくなっちゃった🎵」
「かわいー❗」
急激に萎えるゆうの陰茎にまたもや、学生たちは歓声を上げる。今や陰部はどろどろぬるぬるだ。
「そんなら、みんな、キレイに陰部洗浄しておむつ替えたってな👍」
「はーい🎵」
学生たちが精液まみれの少年の陰部を清めていく。
一人の学生が指先についた精液を眺めて言った。
「これが……赤ちゃんの元なんですね……すごい」
その言葉は妙に少年の心に響き、残った。
そうか、これから赤ちゃんが出来るんだよな、と。
ならば、こうして精液を垂れ流すのは、赤ちゃんを殺しているようなものではないのか?
自分の赤ちゃん………
ママもこうだったのか。
ゆうは自分が生まれた奇跡を知った。
バイバーイ、お大事に、治療がんばって、また来てね、と学生たちに見送られ、少年と看護婦は看護学校を後にした。
「あやのお姉ちゃんもあそこの卒業生なの?」
「ん?ちゃうちゃう😁あの学食に出入りしとるうちに、学生にあれこれ訊かれてん。そんで講師の先生とかとも顔見知りになってな、時々、あれこれ教えてんねん。タダ働きさせよって💢」
そうぼやいて、看護婦は少年の髪を撫でた。
「ゆうくんにもタダ働きさせてもーたわwwwありがとね❤️」
「ううん、こちらこそ」
タダどころではない。漫画などの買い物に、安い学食とはいえ昼食も全てあやのが支払っている。その上、あんなことを……自分でこそこそ股関を弄る懊悩、苦しみは無く、単純に気持ち良かった。
学生たちに無条件に可愛がられ、慈しまれるのは新鮮で、何かが柔らかく満たされた。なんなら、また練習台になってもいいとも思う。注射とか痛そうな練習はイヤだが。
「早道しよか」
そう言って、あやのは外科病棟に入った。
なんと言うか、何処か硬質な雰囲気がある。
行き交う看護婦は白衣だけでなく、手術着の人もおり、威圧感がパない。本館と異なり閉鎖病棟ではないので、患者もちらほらいるが、ギプスを着けたり、車椅子の人ばかりで、なんだか萎縮してしまう。
「こんにちわ」
「あ、こんにちわ」
手術室に行くのか、ストレッチャーに寝かされた女の人とそれを運ぶ看護婦たちとすれ違い、挨拶を交わす。手術着の看護婦はマスクの下で微笑み、これから試練を乗り越えねばならない患者も、ゆうの姿に微笑む。
「あ、あの、がんばって」
そう述べると、
「ありがとうね、ボク」
と女の人は小さく手を振った。
ストレッチャーが遠ざかってゆく。
「顔色悪かったから腎臓かなあ………」
看護婦は微かに呟いた。
ゆうは手術が上手くいくといいな、と願った。
怖いイメージの外科のスタッフだったが、ここですれ違う人たちは、皆、優しげでいい人そうに見える。痛いこと、怖いことをする人たち、という先入観は、なんとかして患者を助けようとする人たち、に書き換えられた。
外科病棟のエレベーターで四階に上がり(こちらは主に給食センターらしい)渡り廊下を通って本館に至る。
確かに近いが、それだけではなく外科処置への恐怖心を和らげたかったのかもしれない。
「楽しかったね」
「そら良かったわ」
昼前に買い物した売店の四階に入った。
もう夕方になるだろうか。
そんなに長い事ほっつき歩いていたとは。
退屈な入院生活など吹き飛んでしまった。
「うちも楽しかったで🎵またデートしよなあ🎵」
と二人はエレベーターに乗り込み、十階へのボタンを押す為に振り返った時────────
「あ、何階でえええっっ!?」
後から乗り込んできた人に気を遣って尋ねたあやのは、その姿を目にして、ずっこけた。
「十階だよ~❤️」
「………な、何してんねん、芽衣ちゃん」
芽衣と呼ばれた看護婦は、しなをつくり、顎に指先を当て、考える仕草をした。
「えっとぉ、芽衣ねぇ、外科さんと打ち合わせしてきたんだよぉ💕ほらほら、急患をあっちで受け入れるじゃなぁい❤️小児の泌尿器の場合はぁ、直接うちにくることにしましょーって、如月せんせぇがゆうんだもん💕それで空いてる七階とぉ、うちが受け入れのぉ打ち合わせにいってきたんだよぉ❤️」
えへっ、とほっぺに指を当てる。
異様に甘い声音、いちいち甘ったるい仕草をする。
小柄であどけない風貌に、ばっちりロリロリなメイクをしている。
白衣であるので看護婦に違いないが、それはよく見ると刺繍などが入っていて生地もそんじょそこらのものではない。オーダーメイドの高級品であろう。
