見出し画像

チューリップが届いた

コロナ禍寸前に次女を出産した。

皆さんもご存知の通り、当時は、
あれよ、あれよ、と言ってる間に

街が、国が、世界が、
得体の知れないウイルスに侵され
この先がわからないような雰囲気になっていた。

まだまだ小さい次女を保育所に預けることは考えづらく、
かと言って、どうしていいかわからない。

そうこうしてる間に、
“おうち時間”が当たり前になり、
仕事の復帰の見通しもつかないままに、
私は実家に身を寄せた。

コロナの影響で、夫の仕事もキュウキュウになり、
生活の見通しもつかない。
子供を産んだことさえも、間違いだったような気がする毎日に、正直気が滅入っていた。

毎日、決まった時間に、おっぱいをあげて、
オムツを変えて、抱っこして寝かせる。
少しずつ春めく季節にも心が全く踊らなかったのは、あれが初めてだったと思う。
春になろうが夏になろうが、改善する気がしなかった。
ザーッと目の前がいつでも暗かった。

それが2020年春のこと。
志村けんさんが亡くなったり、
岡江久美子さんが亡くなったり。
毎日悲しい気持ちでいたのは、私だけじゃなかったはず。
当たり前の生活って、こんなにも簡単に失われるのか。
と、
次女を産む前に、
たくさんお出かけしようと、張り切って買った抱っこ紐を眺めながら、ため息をついた。

その、真っ暗な世界から、
えいや!!と、私をひっぱりだしてくれたのが、
実家の畑に咲いていたチューリップだった。

私の実家がある恵庭市は“花の街”として有名だ。
“ガーデニングに力を入れている人の家ツアー”があるほどに、
街全体に、花が溢れ、
ガーデニングをしていない家はないんじゃない?ってくらいに、どの家も気合を入れて庭づくりをしている。

我が家は、周りの家に比べると、
草花は少なく、力を入れているとは、到底言えないくらいの庭だったけど、
春になるとまずレンギョウが咲き、
クロッカスが咲き、ツツジが咲いた。

ある日、母と、長女が、庭で遊んでいる時に
「ママ!ママ!ベランダのところにきて!」
と、呼ぶ声が聞こえた。

ベランダまで行ってみると、
まだ、春とは言えないくらい寒い中、
母と長女は、庭に咲く草と花の間から、
チューリップを見つけて、摘んできてくれた。
そして、
「ママ!ピンクのチューリップがあったよ!これ見て元気になってね」
と、言いながら、私に渡してくれたのだった。
長女も、毎日相当我慢していただろうに。
心身ともにどんどん健康を失って行く私を横目に
何かできないものかと、小さな頭で考えていたのかも。
ごめんね、って胸がギューってなったのと同時に、本当に嬉しかった。

チューリップなんて、長女が摘んできてくれるまで、あんまりちゃんと見たことすらなかったよ。
長女が摘んできてくれたのは、
一つは、ピーンと長い茎に、まんまるいフォルムのお花が咲いた真っ赤なチューリップ、

もう一つは、短い茎に大きな葉。
ピンクと紫の中間のような色をした、
花びらが尖っている洒落たチューリップだった。

ああ、可愛い!

その日から、私が1番好きな花は、チューリップだ。
そして、チューリップを家の中で飾った、その瞬間から、
私は元気になっていくのを感じた。
花瓶に生けた、赤やピンクのチューリップを見ていると、なんだか気分が良くなった。
家に花を飾るようになったのも、この出来事がきっかけだった。



さて。
昨日の夜、オーダーしていたチューリップがどっさりと届いた。
これは、円山にあるjaz flower shopさんが、
能登半島で起きた地震の復興支援として、販売していたものだ。
富山産のチューリップをアソートで、15〜20本。何色のどんな種類が届くかはお楽しみ。
このチューリップを買うことで¥1.000寄付することになるそうだ。

自分の好きなお花がお家に届いて、
復興支援にもつながるならば、
とても良いなと思って、今回利用することにした。

届いたのは白いチューリップと、黄色いチューリップ!
花びらがヒラヒラしていたり、
まだ完全につぼみだったりして、ワクワクする。

次女が、届いたチューリップをみて
「わぁ!結婚式のお花みたいで可愛い!」
と喜んだ。

当時、0歳だった次女が、4歳になったのだ。
そして、チューリップをみて、
可愛いと、発言できるまでに成長してくれた。

私は、これから先も、春が来るたびに、チューリップを買うだろうな。
そして、チューリップを買うたびに、
長女が庭で摘んできた、
あの日のチューリップを思い出すのだろう。
次女が小さかったことも、
長女が私を元気づけてくれたことも。
全部セットで思い出す。


そして、どんなことがあっても、春は来るから大丈夫だということも、
チューリップを見るたびに、思い出すことができるのだ。

今年の冬は、まだまだ続く。
大変な大雪におののいているけれど、
なるべく、心穏やかに、
チューリップを眺めながら、過ごしたい。

……………
チューリップの復興支援に関しては、
jaz flower shopさんのインスタチェックしてみてください!

コロナ禍の時に実家で過ごした日々について
綴った記事も読んでもらえたら嬉しいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?