【つつみこむ大和言葉と鼓舞する漢語】
新美南吉の「ごんぎつね」と
中島敦「山月記」を音読しているとき、
言葉を発声する勢い・調子に
違いがあることに気づきました。
【ごんぎつね】を音読しているときは、
温かい春の陽気、
ひだまりのような
柔らかい物腰で声音を発している。
対して、
【山月記】を音読しているときは、
まるで自分が軍隊の兵士であるかのように、
今から戦地に赴く仲間を
鼓舞するような
力強さと緊張感がある。
この違いはなんだろうと
しばらく漂わせていたら、
とても共感できる記事をみつけました。
「人生は敗者復活戦」
の言葉で有名な
徳島県立池田高校野球部監督だった
蔦文也(つたふみや)氏は
甲子園で3回の優勝に導いた名将です。
その監督の言葉
【こどもたちに、
試合前に激励するときは
漢語を使い、
試合後にねぎらうときは
大和言葉を使う】
やはりそうか!と
とても合点がいきました。
大和言葉は母音が多く使用され、
声帯振動音が素朴に響くので、
相手に親密感を与える。
対して、
漢語由来の音読みをする語は
子音が多用される。
子音は、
擦ったり、破裂させたり、
息を多く使うため、
敬意や客観性など
相手との間に距離感が生まれる。
それを意図的に
使い分けていた先人がいたことに
最大限の敬意(漢語)と
ありがとう(大和言葉)の思いを伝えたいと思いました。
みなさんも、
ふだん無意識で使い分けているとは
思いますが、
今度誰かに【感謝の気持ち】を伝えるとき、
距離感を大事にしたい人には
「ありがとう」
適度な距離感を持って
気持ちを伝えたい人には
「感謝します」
と意識的に使ってみてください!
2つの言葉を用いたとき
どういう体感が起きるのかを
ぜひ味わってみてくださいね。