「そらご苦労さんです」
「わーい🎵あやのちゃんありがとー💕」
ぴょんと小さく跳ねる。
「あやのちゃんデートでしょー❤️うらやましー😭」
そうかと思えば、ゆうの前にしゃがんで、ジッと見つめてくる。
大きな眼、長い睫毛、ぽってりとした唇、とても看護婦と思えない。
「鷲井ゆうくんだよねえ🎵はじめましてー💕芽衣ちゃんでーす❤️」
えへっ、と笑う。
「は、はじめまして」
十階にこんな看護婦さんいたんだ、と戸惑いながらもゆうはお辞儀した。
「芽衣ちゃんに会うの初めてやったね」
「う、うん」
「ごめんなさぁい😭芽衣ね、とってもいそがしくってぇ😭ゆうくんにごあいさつのひまもなかったのよ~😭」
ひし、と抱きついてくる。
「い、いえ、どーも。お仕事お疲れさまです」
なんと答えたらいいか分からず、どぎまぎとそう答えると、
「いい子でちゅね~😭芽衣ちゃんナースうれしいよぉ😭ちゅっ💕」
「///////////////////////////////」
頬に軽くキスをされて、心臓が跳ね上がった。
「め、芽衣ちゃんなぁ、あんたさぁ」
頭痛をこらえつつ、腹痛もこらえるような貌であやのは芽衣のエプロンを引っ張った。
「やだぁ、あやのちゃん嫉妬ぉ💕こわーい😵」
「まぁ、それもあるけども、ゆうくん、困ってるやん。あと、十階着いたがな💨」
「あらま😂」
ペタペタとエレベーターを降りる。あやのとゆうもそれに続いた。
「ただいまー🎵つかれたよー😭外科のナースこわいんだもん😭芽衣のこといじわるするのー😭」
ナースステーションにふらふらと飛び込んでゆく。
それを迎える看護婦たち。
「あら、お帰りなさい主任」
「主任お疲れさまです」
主任、と口々に彼女を呼ぶ。
「主任、1006号室なんですが……」
「ちょっと待ってよぉ😭」
よよよ、と泣き崩れる芽衣。
「あやのちゃん、手伝ってぇ😭」
「ちょっと待っときや……ごめんな、ゆうくん。お部屋行こか」
「う、うん」
主任と言っていた。
主任…………
主任てなんだっけ??
「主任さんてなんだっけ?」
あやのに訊いてみると、
「病棟の婦長さんの次に偉い看護婦」
マジかよ、と戦慄する。
大丈夫なのか。
「あれが木村芽衣主任。この十階のナースのリーダー」
「び、びっくり」
「せやろなぁ。一応、言っとくけどあの人、うちよりも2こ先輩やからね?」
ゆうは超常現象に遭遇した。
UFOも幽霊も存在するに違いない。
翌日。
入院して八日目。一週間が過ぎた。
「ゆうゆう、芽衣ちゃんに会ったって?ぎゃはは🎵」
「うん。びっくりした……あんな看護婦さんいるんだね」
「だよねー🎵超レアじゃね🎵」
清拭の為におむつを外すと、僅かながら排便があり、おむつ交換もする事となった。昨日、久しぶりにジェラートなど食べてお腹がびっくりしたのかもしれない。
早川夏美と三谷杏におむつ交換をされながら、おしゃべりするゆとりがあるのだから、少しはこの行い&おむつ生活に慣れてきた……ような気もしなくはない。
「てかさー、ゆうゆうまた出しちゃったのかよ💦マジえぐくない?」
「あ……また記録にあるんだね」
はぁ、と溜め息が出る。看護記録とやらに患者のありとあらゆる行いやデータが残されているという。一昨日、布団の中で股関を擦っていた事も、昨日、あやのとお出かけした看護学校で生きたサンプル?として射精させられた事も書かれているのに違いない。必要なのだろうけども、そんな記録を付けられるのは恥ずかしかった。
「そらそーでしょっと❗️」
「いででで😭」
陰茎の先、包皮を引っ張られて少年は悲鳴を上げる。
「やめなさいよ、全く………」
と三谷に窘められ、「へーい」と夏美は手を離した。先輩である三谷がいてくれると夏美の暴走もセーブされるらしい。三谷自体も怖いのだが、この際、助かる。
「こんにちわ、ゆうくん」
そこに如月医師とあやのがやって来た。
あやのはいいとして、突然のドクターの登場にちょっと驚く。
「こ、こんにちわ、先生」
「あ、びっくりしちゃった?ごめんね、別に診察とかは何もしないから安心して。ちょっとお話しにきただけよ」
患者の気持ちをよく分かっている。如月医師は、ゆうの目から見ても立派なお医者のように映る。
「陰部洗浄中?うんち出来たの?」
「いえ、少しだけ」
と三谷が苦笑する。
「まあ、仕方ないわね。最初はおむつは、抵抗あるものねえ」
