二十年ぶりによみがえった花を愛でる心
写真を撮るようになって、私の中に今まで忘れていた心がよみがえった。
それは「花を愛でる心」
何か写真を撮りたいな、と思って周りを見渡したときに、ふと花が目に入った。
同居している母が育てるのが好きで、今までも存在には気づいていた。
でも、「花がある」くらいで、あまり気に留めておらず、ゆっくり観察することもなかった。
いざ被写体としてカメラを向けるようになると、花の可愛らしさや美しさ、可憐さに気づく。
家にある花だけではなく、道端に咲いている花もよく目につくようになった。
同時に、成長も楽しめるように。
この南天は花というよりは木に近いが、成長の早さに驚かされ、育つ様子を見守るのも毎日の楽しみだ。
これまでは「花」としか認識していなかった存在にも、一つ一つ名前があり、花言葉もある。
そんな当たり前のことも、花を愛でる心がなければどうでもいいことになってしまう。
ふと、今みたいに花を愛でていた時期があったかな、と記憶を辿ってみた。
小学生の時のこと。
母と一緒に、家でチューリップやパンジーなどいくつかの花を球根や苗から育てたことがあった。
毎日水やりをして、花が咲いたときにはとても嬉しかったのを覚えている。
だが、それ以降は特に育てた思い出もない。
大人になってから花を積極的に目にしたことといえば友人の結婚式などで貰えるお花くらい。
そうだとすれば、こんなふうに花を愛でるのはなんと約二十年ぶりになる!
カメラをはじめたおかげで、花を愛でる心が二十年ぶりによみがえった。
言葉にして書くと、なんだか感動だ。
大人になった今、改めて思う花の大きな魅力のひとつは、目を楽しませてくれる多彩な色。
赤や黄色、青や紫、ピンクやオレンジなど。
挙げていくとキリがないが、すべてそれは花自身から生み出された色。
人工的なものではなく、自然の色。
自然からあんな鮮やかな色が生まれてくるなんて、すごい。
だからこそ私たちは花を美しいと感じ、自然から生まれる色に心が癒されるのだろう。
もうすぐ多くの花が咲き始める春がやってくる。
二十年ぶりに花を愛でる心がよみがえった私にとっては嬉しい季節のはじまりだ。
以前は育てるだけで終わりだったが、今の私にはカメラがある。
この春、少しでも花の美しさを写真で残していきたい。