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令和6年9月議会 清水彩子の一般質問① 【グリーンインフラの推進を】


【清水彩子の質問】
グリーンインフラは、社会資本整備や土地利用等ハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組であり、ゼロカーボン シティを実現する上でも、重要な考えと言えます。

グリーンインフラが活用される都市空間は、道路・歩行者空間、屋上緑化、公園、河川、都市農地などが想定されます。

武蔵村山市では、現在、グリーンインフラに関連する計画として、長期総合計画の後期基本計画、立地適性化計画、地球温暖化対策実行計画の区域施策編が策定中であり、地域防災計画が修正中です。

長期総合計画にグリーンインフラについて盛り込むことが必要な事はもちろん、長期総合計画は、国土強靭化地域計画も内包しており、国土強靭化の観点からも推進の必要があります。

立地適性化計画は、令和7年3月に策定予定で、第二次まちづくり基本方針をさらに具体化し、将来にわたって持続可能なまちづくりを推進するため策定するものです。

立地適正化計画制度の運用に基づく都市機能や居住の維持・誘導だけではなく、武蔵村山の場合は、特徴である自然を活かし、農地、河川、道路、植栽、事業地内緑化などにおいて、グリーンインフラの取組をしていくことで、新たな自然共生・自然活用型のまちに近づけると考えます。

地球温暖化対策実行計画は、令和6年度末に策定予定であり、令和4年、山﨑市長が宣言したゼロカーボンシティの実現のために、市民・事業者・行政が一体となって取り組むために、市の地域特性・課題や今後目指すべき方向性を明らかにし、具体的な対策・施策等を定めるため、地球温暖化対策の推進に関する法律第21条に基づく「武蔵村山市地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」を策定することになりました。カーボンニュートラルの実現と、グリーンインフラの推進は密接に関係があると言えます。

地域防災計画の修正は、令和5年、東京都の地域防災計画が修正されたことに伴い、東京都の計画との整合性をとるため、また、1月1日に起きた能登半島地震により得た教訓も盛り込む内容に修正予定ですが、防災・減災に、グリーンインフラは貢献します。

グリーンインフラを計画に盛り込むことで、老朽化が進む各種のグレーインフラの管理コストの削減、環境保全、防災、社会経済に寄与し、地域課題の解決がしていけると考えますが、どのように計画に盛り込み推進していくのか伺います。

【市長答弁】
環境に配慮したグリーンインフラの推進につきましては、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある地域づくりを進めるために重要であります。
こうした認識の下、先ずは、各計画等の実施段階で可能な限り対応するべきものと考えおります。

例えば、本市といたしましては、公共施設整備における雨水貯留施設や民間開発における雨水処理施設の設置が、雨水の流出抑制に資することから、グリーンインフラの推進につながる取組として実施しております。



里山民家

(清水彩子の再質問)
市長答弁の中で、「公共施設整備における雨水貯留施設」とありましたが、どのようなものか伺います。

(市の答弁)
公共施設整備における雨水貯留施設につきましては、公共施設を新たに整備する際に、降った雨を敷地内で処理できる規模の雨水貯留施設を設置し、地中へ浸透させるものなどがございます。
例えば、都市核土地区画整理事業では、区域内の雨水流出抑制に資する貯留型雨水浸透施設を都市計画道路と区画道路に設置しております。

(清水彩子)
区画整理区域内で面積の大きい都市計画道路内に設置している浸透施設の規模を教えて下さい。

(市の答弁)
都市計画道路の2路線には合計で約1,285mの浸透施設を設置しております。
なお、雨水を取込む集水桝も泥や油等を除去するフィルターの役割をもつ繊維状のネットを使用し、浸透機能を持続できるよう、2連枡を144箇所設置してあります。

(清水彩子)
区画整理区域内には、公園も多数整備されますが、公園について、取り組んでいる同様な内容があれば伺います。

(市の答弁)
区画整理事業では、4号公園と5号公園にはプラスチック製の貯留型雨水浸透施設を整備する計画となっており、既に5号公園は浸透施設の設置は完了してございますが、先日の台風に対しまして、完了を待たずに機能させたことにより、道路冠水を防ぎました。今後、配管等を整備していく予定となっており、4号公園の雨水浸透施設等と合わせ、更なる効果をもたらすものと考えております。

(清水彩子)
冠水を防いだとのことで、効果を感じました。
グリーンインフラに関する施策を本市でも実施されていることがわかりましたが、区画整理区域内には、その他にもグリーンインフラに関する施策を実施している事案等があれば教えてください。

