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主語を自分に取り戻そう~「モテ」「女子力」「家族」は他者との境界線を引くことを困難にする!?

女子力について女子5人で語った動画を公開しました。

SEX and the LIVE!!で撮った女子力がトークテーマの動画が公開されました。

撮ったときは「少し頑なになってしまったな、どうしようかな」と思った。でも見直してさやかちゃんと私の意見が違って、かつ話が噛み合っていないところが非常に面白いところだと思いました。

私の言いたい感覚が分かる人もいるし、さやかちゃんに共感する人も多いのでないかなと思っていて、そこで対話できたのはいい機会だと思いました。

是非ご覧下さい。

先日DVに関する活動を行っているNPO法人レジリエンスさんの講座を受けて、ちょうど近頃考えていたことがタイムリーに重なる部分があると思ったので書きたいと思いました。

せっかくなので自分の感じたことを補足がてら書いていきます。

女子力や動画の中で何に抵抗を感じたのか

私が女子力や今回の動画での話全般に感じていた嫌な感じというのは主に

1.「大多数が思う捉え方が正しく・それに沿うべきだ」という考え

2.「意図や行動を決めつけられること」

3.前提条件がずれている・状況を把握していないアドバイス

の3つの押し付けでした。

まず1つは動画の中の話でのさやかちゃんとのやり取りで、「上から目線で言われるから嫌なのかな」と言われましたが、(それも1つだけれど)それよりも「マジョリティーがこうだと思うならこうで当然だろう」という押し付け、つまり同調圧力が嫌だったんですね。

「ほとんどの人がしている行動を取るべきだ」と押し付けられることや「ほとんどの人が受け取る意味が正しい。たとえ間違っていても自分には関係ないし、取り違える行動をしたのが悪いし批判されて当然」という考えに抵抗感がありました。

今回の動画の場合は「異性に好かれるために動くべきだ」という前提もその1つですね。

私は可愛くなれない自分に対するコンプレックスは確かにあります。可愛い女の子が好きな男の子を好きで辛かった経験もありますから…。

でもそもそもの問題は、『女子力が高くないと愛さないことが不安。だから女子力が嫌だ』ということとは別でした。

本人が戦略としてマジョリティを対象にしてモテのために動くことを選択すること自体には嫌悪感も違和感もないんです。自分も相手が好きな格好を選ぶこと自体は好きですし、それ自体は相手のことを考えるので楽しいと思います。

本当に嫌だった理由が2つ目の

「モテのために見える行動を取ってるんだから、モテのためにきまっている」

自分の意志や状況を勝手に決めつけて、前提や向かいたい結果を取り違えられて押し付けられること

「自分と会うときにネイルしているのは自分に女として見られたいということだから気があるはずだ。」
「自分に女として見られたくないならネイルなんてしてくるな」
と思われたら、

「そんなこと言われても、したくてやっただけなのに。」
「女性として見るなとは思わない。でもなんで行動を決めつけられて制限されなきゃいけないのだろう…。」

と思います。
決めつけられて意図が違うことを認められないのは息苦しいと感じます。

3つめの前提条件が違うアドバイスは

「そのネイル男ウケ悪いから変えたほうが良いよ」

のようなものです。

自分が好きだからネイルをやっていたら前提条件が違うのでそのアドバイスは全く意味がなくなります。

前提条件が違うアドバイスや間違ってる・状況を把握できていない・根拠のないアドバイスはただのクソリプです。「相手よりも自分のほうがわかっている」という前提をなんの根拠もなく持っていることは思い上がりです。

マジョリティに正当性を求めることと自己同一化は性犯罪とセカンドレイプにつながる

極端かもしれませんが、この話はセカンドレイプにつながると思うんです。

「男の家に上がったら下心を持ってるに決まっているから上がった時点で合意。だからたとえ嫌だとしてもレイプされても仕方ない。むしろそれはレイプではない」

という考えに繋がりかねないんですよね…。

たとえ実情に合っていなくてもマジョリティが捉えていることに沿わなければいけない、ということはレイプ神話が常識になっている現在、実際に抵抗できない状況だということはどうでもいいということになり、落ち度を求めセカンドレイプを肯定することになります。