笑い、じっとゆうの陰部を見つめた。
「ゆうくん、あんまり自分でいじったらダメよ?」
「は、はい」
もう何度も言われた言葉だが、正直、守れるか分からない。それを見越したのか、
「管入れたりする事になるからね」
「それはやだよ😨」
「だからいじったらダメだからねwww」
「はーい」
管なんて入れられたらどうなるのか………想像も出来ない。
「したくなったら、あーしがしたげるよん💕」
と夏美が囁く。いや、むしろ歯止めの利かないこいつこそ問題なのだが。
「早川さんがアグレッシブなのは目を瞑るとして、あのね、今週からお尻の方の練習始めようかな?と思って。それを言いにきたのよ」
如月医師はそう告げた。
「お、お尻の練習??」
聞いた事もない言葉だ。
「せやなぁ……男の子は女の子のおまたがお腹に埋もれてて、一部がおちんちんとして飛び出てる、って感じなんは分かる?」
あやのが問う。
「あ、ちょっと夏美ちゃんに聞いた」
「うぇーい✌️」
と、夏美が横ピースし手柄?をアピールする。
「そらおおきに。そんで、女の子になるって事は、おちんちんをお腹に埋め戻すって事でもあるんやけども、おまたって、お尻の方が近いし、感覚も似てるのね。せやから、お尻から器械を入れて、お腹の中の女の子を自覚していくねん。リハビリみたいなもんやね」
「そーなんだ……………」
少し心当たりがある。
先日、三谷看護婦に摘便された時の言い様のない感覚………あれが女の子の部分、女の子の悦びなのだろう。一度ほじられただけだが、肛門はうんちをする為だけの穴ではないと、悟る程の刺激だった。
思わず三谷杏の顔を見る。
「ん?あ、私?」
彼女は手が大きく指が長い。またあの指を入れられるのか………
「この前の摘便は偶々だよ。私よりも、鈴木先輩の方がその辺、名人だから、寝る前とかになるんじゃないかなあ?」
夜勤の鈴木まどか看護婦の名前を出す三谷。寝る前に……なんだか眠れなくなりそうな予感がする。
「その為にも、ちゃんとうんちできるように頑張ろうね🎵」
「はぁーい………」
浣腸をせず、自力でのおむつへの排便はまだ遥かに遠い。
入院から九日目。
今日はお風呂の日であり、という事は、うんちの日でもある。また浣腸される羽目になるのは正直、イヤなので、
「なるべく自分でがんばるから、しないで💦」
と哀願し、浣腸、もしくは摘便を免れた。
本日はあやのと小田歩美看護婦だったのも大きい。この二人は、なんだかんだ寛容で甘いのだ。ゆうは、ほっと胸を撫で下ろした。
漸く、夏美ではない入浴日である。
前回、昼間の入浴が気持ち良かったので、同様の時間帯を希望した為、昼風呂となった。あやのは、夏美のように一緒に入るなどという無茶はしなかった。白衣のままシャンプーだけ介助し、後は自由にさせてくれたので、本当に久し振りにゆうは心からリラックス出来た。
改めて、この人が担当看護婦でラッキーだったと、ゆうは思う。先日のデートにしろ、あんな好き勝手してくれる看護婦は他にいないだろう。看護婦というか、親戚のお姉ちゃんという感覚に近い。
時々、勉強しなさい❗とか言われる辺り、お母さんぽくもあるが、一緒にテレビを眺めてたりする時は、やっぱりお姉ちゃんだと感じる。
入浴を終えて病室で寛いでいると、あやのが紙袋を手にやって来た。
「それなに?」
「なんだと思う?」
ベッドのテーブルに紙袋を置く。
「あ、これって…………」
期待が膨らむ。
これは恐らく、
「うちのお母さんたちの?」
「そ。正解😁」
先日、忍が言っていた両親から一方通行の差し入れだった。うちもきた😲という驚きと、喜びが込み上げる。
中を覗くと、
「おおっ!?」
滅多に買わないお高いクッキーや焼き菓子がぎっしりと………
これは、ママか。
同様に、時々、お母さんが顧問の選手が試合に勝った時、お祝いに買ってくるお店のプリン🍮。
そして、
「うわっ!?」
先日、売店で買ってしまったコミックスの新刊。
あやのに買ってもらったものと、2冊になってしまった。
「それ、こないだのやんwwwうひゃひゃひゃwww」
「あははははwww」
二人して爆笑し、我が子の好みをよく分かっている両親を愛しく思った。
そうして二人分入っていたプリンを二人で食べた。
底に入っていた小さな手紙は隠して───────
夜半に開いた手紙を見て、ゆうは少し泣いた。
“ゆう、あんたは私とまことの子。強くて負けない子”
