【詩】一流ホテル
一流ホテル
家から歩いて5分
そこに私はタクシーで乗り付ける
車から降りた途端
「いらっしゃいませ」と
品のある極上の笑顔で出迎えられる
制服と清潔さをきっちり纏ったボーイが
一泊分の小さな荷物を受け取る
私の背筋は自然と優雅に伸び
磨かれ切ったドアに向かう
それぞれの役柄を完璧にこなす人々が
最高級の舞台を演出してくれる世界
その中でひとときを暮らす週末
自宅のリビングの三分の一にも満たないプライベート空間と
優美さの行き届いたホテルのお気に入りの場所で
解放に浮かびながら過ごす時間に
私は給料の何日分かを注ぎ込む
何も変わりはしない
それでも私は
時折このステージに上る
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