【詩】ひな祭り
ひな祭り
「今日は楽しいひな祭り」と歌うメロディーが
どうしてこんなに切ないのだろう
3歳の娘がオルゴールにあわせて
ひな壇の前ではしゃぎながら歌っている
少し音程のはずれた幼い声と
天使のハーブをつま弾くような澄んだ高音のハーモニーが
胸の芯に響き過ぎて
私は涙ぐんでしまう
「ママは泣き虫だね
楽しくても嬉しくても泣くんだものね」
娘が笑う
今年もひな人形たちは
相変わらず綺麗な白い顔でとびきり着飾り
それぞれの居場所に並んでいる
娘は皆に話しかけるような仕草で
頭を左右に振りながら笑顔で手拍子をとっている
癖っ毛の長い髪が揺れる
私の眼はまた潤む
あとどのくらい
ママを素敵な泣き虫にしてくれるだろうか
*この作品は2003年に執筆したものを加筆・修正したものです。