“ママの方が寂しくなっちゃったわ。少しだけ、看護婦さんから報告もらいました。つらい時は必ず終わるからね。看護婦さんたちにたくさん甘えていいからね。今は生まれ変わる期間だから、赤ちゃんみたいなものなの。赤ちゃんになって大丈夫よ。田村さんをもう一人のお母さんだと思って、がんばってね”
少しではなく泣いた。
翌日。もう十日になるのか。
「どしたー?寝不足なん?」
目ざとくあやのに図星を指されたゆうだが、看護婦はそれ以上、詮索しなかった。ホームシック気味とは、流石に恥ずかしい。
「あの、ありがと」
「なによ、急に?」
「いや、別に」
はぐらかし、ふと思い付いて提案してみる。
「また忍ちゃんの所に遊びに行けないかな……お菓子お裾分けしようかなって思って」
「ああ、なるほどね…………」
ははあ、と笑い、
「そんなら聞いてみよか。どーせなら、お買い物大丈夫?っていってみるわ」
数分後、あっさりとそれは実現した。
「わぁ、ありがとね🎵」
十一階。
1138号室を訪れると、既に間宮忍は外出の支度を済ませていた。と言っても、丈の長い寝巻きにカーディガンを羽織っただけであるが。後は、可愛らしいポーチをぶら下げている。
「うん、何かいっぱいだったから忍ちゃんにお裾分け」
結構な量入っていた両親からのお菓子を、ゆうが幾つかお裾分けすると、忍は花開くように微笑んだ。
美人っぷりに目眩がする。
「あ、坂口さんもどーぞ」
「えっ?ご、ごめんなさいね、ありがとう」
忍の担当看護婦にも一包み手渡すと、びっくりしながらも受け取り、やはり花弁のように微笑む。
このコンビは、どーゆー顔面偏差値やねん?と、あやのは殺意を覚えた。
「ゆうくん、浮気~💢」
「う、うわき?!そーゆーんじゃないよ💦」
「そうよ」
と口を尖らせた忍に、坂口愛は苦笑する。
「今日は良さそうやね」
忍の様子を観察していたあやのはそう述べた。
「はい🎵だから、デートが嬉しくて🎵」
えへへ、と忍は笑う。
杖も必要なさそうだ。
顔色も良い。
「そんなら行こか」
二人の患児と二人の看護婦は、連れ立って病室を後にした。
「あっ、かわいい❤️」
四階の売店で忍が小物を手にしてはしゃぐ。
「なんか、変なネコだなあ」
「ゆうくん、ひっどーい😡」
「このわんこの方がかわいいよ」
別の小物を示す。
「えー?こっちの方がかわいいって❗」
患児二人、楽しげに品物を物色している。
微笑ましい光景。
二人は姉弟か、先輩後輩か、幼馴染みか、友達か、その何れにも見えるし、そうでもないようにも見える。
年の離れた恋人。
若い、若い、恋人たち。
十七歳と十一歳のカップル。
不自然だがそれが一番自然にも見えた。
「ありがとうございます」
二人を遠巻きに眺めながら、坂口看護婦はあやのに礼を述べた。
「別に大したことないて。ゆうくんが会いたがってただけやから」
「それでも。彼女、結構、メランコリックになってたので……ありがたいです」
「去勢鬱?」
「それもありますけど、彼女は色々、難しいので……」
ふむ、と改めて間宮忍を観察する。
マキシ丈に近い、長い寝巻きなのでおむつは見えていないが、歩き方が不自然だった。僅かに片足を引き摺るし、太ももに膨らみがあるように見える。
「相当、陰部いじっとるよね?何度も開腹しとるんちゃうの?」
「………はい」
「今もバルン入ってへん?」
「そうです」
膀胱留置カテーテルの事である。排尿の為に膀胱へ管を固定し、それが太ももにくくりつけたハルンバッグに、ポトポトと蓄積されているのだ。膨らんで見えるのはその溜まった尿だろう。
「正直、私は彼女の寛解が見えません。どうしたらいいのか………」
「そんなん言うたらアカン。相談したいなら後で聞くさかい、人前で口にすな」
「すみません」
ぺこり、と小さく坂口愛は頭を下げた。
「……手に負えへんなら、チームで当たったらええ。うちもやれる事は協力したるから」
「はい……ありがとうございます……私、新人の頃、あやのさんが指導看護婦だったら良かったなぁ」
「そしたらパシりにしてたわ」
笑い、患児たちを眺める。
「私、ポニーテールにしたいんだよね」
「ふーん。髪の毛もっとのびないと、ちょんまげになっちゃうよ」
「やだぁ~」
ヘアバンドやゴムを物色する二人。
「ゆうくんにリボンつけたげる💕」
「ええぇ~………」
