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【詩】独り占め

独り占め

花冷えの午後
白いトレンチコートの下に
薄紅色のセーターを着込んでいた

桜並木の中程で
花壇の端にあるコンクリートの上に
買ったばかりの花柄のハンカチを広げ
傘を肩にかけて差し
手袋の上から両袖を少し引っ張って
凍える手を包みながら座っていた
一番眺めのいい場所

霧のような雨と共に
桜の花びらが踊るようにひらひらと舞い落ちていた

あと数日は木の枝で微笑んでいるはずだった花びらたちが
まるで雨との饗宴にはしゃいでいるように見える
枝に残る花たちは
くすくすと笑いながら仲間の舞いを眺めているようだ
春の陽光で満ち溢れていた昨日は人でいっぱいだった並木道も
薄暗い雲の色を背景に静かな輝きを湛えている

休みなく流れる時間の中で繰り広げられる舞台
今日は私が独り占めにする


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