偽の往診依頼で、ボランティア医師5名をミャンマー国軍が逮捕
昨日、ショッキングなニュースがミャンマーで報道された。
独立ニュースメディアMizzima(和訳:ミャンマー語の投稿を日本語で発信FBページより)によれば、ボランティアとして新型コロナの治療にあたっていた医師5名が国軍に逮捕されたというのだ。
偽の往診依頼で駆け付けたところを逮捕
しかも、危篤状態で助けてほしいという国軍側の偽の電話があり、3名の医師が往診に訪れたところを逮捕。軍は、このボランティアグループのオフィスに残っていた2名の医師も逮捕したほか、市民から寄付された酸素ボンベなども押収したという。
医師5名が、どこへ連れ去られたのかは不明だ。
この医師らは、軍への抵抗活動をしていたわけではなく、純粋に新型コロナ感染拡大に対して、市民からの依頼を受けて治療にあたっていたそうだ。
コロナに苦しむ市民を救うボランティア医師
医療崩壊状態のミャンマーで、新型コロナ感染爆発が起きている今、懸命の治療を行う医療ボランティアグループは、市民に残されたわずかな希望だ。
その希望のひとつが潰されてしまったうえ、今後、新型コロナの治療にあたっている他のボランティア医師たちが、市民からの往診依頼があったときに、軍の逮捕を疑うことになってしまう。下手すると、今後のボランティア活動が縮小していく可能性もある。
国軍への信頼は、もう戻らない
国軍は新型コロナの治療にあたれる医療従事者やボランティア募集を呼びかけている。しかし、今回の逮捕で、もしも呼びかけ応じたら、拘束・拷問・殺害される恐れがあることが明確になった。
ミャンマーの医療崩壊の要因として、国軍への信頼が失われていることをnoteに書いたが、もはや、国軍が信頼を取り戻すことは絶望的といえるだろう…。
コロナ危機を終わらせるために、軍体制を終わらせる
民主派政府「国民統一政府(NUG)」の広報官であるササ医師は「新型コロナ危機をマネージする唯一の方法は国軍の支配を終わらせることだ」と国際社会に訴えている。
今回の逮捕は、ササ医師の主張がもっともであると裏付けるような国軍の暴挙だ。
しかし、圧倒的な武力でミャンマーを実効支配する国軍の体制を、いつ終わらせられるのか、わからない。
とにかく、ミャンマーに関心を持ち続けること、寄付などで支援をすること、ミャンマー料理レストランなどに食べに行って、ミャンマーの方のお話を聞く、応援の気持を伝えるなど、できることを続けていきたい。
*独立ニュースメディアIrrawaddyの7/20付け報道内容を加筆(2021/7/21)