この光景が永遠に続く事を願った。
それは不可能と知っていても。
小一時間そんな事をしていただろうか。
結局、忍が買ったのはアクリルの小さな小瓶一つきりだった。
それから一階に降りて、リハビリセンターのある別館1階へと移動した。ここに小さなコンビニエンスストアと、喫茶店がある。お目当ては後者である。
二人の患児はアップルパイをつつき、二人の看護婦は紅茶とコーヒーを啜っていた。
クリームソーダをのアイスを食べさせてとねだる忍に、嫌々、スプーンを差し出す少年の姿は一枚の絵画だった。
お題は………【生まれ変わる天使たち】
うっとりとそれらを眺め、お代は全て坂口看護婦に押し付けた。ずっこける彼女に二人は笑った。
そうして、ささやかなデートは終わり、本館エレベーターホールへと戻った。特に理由もなく、十一階、忍の部屋までゆうたちも行く流れとなった。
十一階へと到着し、忍の部屋は歩き出した時──────
「あっ」
少年の悲壮な声。
三人、足を止めて振り向く。
ゆうの表情が青褪め、悲しげに歪んでいく。
「ゆうくん?」
その肩に触れる。
微かに震えていた。
「あ………」
僅かににおう。
少年は呆然とフリーズしている。
そのおむつのお尻にそっと触れた。
排便していた。
うんちが出てしまったのだ。
「あ、あ……ぼ、ぼく………」
すぐに、坂口看護婦も全てを察した。
「ゆうくん、大丈夫、大丈夫❗️」
「気にせんでええから❗」
あやのとしても、これはちょっと予想外だった。
また三日間お通じはなく、昨日「自力でできるから」と浣腸を拒否している。当然、硬くなっているだろうが、それがさっきのクリームソーダで、刺激されたと思われた。更には、エレベーターの振動だろうか。
子供がおもらししてしまう原因に、冷たいものと、乗り物という要素が大きいという。
それで、やってしまった。
「あらま。そんなら、急いでお部屋もどろか」
「なんなら十一階の処置室使います?」
と坂口愛。
「……そうさせてもらおか」
触れた感じ、かなりの量だ。重い。十階のゆうの部屋まで行くのはしんどいと思われる。最悪、おむつから漏れてしまう可能性すらある。
三日ぶりのお通じなのだから、当然ではあるが。
「ごめんごめん❗️はよ、気付いたったら良かったねえ………ちょっと、ここのお部屋借りよか」
そう言って、ゆうの手を引く。
ゆうは、
「うっうっうっ…………うぁぁぁぁぁぁ😭」
泣き出してしまった。
女の子と遊んでいて、おもらししてしまったのだ。
みっともなくて、恥ずかしくて堪らないだろう。
「あちゃー……ごめんなぁ」
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ😭」
ギャン泣きである。
これまで大人びていた少年のプライドが、へし折れていた。
失禁とは、それほどまでに尊厳を破壊する。
ゆうは泣きじゃくり、動かない。
初めて見る、少年の少年らしい有り様に、正直、あやのたち看護婦も困ってしまった。
そんな中────────
「ゆうくん、大丈夫、大丈夫」
忍が少年を抱き締めた。
「大丈夫、大丈夫」
頭を撫でると徐々に少年は泣き止み、落ち着きを取り戻していった。
「恥ずかしくないよ。ほら、見て」
忍は寝巻きをたくしあげた。
太ももに装着されたハルンバッグが見える。彼女のおしっこで黄色く膨らんでいる。
「私なんか、ずっとおしっこおもらししてたの。おかしいでしょ」
「………………」
微かにゆうは笑った。
「じゃあ、おむつキレイにしてもらお🎵ね🎵」
「………………」
少年は頷いた。
おむつ交換中も忍はゆうに付きっきりだった。
強烈な何かが、彼女を突き動かしているとしか思えない。
何かが宿っている、、、、、、
少年にとっておもらしは凄まじいショックだったが、同時に、忍によって巨大な何かが埋められた気もする。
夕食も殆んど手につかず、そのままぐっすりと眠りについてしまった。
その夜。
微かな物音にゆうは目を覚ました。
どれくらい寝たのか…………
何時だろう?とベッドサイドの時計に目をやろうとして、心臓が止まりそうになった。
誰かいる。
見回りの看護婦ではない。
女。
橙色の常夜灯に浮かび上がる女体。
裸だった。
全裸の女がいる。
否、
太ももに何か見える。
それは…………ハルンバッグ。
全裸の忍がそこにいた。
(し、忍ちゃん!?)
