『百人一首を自分なりにアレンジしてみた。』NO.4 山部赤人
田子の浦に うち出(い)でてみれば 白妙(しろたへ)の
富士の高嶺(たかね)に雪は降りつつ
山部赤人(第四番)
(現代語訳)
田子の浦に出かけて、遙かにふり仰いで見ると、
白い布をかぶったように真っ白い富士の高い嶺が見え、そこに雪が降り積もっている。
*****
ガバァ!
ばあちゃんの家に寄ると、すごい歓迎を受けた。
近所に住むチビたちだ。
「あはは、にいちゃん、おばけみたいー」
「んー、俺には富士山に見えるな。にーちゃん、背が高いし。ほら、今日、ジーンズだし。ほら、もう少しいったところから富士山見えるじゃん。それっぽい」
目の前が真っ白で見えない。
もがき苦しんでいると、チビたちが助けてくれた。
どうやら、真っ白なシーツをかけられたようだ。
「ほら、せっかく洗って干したんだから、ちゃんときれいにして畳まないとだめだ」
俺は、手に持ったシーツを広げると、手際よく畳んだ。
ばあちゃんはというと、にこにこしながらこちらを眺めてお茶を飲んでいる。
平和で何よりだ。
「なあばあちゃん、あいつらはどこの子だ?」
「あんたと一緒さ、どこの子でもないよ」
そうか。
そうか。
「そうか」
思うところはあったが、何も言えなかった。
「おばけー。富士山おばけー」
俺は少しの間ばあちゃんの家でチビたちと遊んで帰宅することにした。
寒いと思ったら。
冬なので寒いのは当たり前だが、今さっきまで快晴だったのに雪が降ってきていた。
「あいつら大丈夫かなー。えらい薄着だったけど」
そんなことを思いつつ、自転車を押して帰った。
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