(市の答弁)
区画整理事業では、木陰がある緑の環境と、休憩できる空間を少しでも生み出すため、3号公園で樹木の周りに円形のグリーンベンチを設置しております。

(清水彩子)
グリーンベンチを設置されたとのご答弁でしたが、区画整理事業で創出される緑化はどの程度、計画されていますか。

(市の答弁)
区画整理事業区域内では、良好な景観形成、ヒートアイランド対策等に資する道路や公園、広場に約10,000㎡の緑化を計画しております。

(清水彩子)
それでは、「民間開発における雨水処理施設」とは、どのようなものか伺います。

(市の答弁)
民間開発における雨水処理施設につきましては、まちづくり条例に該当する面積、規模などの造成などを行う場合に、公共施設同様に雨水貯留施設の設置を義務化しております。

(清水彩子)
わかりました。この民間開発は年間どの程度行われているのか伺います。

(市の答弁)
令和5年度の件数で申し上げますと、30件でございます。

(清水彩子)
この民間開発で雨水の流失を防いでいることはわかりましたが、緑化などの指導は行っているのか伺います。

(市の答弁)
民間開発につきましては、まちづくり条例に該当する一定規模の開発であれば、6%以上の緑化を義務化しており、併せて東京都の多摩環境指導事務所からの指導も行われております。

(清水彩子)
緑の基本計画の策定に当たり、令和3年に行われた市民アンケートでは、本市のみどりの満足度について、回答者の 54.4%がみどりに関して満足している結果でした。

一方で、本市のみどりの量と質についての回答では、「量は十分にあるが質がよくない」との意見が 42.6%と最も多くなっています。
量、質どちらか、またはどちらもに対し不十分であると回答した割合は66.4%となっていますが、このアンケート結果を踏まえ、「みどりの質」というものについて、何か取り組みを始めているのでしょうか。また、質を高めるにあたり、どのようなことならグリーンインフラの手法を取り入れられそうですか。

(市の答弁)
ご質問の市民アンケートにおいては、お住いの地域のみどりの満足度についての質問があり、また、その質問で「あまり満足していない」または「まったく満足していない」とお答えの方に満足していない点を伺う質問がございますが、回答としましては「庭木の樹木や生垣が管理されていない箇所が多く景観が悪いから」が最も多い結果でございました。
つきましては、担当部としましては、令和5年3月15日号の市報に保存樹林等奨励金の記事を掲載し、当該制度のより一層の周知を図ったほか、従来からではございますが、市民の方から樹木の越境等のご連絡があった場合は速やかな対応に努めているところでございます。
私としましては、庭木の樹木や生垣もグリーンインフラと言えるものと認識しておりますが、これらの良好な管理に資する行政の支援策等について他市事例等を研究してまいりたいと考えております。

(清水彩子)
わかりました。アンケートの結果により、対応していただいているとのことで、ありがとうございます。
大南東公園は、水を溜めるためにコンクリートで覆われています。
また、大南公園も、グラウンドや南側にコンクリート壁があり、大雨が降ると水が溜まっています。
今後、側溝に砂利を詰め込んだバイオスウェルや、レインガーデンの手法を取り入れ、雨水浸透に配慮した大南東公園、大南公園にしていけないでしょうか。

(市の答弁)
レインガーデンなどのグリーンインフラの手法を用いた公園整備を行っている自治体があることは承知しております。
ご質問のバイオスウェルやレインガーデンを大南東公園、大南公園へ取り入れることにつきましては、公園の形態などを把握した上で、整備の可能性を研究してまいりたいと考えております。

2019.10.13 大南公園
2019.10.13 大南公園
2019.10.13大南公園
大南公園
大南東公園
大南東公園

(清水彩子)
その他の公園についても研究を宜しくお願いします。
国際条約が定めた2050年の「自然と共生する世界」というビジョンに向けて、2030年までに生物多様性の損失を食い止め回復させる「ネイチャーポジティブ」の実現が世界の目標とされています。
ビオトープは、ネイチャーポジティブにの実現であり、規模は小さくても、生物が行き来するネットワークが作られ、郊外から都心まで多様な生物が生息できる環境を整えられます。

雨水だけで生物が生息できる都市型ビオトープ施設を作った会社があり紹介されていましたが、駐車場の舗装の一部を集水域として、そこに降った雨を雨水貯留槽に「ためる」。
次に太陽光発電でポンプを動かして揚水し、ビオトープを創出するための水辺として「使う」。
最後の「自然に還す」という点で、敷地内に砕石を敷いたり地中に中空のプラスチック層を設けたりして、自然な水の循環を促しています。
公共施設にも、都市型ビオトープを設置できる可能性があるように思いますが、環境に配慮したグリーンインフラの手法を取り入れていくことはできませんか。
 