(しっ!!)
人差し指を立てる忍。
慌てて己の口を手で塞ぎ、声を潜める。
どうして?
何をしに?
何で裸?
というか、一体、どうやって抜け出してきたのか?
(昼間さぁ、ゆうくんのおむつ替えてる時、どさくさに紛れてナースステーションからIDカードパクっちゃった。これがあれば部屋もエレベーターもロック解除できるんだ)
とカードを示す。
なんて事をするのか……………
それでは脱走ではないか……………
まさか、自分も脱走に加われというのだろうか。
二年も入院して、うんざりなのは分かる。だが、今のゆうに脱走などするつもりはない。
困惑していると、
(お邪魔しまーす)
布団に忍が入ってきた。
(!!!!!??????)
ゆうの寝巻きを忍の手が脱がせていく…………
おむつも開いて、陰部を露出させられた。
(な、なにするの!?)
(しよ)
唇が塞がれる。
熱い軟体動物が絡んでくる。
どうする事も出来ない。
唇は、少年の首筋から乳首へと移り、舌先が散々転がす頃には、陰茎は爆発しそうになっていた。
唇がそれに移る。
忍の唇、舌が布団な中で、ゆうの陰茎を舐め、しゃぶり、吸い、咥える。
じゅっぷ
ちゅぽ
じゅるるるる
ちゅっぱ
ちゅっぱ
ちゅっぱ
(忍ちゃんっっっ❗なにするの❗ダメだよっ❗いけないよっ❗汚いしっっ❗)
小声で諌め、止めようとするが、新少女の淫らな行いは止まらない。
異様な快楽と恐怖に、少年はナースコールを押そうとするも、それは素早く阻止され、ボタン自体をベッドからはたき落とされてしまった。
じゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽ。。。。。。。。。。。
(ふわあっ………)
陰茎から精液が飛び出し、それは新少女の口の中いっぱいに満ちていく……………
(…………んぐ…………)
驚いた顔をした忍だが、何度かえずきながらもその粘液を嚥下した。
(生臭くて苦くてしょっぱい………ゆうくんの遺伝子の味)
これは現実か。
夢か。
幻覚か。
(ゆうくんのおちんちん、切られる前に貴重な経験させたげる)
忍が跨がった。
ぬっちゅ
熱。
沼。
焼けた底無し沼。
忽ち陰茎は硬さを取り戻す。
(いった……痛いな、やっぱ………)
破瓜の苦痛に顔を歪ませながらも、忍にやめる気はないらしい。
めりっ
むりっ
ずずっ
(し、忍ちゃん、ぼくも痛いっ)
(我慢して。きっと良くなるから)
(いけないよっ、こんなのっ)
(静かにっ)
ぶぶぶぶぶぶぶっっつっっ
何かが裂け、ぬるりと少年の陰茎が新少女の膣へと突き刺さる。大量の液体が流れているのが分かる。
(し、しの、ぶちゃ…………)
(動くね………)
ぎゅっちっ
ぎゅっちっ
ぐっちゃっ
ぐちょんっ
(✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕)
これが恐らくは、交尾という行いだと少年にも分かるが、それは原始的で忌むべき、悪習であるとも知っている。それをされている。犯罪に巻き込まれている。
そう理解出来るのだが、忍は必死の有り様で、もの凄い力でゆうを押さえつけてくる。何より、蕩けるような快感に、抵抗する気力が湧かない。
(………あ………)
次第に忍はうっとりとした表情となり、腰の動きもリズミカルに、激しさを増していった。
ぱん ぱん ぱん ちゅん ぱん ぱん ちゅん ぱん ぱん ちゅん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん ぱん
肉と肉がぶつかり、湿った音が深夜の病室に響く。
二人の荒い吐息。微かな声。
それにベッドの軋む音が加わる頃、少年は射精した。
“赤ちゃんのもと”
それが垂れ流されていく……………
(ゆうくんゆうくんゆうくんっっ)
巡回の看護婦に見つかり、警備員を呼ばれて拘束されるまでに、少年は三度射精した。
初めてのヴァギナ、
初めてのセックス。
