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月の話①

幼い頃に、母は『女の子は不幸になるから月を眺めてはいけないよ。』と言った。
だから。
月を見るのが怖くて、門限も厳しかったから外に出ることも無かった。

外へのあこがれが強くなり、初めて山笠を見に行った高校生の時、朝晩にこんなに人がいるんだ。と物凄く驚いた。
専門学校に行くようになって、夜、親不孝通りでドーナツ屋でアルバイトをした。
父は毎日迎えに来てくれて、早くやめるようにと怒ってた。

その後、こっそり屋根から飛び降りて中洲の風俗のお姉さんのところの控え室に行って、いつも色んな話を聞かせて貰っていた。
今までの仕事とか、子供がいることとか。
合間、合間に『あなたが働くようなところじゃないよ。』って言ってくれてた。

他のお姉さんが冗談で『働きにおいでー。』と言ったら、元タクシー運転手の支配人のおじさんが『そんなことを言うもんじゃない!』と叱っていた。

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