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《聖書-3》天使とは

こんにちは。
Ayaです。
前回『ノアの方舟』をとりあげましたが、これからのエピソードになくてはならない存在・天使について先に取り上げたいと思います。

天使とは言はずとしれた『神の御使い』です。人間に神の言葉を伝えたり、エデンの園を管理したり、神のために音楽を奏でたり様々な役割があります。
容姿は男性的・女性的どちらにも描かれることもありますが、基本的に性はない中性とされている存在です。そんな彼らにも階級があります。

天使

受胎告知をする大天使ガブリエルについて行ったり、聖母子のために音楽を奏でなり、基本的に集団で描かれます。
ラファエロの『システィーナの聖母』やブクローの『歌を歌う天使』などはこの階級に属していると思われます。

ラファエロ『システィーナの聖母』の一部
世界一有名な天使と言われている。
ブクロー『歌を歌う天使』

子どもに羽が生えた描かれ方をしていて、ギリシア神話のエロスと似ています。基本的にエロスは恋心を引き起こす矢を持っていますが、天使とはエロスの見分けがつかないときもあります。そんなときには『プットー』と呼ぶそうです。どっちかわからない時はこの呼び方をするといいですね。

ペロー『眠れるプット』


ちなみに羽根がない姿で描かれることもあります。

ヤン・ファン=エイク『合唱する天使』

大天使

天使たちを統括している立場です。しかし、地位はそんなに高くはないので、我々人間で言うところの中間管理職ぐらいでしょうか。
天使全体が何万といるであろう中で、たった7名しかいない選ばれた存在です。しかもカトリックではその中の3名を『三大天使』と崇拝しています。
(1)大天使ガブリエル
一番有名な大天使ではないでしょうか。天使の『神の言葉を人間に伝える』役割に特化していて、聖母マリアのもとに行った受胎告知は有名ですね。

フラ・アンジェリコ『受胎告知』

マリアだけでなく、洗礼者ヨハネの父に息子の誕生を伝えたり、イスラム教ではムハンマドにアッラーの言葉を伝えたりしています。
ロセッティの『我は主のはしためなり』では男性的に描かれていますが、基本的には女性的な容姿で描かれます。これは子育ての天使とされたからなんだとか。

ロセッティ『我は主のはしためなり』
作成当時の風俗で描かれ、ガブリエルには羽根がなく、足から火を出して空中を飛んでいる。マリアの衣装は白だが、彼女を象徴する赤と青が建具で使われている。

(2)大天使ミカエル
こちらは『戦う天使』として有名です。天使の軍団を率いて、サタンと対峙しています。ガブリエルがユリの花を持って描かれる一方で、ミカエルは剣を持って描かれています。最期の審判で地獄行きの判決が出た者たちを連行する役割もあります。

ラファエロ『悪魔を倒すミカエル』

ガブリエルに比べると人間と関わる機会は少ないですが、ジャンヌ・ダルクの前に現れたのはミカエルだったとされています。これは彼女が関わったのが戦いであったことが大きいでしょう。
ちなみに、ミカエルには双子の弟がいます。彼はルシファーといい、元々天使でしたが、神に反逆したため、堕天使となってしまいました。彼らのいる地獄についてはいつか取り上げたいです。

カバネル『堕天使ルシファー』

(3)大天使ラファエル
上記2名比べてエピソードがすくないですが、ラファエルという大天使もいます。彼の専門は治療ですが、有名なエピソードは旅です。ドビアスという少年は失明してしまった父の代わりに旅に出ることとなります。当時の旅は命懸けですから、彼の父は神に息子の安全を祈りました。するとドビアスの前にラファエルが現れ、目的地に無事に到着できたというエピソードです。このエピソードのため、旅の守護天使とされました。

ヴェロッキオ工房『ドビアスと大天使ラファエル』
当時徒弟として働いていたレオナルド・ダ・ヴィンチによる作品とされる。ラファエルのモデルはレオナルド本人だったともいわれている。

権天使・能天使・力天使・主天使・座天使

初期キリスト教では大天使までしかいませんでしたが、キリスト教神学が発展するにつれ、天使の地位が増えていきました。しかし、聖書に記述が少ないため、あまり絵画化されていません。
(1)権天使
国家やその指導者層を悪魔や悪霊から守り、国家の興亡を支える役割。天使・大天使・権天使で、『聖霊の階層』とされます。
(2)能天使
神の掟を正しく実行にうつさせる役割。神の掟を破ったものに対する罰も担当しています。
(3)力天使
奇跡を司る役割で、イエス=キリストの昇天やイヴの出産などでサポートしています。
(4)主天使
下位の天使を監督する役割。能天使・力天使・主天使で、『子の階級』とされます。
(5)座天使
神の台座を運ぶ役割で、炎に包まれた車輪の姿をしていて、戦車にもなります。

智天使・熾天使

上記の座天使とともに直接神と関わる立場の者たちで、『父の階級』と呼ばれ、最も階級の高い天使たちとされています。
(1)智天使
『ケルビム』と呼ばれる階級で、アダムとイヴをエデンの園から追い出し、その後の管理もしています。
(2) 熾天使
『セラフィム』と呼ばれる階級で、最上位の天使です。常に神のそばに侍り、神への愛のために真っ赤に燃えています。
智天使と熾天使はちょっと変わった描かれ方をしています。

ジョット『聖痕を受ける聖フランチェスコ』

彼らは6枚の翼に囲まれたり、顔に直接翼が生えていたりしています。セラフィムたちを守るボディーガードの大天使(セラフィエル)もいる特別待遇です。しかし、彼らは人間と関わることがないため、少ししか取り上げられないようです。

さて、今回の『天使とは』は中途半端ですが、ここまでとします。これから取り上げるエピソードでは天使に助けてもらったり、天使と戦ったり、天使に街を滅ぼされたり(!)とたくさん登場するので、取り上げてみました。
岡田温司先生の『天使とは何か』という本を参考に書こうと思ったのですが、その本が見つけられませんでした‥。見つけたら、また追加で書くかもです。

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