世にも珍しい、男の子として女の子と交わってしまった。
深夜。
姫川病院は大騒ぎとなった。
白亜の砦は、パトカーの回転灯で紅に染まっていく。
以下、担当看護婦、坂口愛の事情聴取による。
『あの子は………先天的に染色体異常があって、その、女の子でもあり男の子でもある状態だったんです。生まれつき。精巣は二つありましたが、陰茎は小さく、腹部には卵巣が一つありました。陰嚢から会陰部にかけては未熟な陰唇も。これらを切除したり、造り変えたり、卵巣からの排卵管を作ったりする手術を繰り返し……卵巣は機能してますが、子宮はないので普通には妊娠しません。それでも完璧な女性器を目指して、何度もオペを繰り返しました。大腸も移植しましたし。今までに十二回手術しています。女の子らしく、と、処女膜形成まで…………あの子は、完璧な女の子になりたかったんです。それで、あんな事を………自然な女の子になる為に……ううっ……ごめんなさい………私の力不足です………ゆうくんに何と謝ればいいのか……ごめんなさい………忍さんを逮捕するなら、私も逮捕して下さいっ…………』
取り乱した坂口愛は駆け付けた警官の前で泣き崩れた。
緊急で呼び出されたあやのとゆうに土下座して謝った。
保護されたゆうは、当直の羽山医師に診察されたが、肉体的には特に異常は見られなかった。怖い羽山医師は、別人のように優しかった。
前代未聞の事件に、あやのだけでなく、主任の木村芽衣も呼び出された。あやのは兎も角、かけつけた芽衣はドすっぴん&部屋着で、事態の異常性、緊急性を物語っていた。
「平気?」
「……うん……びっくりした……」
あやのと夜勤の鈴木まどかに挟まれ、しかし、案外、ゆうは落ち着いていた。
この非常事態に、両親も呼ばれた。
育ての母、鷲井まことは取り乱し、泣きじゃくり、
『間宮さんを責められないよ……』と息子に縋って号泣した。
過去の己の行状が思いやられるのだろう。
逆に産みの母である鷲井翠は冷静だった。
『よー❗ゆう、久しぶり❗️あんた、えらい目にあったんだって?嫌だった?辛かったの?』
『ていうか、びっくりした……その、気持ちいいのはいいと思った』
この母に頭が上がらないらしい少年は、正直なところを語る。
『忍ちゃんは、なんか……かわいそうだった』
『そう。もしまたこんな事があって、心底嫌だったら、ぶん殴りなさい』
『……うん』
さっぱりしたものだったが、警官や警備員を押し退け、間宮両親と忍のところに乗り込んで行った。
『今度、うちのゆうに何か嫌なことしたら、私がぶっ殺すから』
と、引き留める警官を脇固めで押し退けながらそう宣言した。
『でも、好きになってくれてありがとね』
それを耳にして、忍は泣き伏した。
両親は帰り、ゆうが不起訴を主張したため、被害届はなく、警察は引き上げて行った。
翌日、忍は転院したと告げられた。
坂口愛は辞職したそうだ。
いつの間にか、ゆうの病室に置かれていたアクリルの小瓶だけが遺った。
その透明な煌めきだけに、あの夜の炎が燃えている。
事件から2日が経った。
朝。
ゆうは珍しく寝坊した。
というのも、夜勤の看護婦が起こしにこなかったからである。
“あれ?おかしいな?”
と思いつつ、心労からか再び微睡み、気が付けば、朝食の時間も過ぎていた。
さぁぁぁっ、と引かれるカーテンの音で目を覚ますと、見慣れない人物にぎょっとし、目を擦る。
主任看護婦、木村芽衣だ。
「あ、ゆうくんおはよ~💕」
あの夜とは違い、今日はバッチリロリロリメイクである。
「あ、あの、おはようございます……あの、どーして主任さんが?」
「うん、あのねぇ、芽衣がきたのはねぇ、このあいだぁ、ゆうくん大変な目にあったじゃなぁい?」
「…………」
無言で頷く。
「芽衣とあやのちゃんはねぇ、一応、泌尿器科認定看護婦なんだけどぉ、先生方とも相談してぇ、ゆうくんの治療のスケジュールを早めることにしたのよぉ~❤️」
「…………」
どくん、どくん、と少年の心臓が跳ね回る。
治療のスケジュールが早まった??