だからと言って「下心を持つなんて酷い!」や「自衛は一切必要ない!」というのも極端だと思っていて。そもそも下心がある事自体が悪いことだとは全く思いません。

大事なのはコミュニケーションで、意思表示・確認・合意・人と接するときに幅を持つことだ思うんです。

自分と相手の考え方は違う可能性があるということを頭に入れること。

そもそも前提条件が同じなのか確認すること。

誰しも自分の考えや感情押し付けてしまうというのはやりがちですし、私も相手に共感を求めてしまったりしています。でもそれが頭になければ自分と他人を同一視してしまっったり、常識というもので人を傷つけたり、自分が殺されていってしまうと思います。

DVの構造 恋人関係・家族関係、母娘関係は境界線が薄くなりやすい

先日受けてきたレジリエンスさんの講座は他者との境界線の話で、DVなど暴力の被害を受けた人は特に他者との境界線がなくなりやすいというお話を聞きました。

相手が自分の思うとおりになって当然と思い、自分の感情の責任を相手に過度に求める人は他者との境界線を適切に保てていません。そして人が引いた境界線を侵害するようになります。境界線を侵害する行為は暴力になります。

そして侵害されることに慣れてしまった人は相手の感情の責任が自分にあると思い込んでしまい、境界線を適切に作る力がなくなってしまいます。 

そのうちに主語が自分でなくなるどころか、自分の話でも、主語を口にしなくなり、特定の相手が主語なのが当たり前で話すようになるそうです。

そうすると暴力を振るう側だけでなく、暴力を受ける側もどちらも他者との境界線をなくしてしまいます。そして他者との境界線がなければ相手と自分を同一視してしまいます。

特に恋人関係・家族関係、その中でも母娘関係は特に境界線が薄くなりがちです。自分が嬉しいことは相手も嬉しいだろうと思って押し付けてしまったり、自分の取り分を自分は持つ資格のないと思い込んで相手に譲らなくてはいけないと思ったり。誰でもついやってしまうことですが、度合いがすぎるとその関係で消耗していきます。

しかし逆に境界線をあまり強固に壁にしてしまっては人とつながれなくなり、苦しくなっていきます。他者との境界線は相手によって厚さにも揺れや幅があるはずですし、あっていいのです。適度な境界線を持てるようにすることが大切です。

強引に境界線を侵害してこようとする人もいます。そういうときに距離を置くことは境界線の厚さを作るために必要な戦略です。

自分と人の違いを受けとめて主語を自分に取り戻す

境界線を弱くしてしまうものが

「こうすればモテる・愛される」

「母親なら我慢して当然」

「家族とはこういうものだ」

という言葉だという話もありました。

虐待されていても、DVを受けていても「家族は一緒にいるのが当然」という常識に縛られ、距離を取れない問題がある。でも例えば別居で関係性が良くなることもあり得ます。

私自身離婚の危機がありましたが、別居してオープンマリッジの形を取ったことでかえってお互いを尊重できる距離感を持てるようになったと思っています。今は前以上に仲が良いのですが、あのまま一緒に暮らしていたらどうなっていたことだろうと思います。

近い距離で一緒にいられるかどうかは個人対個人の相性だけでなく、時期によっても変わるはずです。断絶する必要はないのにそこで距離を取ることを否定してしまっては、修復不能になるまでぼろぼろになってしまします。

世の中の常識、つまりマジョリティの価値観と言っても、とても曖昧なもので日々変わっていきます。少し前まで「女が働くなんて非常識」という時代もありました。まだ残っているけれど、それも変わってきています。数の問題なのですからマジョリティかどうかというのも流行・時代の変化によって変わっていくもので絶対ではないのです。

モテ・女子力・家族。

それを求めること自体は悪いわけではありません。

どれも「こうあるべきだ」と思いこんだり、それを押し付けると他者との境界線を消してしまう

誰かのために動いてもいい。でもそれを決めるのは自分でそれを選んだのも自分のためであるはず。削れてしまうのはきっと誰のためにもならない。

傷ついているとき、苦しいとき、消えてしまいがちな主語を自分に取り戻していく。その上で共感することがあればそれを当たり前ではなく貴重なこととして大事にする。そして人と自分は違うということを受け止める幅を持つこと。これが大事なことなのではないかなと思いました。

意見が違って構わない。語ることで見えてくることがある。分かり合えるかはわからない。でもまずこうやって話してみて、自分の気持ちや相手の気持ちを考えてみる時間を作っていくことが一歩なのかと思いました。

今週末1/21に開催するSatLサロンのテーマは「男らしさ・女らしさってなに⁉︎〜生きづらさを越えるには〜」

ぜひ何となく感じるもやもや、素朴な疑問・違和感を話していきましょう。

定員まであと若干名になりますので、お早めにお申込み下さい。(イベントは終了しました)

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