子どもの虫歯とフランス人
赤ちゃんの口の中にはもともと虫歯菌はいないが、大人の唾液のついたものを口にする事などでうつってしまう。
というのは日本で子育てをする人たちの間では常識で、最近では離乳食なんかをふーふーするのもだめって事になっているらしい。
とにかくそこまで神経質にならないまでも大人と食器を共用している人なんかはまずいないであろう。
しかしここフランスではそんな常識は通用しない。
離乳食の温度の確認は親が口につけて確認するのが当たり前、落っことしたおしゃぶりは親が拾って舐めればあらキレイ!全部そのまま赤ちゃんの口に入っていく。
まだ離乳食が始まったばかりの頃、フランス人の夫が食べかけのコンポートをそのまま息子の口に入れようとしたのを見た時は注意をしたが、こちらの親の認識は先に書いた通りなので訝しげな顔をされた。
そんな状況なので私だけ気を遣っているのが段々あほらしくなって来た頃、友人ファミリーとピクニックをする機会があった。
生粋のフランス人である友人は私の息子をそれはそれは可愛がってくれた。そして彼女はその時食べていたりんごを息子にあげたくなったらしい。
一瞬の迷いもなく彼女はそのりんごを齧り取ったかと思うと、小さくなったかけらをそのまま息子の口に入れてしまったのだ。
私はあっけにとられてしまい何も言う事ができなかった。
そしてこの時、私はもう息子の虫歯がどうとか気にするのをやめる事にした。だってキリがないしそもそも私ひとりが気を付けたって何の意味もないからだ。
息子は4ヶ月の頃から保育園に通っていて、そこでは他の子どもたちとおもちゃを共有している。赤ちゃんというのはありとあらゆるものを口に入れる生き物で、その親たちの認識が上記の通りである以上、ごはんのふーふーで伝染ると言われる虫歯菌が息子の口に入らないはずはない。
そんな訳で、私が息子を虫歯にさせないためにはハミガキを頑張るしかないという事になった。
冒頭の写真の通り現在息子には前歯が2本生えている。そしてこのたった2本の歯を磨くのも息子は嫌がり、全身を使って精一杯の抵抗するため至難の業だ。
まったく先が思いやられてならないが、それでも悪い事ばかりではない。息子が私の顔や手を噛んだり舐めたりするのを拒否する必要がなくなったのだ。
これを良い事と捉えるかどうかは微妙であるが、実際色々な所で神経質にならずに済んでいるのは良かった事だと思う。
そんな訳で、もう少しおおらかに色々な事を考えても良いのかな、と思った出来事でした。
とりあえず母は今日もプロレス、もといハミガキを頑張るぞ!
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