「朝イチの会議だったからぁ、急なんだけどぉ、ごめんね~❤️」
主任が言うなり、幾つかの器具を手にして看護婦たちが入室してきた。
「えっ!?えっ!?」
主任にあやの、三谷杏、小田歩美がゆうの手足を押さえつけ、抑制帯を巻き付け、四肢をベッドに抑制していく。唐突な事態に踠くが、四名の看護婦に抗う術は無い。あっという間にベッドにくくりつけられてしまった。
「な、なんでっ??」
「ごめんね、ああいう目にあった以上、おちんちんが良くない状態になっちゃってるの。病気の可能性もあるし」
言いながらも、あやのは容赦なく少年の体を固定する。
「だ、だからって、こんなのってないよ😭」
「ごめんね、ちょっと痛いからね」
「痛い?」
見れば、三谷看護婦が点滴💉の準備をしている。
「え、注射………」
これまでの呑気な入院生活を破壊する突然の医療行為に、恐れ戦く少年。
袖が捲られ、看護婦の手が少年の静脈を探る。
「ここで採れますね」
三谷看護婦が前腕をアルコール綿で消毒する。小田看護婦が留置針を手渡し、躊躇なく少年の橈側皮静脈へと射し込まれる。
「痛っ😭」
22Gのごく細い針だが、少年の腕も細いので痛いのは痛いだろう。一発で静脈に入れた三谷看護婦も流石だが。ルートが素早くドレッシングとテープで固定され、点滴台に下げられたボトルから薬液が滴り落ちていく。「基本、栄養剤と鎮静剤だからちょっと眠くなるよ」
「う、うん………えっ?」
点滴には納得したが、三谷と小田がそちらをセッティングしている間、下半身に違和感があった。
注射に気を取られている内に、主任とあやのがおむつを開いて、陰部を清めていた。
「おむつ替えるの?」
「ううん、ゆうくん、ごめんね」
言って、あやのが用意している長い管と大きなバッグに思い当たるものがある。
ハルンバッグ、おしっこの袋…………
ということは、
「おちんちんにぃ、おしっこの管入れるからね~💕」
主任が手にした膀胱留置カテーテルに体が強張る。
「我慢ねー」
「お口から息吐いてー」
「いっ……やっ、やめて…………」
尿道に管が侵入してくる。
凄まじい痛み。
「痛ぁい痛ぁいでちゅねえ😭我慢我慢でちゅよ~❤️」
主任は甘く優しい声を掛けてくるが、手つきは全く優しくも手緩くもない。容赦なく、少年の尿道に管を押し込んでいく。痛みと恐怖で縮こまった幼気な陰茎に、太いカテーテルは潜り込み、膀胱目指して突き進む。
「痛いよぉ~😭ちんちん破ける~😭」
「いい子、いい子」
「うあっ😭」
膀胱の入り口、前立腺に包まれたコックの部分にカテーテルがめり込み、押し拡げる。これがあるが故に、男性はおしっこを我慢しやすく、逆に言えば、膀胱に入る為には苦痛を伴う。
「お腹痛いぃ」
「入るよぉ~💕」
ぶつん、という感触。
カテーテルは膀胱へと到達し、繋がれたチューブから尿が流れてハルンバッグへと流れ込んでいく。
素早く注射器がカテーテルのコックに接続されて滅菌水が先端のバルンを膨らませ、膀胱内に固定する。
「ううっ😭」
膀胱が膨らむ独特の痛みが少年を襲う。
あやのはゆうの腹部にテープでカテーテルからの管を貼り付け、おむつを整える。
「ちんちん痛ぁい😭痛いよぉ😭」
「痛いね、ごめんね」
「鎮静剤、強くして」
滴下速度が調節される。
「後で流動食入れるけど、それまで寝んねしよう💕」
と布団が掛けられた。
「お、お姉ちゃん」
縋るように視線を向けると、
「ゆうくん、明日から精液採取して、来週には手術だからね💕がんばろう❤️」
看護婦は満面の笑みで絶望的な宣告をした。
急速に意識が遠退いていくのは、鎮静剤の所為か、看護婦の言葉の所為なのか…………………
(了)