(市の答弁)
ビオトープにつきましては、これまでにも他の議員の方からも御質問をいただいており、「市内にある水辺、公園、公共施設などのうち、そのエリアの植生、地質などを考慮の上、生き物の暮らしを支える自然環境を活かし、かつ、市民等の方々にご覧いただきやすい場所が対象になると考えております。」との御答弁をいたしてきたところでございます。
つきましては、本市といたしましては、「現状の自然環境を活かす」形でのビオトープの整備を考えており、貴重な御意見をいただきながら大変恐縮でございますが、現時点において、御質問の都市型ビオトープ、貯留水循環型ビオトープについては、公共施設の敷地内などへの整備の予定等はなく、今後の検討課題であると認識しておりますので、御理解を賜りますようお願いいたします。

(清水彩子)
住民が環境に関心を持つために、あえて公共施設にビオトープを設置しているまちもあります。
無機質になりがちな公共施設だからこそ、身近に生物が感じられると、通る人の安らぎにも繋がるのではと思います。
近年、屋上緑化として、屋上にビオトープも設置する事例もありますし、技術と共に可能性は広がっていると思いますので、様々な事例を見ていただければと思います。

東京都は、令和5年12月に「東京都豪雨対策基本方針」を改定し、その中で、グリーンインフラ等の水害に強いまちづくりの推進も強化するとしています。
近年の気候変動の影響により激甚化・頻発化する豪雨災害への備えが求められています。
どの計画に盛り込むことで、グリーンインフラを活用した水害対策に取り組んでいけるとお考えになりますか。

(市の答弁)
現在、都市整備部では内水浸水想定区域図を作成するための基礎資料の収集や現況整理を委託で行っており、令和7年度には内水浸水想定区域図の作成をしたいと考えております。 
これらのデータやグリーンインフラの活用については今後、雨水管理総合計画を始め、各種計画に反映させて豪雨災害への対応に生かしていきたいと考えております。

(清水彩子)
計画的に取組むとのことで、ありがとうございます。
グリーンインフラアドバイザー制度というものがあり、グリーンインフラに対する疑問の解決、取組みを推進するため、様々なアドバイスを求める会員に対し、グリーンインフラに関する知見を有するアドバイザーが適切なアドバイスを無料で実施しているようですが、この制度を活用し、グリーンインフラをまちづくりに導入することはできないでしょうか。

(市の答弁)
グリーンアドバイザー制度の活用につきましては、グリーンインフラ官民連携プラットホーム、企画・広報部会が策定している「グリーンインフラ活用事例集」などを参考にするとともに、本市で各計画等の実施段階で、グリーンインフラに活用可能な整備手法、要素技術など、必要に応じて、本制度を活用していきたいと考えております。

(清水彩子)
宜しくお願いします。グリーンインフラの導入のプロセスとして、環境省が案を出しています。
まず、課題の把握をし、どの行政計画に位置づけたら良いか検討する。
次に、事務局・協議会を立ち上げる。話し合うべき関係者を認識し、議論の場を設置する。できれば早い段階で地域住民に参画していただく。

複数の部署の調整や、計画に必要な制度等のコーディネートを担う人を決める。
そして、計画を立案する。収支計画、資金調達計画、維持管理計画、モニタリング計画等の個別の計画を検討することが大切。
地域経済への貢献度、導入費用、維持管理コストを示すことで、理解が深まる。目標年と目標値を設定する。関係者間のコミュニケーションにより、計画を地域が求めるものに近づけていく。
以上のプロセスを踏むとグリーンインフラが導入しやすいようですが、このように、進めていくことはできそうですか。

(市の答弁)
これまで本市が策定してきた計画において、御紹介いただいたようなプロセスのすべてを経て策定及び施策の推進を行ってきた例は恐らくこれまでになかったものと認識しておりますが、例えば私の所管でグリーンインフラに関係するものとして、みどりの基本計画がございますが、次期のみどりの基本計画の策定においては、「早い段階で地域住民に参画していただく」などのプロセスを取ることで、より市民の方々の理解が得られる計画になり得ると存じますので、御紹介いただいた環境省の資料も参考に計画を策定することは有益と認識しております。
一方、施策の推進におきましては、市長答弁のとおり「各計画等の実施段階で可能な限り対応するべきもの」と考えておりますのでご理解を賜りますようお願い申し上げます。

(清水彩子)
わかりました。合意形成の段階や計画を立案するまでのプロセスでは、困難に感じる部分もあると思いますが、グリーンインフラの導入は、将来的トータルコストの削減とともに、横断的な取り組みにより、複合的な課題解決に繋がることが考えられ、結果としては、導入することで、地域課題の解決に繋がりますので、効果は大きいと思います。
それぞれの部署の考えや知識を出し合い、互いに意見を尊重し、良い意見を盛り込み、グリーンインフラの推進に取り組んでいただきたいと思います。
以上で1項目の質問を終わります。

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