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【あべ本#35】橋本勝『風刺漫画 アベ政権』
■まだ開けていない扉があった!
某大手書店でこれまた平積みになっているのを見つけて驚きました。
橋本勝『風刺漫画 アベ政権』(花伝社)、2017年に出版されていたのに、完全に見落としていました。私としたことが!
書店の「平積み台(平台)」はどの出版社の営業も「自社の本を置いてほしい!」と切望するスペース。いつから置かれていたのかはともかく、発売から5年を経ようという今も平台に置かれているということは、書店側の熱意か、あるいは実際売れているのか。
おそらく両方なのかなと思うのは、なんと隣に稀代の奇書『嘘つきシンちゃんの脳みそ』が置かれていたからです!
ここまでくるとあっぱれです、買う方も出す方も売る方も。
そして本書も、表紙から漂う異様な雰囲気に負けることのない充実した中身でありました。まだこの扉を開けていなかったことを、「あべ本ウオッチャー」として恥じるばかりです。
■なぜか「籠池化」するアベちゃん
タイトルを「アベ」としてしまったことで、アマゾンで「安倍」で検索しても引っ掛からないというものすごい欠点がある本書。
しかしそれでも「アベ」としたい、「絶対に安倍とは呼びたくない」という強い意志を感じますが、本文では「アベ」と「安倍」が混在。しっかりしてほしい。
2017年7月発刊とあって、主に集団的自衛権閣議決定・関連法案成立に対する呪詛が、風刺画とそれに添えられた文章でこれでもかと綴られています。風刺画を引用したいくらいですが、それは筆者に失礼なので気になる方は書店で見るか、買っていただくしかありません。
中には金正恩と二人で「戦争!」とポーズを決めた風刺画などもあり、なんというか通常の生活ではめったなことではお目にかかれない作風に惹かれます。
表紙の通り、「アベちゃん」のイラストはまあまあ似てはいるのですが、巻末に近づくにつれて、「アベちゃん」がだんだんと「籠池さん」の顔に似てくるのが不思議です。森友学園騒動が起きてから、イラストにもその影響が及んでしまったのでしょうか。
■あの「あべ本」よりは全然マシ
それにしても安倍元総理の「フォトジェニック」さというか、イラストにしたい、そしてコケにしたいという気持ちを高ぶらせる力は他を寄せ付けません。岸田政権になってからの、新聞の風刺画などの「描きあぐね」っぷりを見るにつけ、「絵にしやすい安倍元総理」が際立ってきます。
風刺画ン十年! という作者が描いている通り、中には(伝えたい意図・事実に沿うかは別として)デザイン的にも風刺としても優れているなと思うものはありました。
また、あくまでも安倍元総理の政策や思想を批判するものが大半で、『嘘つきシンちゃん…』のように人格否定的なものは感じなかっただけ、まだ全然マシだなと言ったところ。
いやしかし、まだこういう本があるんですね。
まだ見ぬ「あべ本」との出会いに向けてこれからもがんばらねばなりません…。
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