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『この椅子が一番!』(西川栄明、2017年)

たかが椅子。されど椅子。

自宅で、仕事場で、カフェで、ホテルで。

私たちの生活に不可欠な「座る」という行為を、文字通り支えてくれている椅子ですが、日常に深く根差すがあまり、脚光を浴びにくい存在かもしれません。

テレワークが始まり、オフィスで何気なく使っていた椅子の機能性に、改めて気づいた方も多いでしょう。


本著では、椅子研究家の肩書を持つ著者が、椅子に関わる専門家100人以上を対象にアンケートを実施し、その回答をもとに、名作椅子のエピソードや特徴がまとめられています。

「名作椅子ベスト50」「腰痛持ちにも心地良い椅子」「パスタを食べるときに座りたい椅子」等、様々な観点で厳選された38のシーン別で、約250脚の個性豊かな椅子たちが紹介されています。

イラストもあわせて掲載されているので、「この椅子、あのホテルのロビーにあったな」とか「ドラマで使われていたな」など、引き寄せて楽しむこともできます。

飲食店で、あえて居心地の悪い椅子を設置することで回転率をあげる、というのはよく知られたテクニックですが、私自身は、最適な椅子が戦略的に選び抜かれて置かれている場所や空間を見つけると、それだけでファンになってしまうような高揚感を覚えます。


外出先で良い椅子が目に止まりやすくなったり、いつか手に入れたい椅子を求めてウィンドウショッピングしたり。

読後の日々に新たな彩りを添えてくれる、そんな素敵な一冊でした。





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