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当時の日記より13 @2009 1/15
姫(母)との会話は全てが連想ゲームみたいになる。幼い頃からはぐらかされている気分になり不愉快だった。聞いたことを答えてくれたらいいんだよ、なんでどんどん話がズレていくの!と憤ってた。アスペルガーに気づいた今、姫にとって『言葉=音』という私の独自解釈で折り合いをつけている。具体的にはこんなやりとりだ。
テレビを見ていて「ハンバーグが食べたい」と姫が言い出した。
「じゃ今夜はハンバーグ作るね」
と言うと
「えぇぇ!中まで火を通すの大変なのよ!」
「食べたかったんでしょ?」
「そうよっ食べたいのよ!(怒)」
これが些細な日常会話の一例だ。ハンバーグは火が通りづらいと思ったから口にした、ただそれだけのこと。
人は一日何万回も思考する。でも言葉に出す前に精査する。こんな風に口にすれば相手に伝わるだろうって。それがコミュニケーションだから。姫にはそこが決定的に欠けている。「言葉=音」連想したことを口に出してしまう。それに憤る私を短気と責めるのだ。自分の言葉が引き金だとは思わない。
姫の友人からキウイがどっさり届いたのでジャムを作っていると、その様子を覗きに来て言い放った。
「そんなに使ったら無くなるじゃないのっ」
「え?惜しいと思われるならもう作らない」
「誰が惜しいと思ったのよっあんなに山ほど届いたのよ。頑張ったって一日1つか2つしか食べられないわよっ」
「でしょ、腐らせるほうがよっぽどもったいないじゃない。だからジャムにしてるんだよ」
「減ったら買い足すから使っていいわよっ」
普通の人には全く意味不明なやりとりにうつるだろうが、私は姫が何を主張しているのか分かる。キウイが100個届いたとしたら、姫にとって家に100個ある状態が基準になってしまうのだ。変化を嫌うアスペルガーだから減っていくという変化に耐えられない。どんなに頑張ってもこの数は食べきれないと理解しているにも関わらず、減った分は買い足し早く100個に戻してほっとしたいのだ。
物を買い込むだけの人だと思っていたけれど、観察してみると姫なりの解釈があるんだなと気づく。かといって姫の思った通りにさせていたら生活は破綻する。
「手が冷えて困るの。小さいカイロってないのかしら」
そう言われて買ってきたら
「可愛い。こんな可愛いもの使えないわ」
と仕舞い込んだ。
もう一袋買ってこないと姫は絶対に使わない。ミニカイロが家にキープされていることが姫のスタンダードになってしまったから。
私またお腹壊すな。
この頃、とにかくお腹を壊しまくっていた。何かの病気ではないかと不安になるくらいに。のちに病院へ行き「悪いところはないですね、ストレスで下痢しているみたいです」と診断。ストレス...そりゃそうだよ。日がな一日こんな会話を繰り返してるんだもん。